運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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瞳の中心 -FF3-

初めはただジョブの都合上、彼が前衛を務めているからだと思っていた。
気がつけば視線の先にはルーネスの揺れるアッシュグレーの髪。
後ろで無造作に束ねられた髪は、軽やかな動きにあわせてまるで舞うように宙に光の軌跡を描いていく。それは薄布越しに浴びる日の光のように、瞼越しに感じる月の光のように。淡くて優しくて美しい光り。
魔物の攻撃を防ぎ、一撃の下に切り倒していく、そんな力強さとは対極のようにも感じられるルーネス。
と、その身体がくるりと振り返った。
「――――っ」
「ん? 何か言ったか、イングズ?」
「い、いや。何も」
「そうか?」
木漏れ日を浴びた髪の反射が戦いを忘れさせて、つい見惚れていたなんて。言える訳がないしイングズ自身も自分に驚いていた。
「呼ばれた気がしたんだけどなぁ」
「――私は、別に……」
「うーん。あ、もしかして……俺に見惚れてた?」
「なっ――――」
反論の言葉が喉の奥に引っ掛かって出てこない。
まさか。馬鹿を言うな。おまえはそんなことばかり言うな。――いつも通りのそんな言葉を返すつもりだったのに、浮かんだ言葉を音として発することが出来なかった。まるで身体が自分のものではないように、ルーネスの悪戯交じりの言葉と眼差しに捕まってしまって、身動きができない。
言葉もなくぶつかり合う瞳。
無言の中にこもってしまったたくさんの感情。
逸らしたくて逸らせない視線。
「なぁ、イングズ」
「――な…んだ?」
「俺はさぁ、いつでもイングズが欲しいんだってわかってる?」
「!」
言葉と行動を決めかねている間にルーネスの手が頬に触れる。
初めは兵士を務めていたイングズよりも頼りなかったはずの手は、今はイングズよりも戦い慣れた硬い手をしていた。クリスタルの力を得てから一貫して前衛を務めるルーネスには、実戦で培われた力強さが宿っている。
「これでも俺、我慢してるんだぜ」
「ルーネ…ス……」
「今お前は赤魔道師。俺はナイト。接近戦ではどちらが有利か何てこと、今更言わなくてもわかるだろう?」
「何を――」
思わず一歩後退ろうとしたが、一瞬早く腕をつかまれる。
頬に触れる硬くてけれど温かいルーネスの掌と。
逃がさぬように腕をつかむ力強くて何故か温かい掌。
「何をするつもりかって? 俺としては何を期待してるのかって聞きたいところなんだけどね。……今、俺に何をされるかもしれないと怯えるふりをしているんだ?」
「……ふり?」
「ふり、さ。怯えていなければ自分も期待しているってことを認めなきゃいけないからな」
「お、俺は――」
「何も期待なんかしていない、だろ? わーかってるよ。これだから真面目な思考回路は面白いなぁ」
そう言ってルーネスはカラカラと笑いながら手を離した。
捕まれた腕が解放されたことにほっとして、けれど頬から温かみが去ったことに胸が少し軋んだ。何故自分がそんな相反する思いを感じなければいけないのか、理由を見つけられないままに。
目の前で揺れるルーネスの髪。
常にイングズの前で揺れている銀の光。
「イングズお前さ、自分の視線の行く先ぐらい、自覚してろよな」

イングズの視界の中心で、ルーネスが笑った。


久しぶりにやっと書けたFF3。我が家のイングズは自分の感情に気づかない鈍い子で、ルーネスは何でもお見通しのやや腹黒悪戯っ子。

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いつもの一幕 -ルーネス×イングズ-

目の前で銀の髪が揺れている。

黒い兜から流れる髪は、身に纏う暗黒の鎧と妙にしっくりする鈍い銀色。その漆黒のような姿は、クリスタルから得た力であるというのにどこかぞくりとする雰囲気を拭えなかった。闇の力に近い、それでいて闇そのものと呼ぶには複雑な。

「ここら辺の敵は面倒だよなぁ」

姿の重々しさとは正反対の軽い声。
くっと口角を上げて、瞳は悪戯前の子供のように輝いていて、ここが今どこで自分たちが何をしているのか忘れそうになる。陽だまりの中で遊ぶ子供のように無邪気で、獲物を狙う獣のように鋭くて。

イングズの心中を知ってか知らずか、ルーネスはそう言いながら武器にこびりついた血糊を吹き飛ばす。
握られているのは独特の形をした剣だ。やや弓なりになった刃はルーネスの髪と同じ色で、曇り一つなく鈍い光をたたえている。分裂を繰り返す魔物を一刀両断にすることの出来る唯一の武器。

「あぁ。だが道は崩れていないようだし、入り口まで戻って早くアルクゥとレフィアと合流しよう」

進めそうか調べる為にここまで二人できたのだ。これ以上二人で進むのは危険だし、本格的に進むのなら合流しなければならない。
だがルーネスは首を右に少し傾けて、もの言いた気に瞳を細める。だが顔全体を覆う兜を被っているから細かな表情までは読み取れない。どうしたのだ、と一歩踏み出した瞬間、弓なりな刀がイングズの頬を掠めるように突きつけられてきた。
風を切る鋭い音が鼓膜を叩き、そのまま真後ろにあった壁に突き刺さる。ばらばらと細かな石屑が飛び散り顔に降り注ぐ。

「――――ルーネス……」
「あれ? ビックリしなかった?」
「……おまえの悪ふざけにはそろそろ慣れた」
「なーんだ、残念」

突き立てられた刀の先は壁を伝う蛇の頭を的確に捉えていた。丁度中心を捉えた刃先。
いつものルーネスの悪戯だ。本物の殺気を宿した切っ先で、誰かの後ろに近づいていた魔物を捉える。予告も忠告もなしでやるものだから何度目だろうと心臓に悪い。

「だがいい加減にしてくれ。寿命が縮まる」

ルーネスの悪戯にアルクゥは本気で怖がるしレフィアは本気で怒るし、という訳で最近はイングズでするのが日課のようになっていた。もう条件反射すらしなくなっている。

「そのわりには平気な顔してるけど」
「何度もするからだ。それに……」
「それに?」
「おまえのことは信頼している」

その切っ先が魔物を切り裂くことはあってもイングズを傷つけることはない。そのことを疑う気持ちは微塵もなかった。以前アルクゥとレフィアにそう言った時は認識を改めた方がいいと忠告されたが、それでもイングズは確信していた。「自分がルーネスに傷つけられることはない」ということを。

「――本当に?」
「事実おまえはどんな武器でも使いこなすだろう」
「まぁ剣の腕には自信あるけど、そんなに信頼されると俺、恥ずかしくて切っ先が逸れちゃうかもよ? 別のところに刺しちゃうかも」
「どういう意味だ?」
「……べーつに。言葉通りの意味」

そう言ってさっさと前を歩き出した。釈然としないながらも小走りにその背に近づき、歩調を合わせて歩き出した。何かを含ませたような言葉はいつものことだ。だが、

――あんまり無防備だと、困るなぁ

呟くルーネスの言葉の意味はやはりわからなかった。

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新しい夜明 -FF3-

明けましておめでとうございます。
旧年中は色々と暖かい声援を含めたくさん交流していただきありがとうございました。自分の萌えに燃えて好き勝手に突き進んでいるサイトですが、お暇な時の時間潰しにでもちょくちょく覗いてやってくださると泣いて喜びます。どうしようもない管理人ですがこれからも宜しくお願い致します。

今日はFF3からルーネス×イングズで新年SSを。



旅の疲れから夢も見ない深い眠りに落ちていたはずだったが、小さな空気の流れがふっと頬を撫でていくのを感じた。

普段なら目を覚ますどころか意識の端にも触れないような弱い感触。けれど気のせいなどではなく確実に感覚を揺り起こす気配。
イングズはそっと瞳を開け、暫し目の前の闇をじっと見つめる。
テントの中は完全な闇という訳ではなかったが、それでも寝起きの瞳が周りの状況を把握するには時間が必要だった。

辺りは薄明るさに包まれているようだった。どうやら深夜という訳ではなく、もうすぐ夜が明けようとしている時間帯のようだ。辺りには静けさがなみなみと注がれていて、世界の全てが登り来る太陽を厳かに待っているかのようだ。

―――ルーネスは?

視線をぐるりと巡らせて、昨晩隣で眠りについたはずの銀の髪がそこにないことに気付く。ならば先程感じた僅かな気配はルーネスのものだったのかもしれない。ルーネスは黙って一人テントを抜け出すことが何度かあった。
抜け出して何をしているのかと何度か後をついていったことはあったが、毎回テントの近くでじっと空を見つめているだけだった。その姿がとても侵しがたい清廉さを称えていて、覗き見ることに罪悪感を覚えずにはいられなくて、それ以来後をついていくことはやめていた。

いつもならここで目を閉じて朝を待つのだ。ルーネスの一人の時間を邪魔することに躊躇いがあるし、この辺りは魔物も少なく危険はほとんどない。追い掛けて行かなければならない理由も、追い掛けていきたいと思う理由もない――はずなのだ。

「…………」

いくつかの言い訳を心の中で繰り返して、けれど感情は理性や理屈よりも素直で強い。眠りに戻るには目が覚めすぎていて、じっとしているにはざわめきが大きすぎる。
溜め息を一つ。
それがイングズが自分の気持に流されるために必要な儀式だった。

銀の髪を探す必要はなかった。テントを出たすぐ目の前の岩の上に片足を立て座っているルーネスの姿が目に入った。
緩やかで少しだけ肌寒い風に心地良さげに髪を揺らしながら、じっと明るさを増してくる東の空に顔を向けている。

「なんだ、目が覚めたのか?」
「――お前こそ。いつから起きてた?」
「ついさっきさ。気付いてただろう? 今日も無視されるのかと思った」
「べ、別にいつも無視してる訳では……」
「はははっ。わかってるって」

ルーネスはそう笑いながらいつものように人を食ったような瞳で見つめてくる。悪いことをしていたつもりはないが気付かれていたのだと指摘されると気恥ずかしさが込み上げてくる。それがルーネスのやり方だとわかっていても。

「――起こしたか?」
「いや。何となく今日は目が覚めかかっていた」
「ふーん。まぁ今日は特別な朝日が拝めるから、ちょうど良かったんじゃないか?」
「特別?」
「そ、特別。世界のためって頑張りすぎてると忘れてるかもしれないけどな」

悪戯っぽくアッシュグレイの瞳が細められる。何のことだ、と聞き返す前にルーネスは人指し指を口の前に立ててシーっと言い、そのまま視線を先ほどまで見ていた東の空へと戻した。
仄かに明るさを増してくるルーネスの頬。鈍い銀色の髪に少しずつ明るさが注ぎこまれて光を産み出してくる。
ルーネスはイングズに「金の髪が太陽のようで綺麗だ」と恥ずかしげもなく口にするが、実はイングズもルーネスに対してそう感じていた。昼の眩しい太陽ではなく夜明けの、淡くけれど矢のように届く光のように美しい髪だと。

「ほら、見ろよ」
「――――あぁ、綺麗だ……」
「今年最初の日の出だ」
「え?」
「忘れてただろう? 今日からメデタク新年だってこと」

言われても、本当に今日がその日だったかすら思い出せなかった。世界を無にかえさないために戦う日々の中でそんなことを考えることもなかった。
それは重要なことではなさそうで、でもきっと一番大切なことなのだろうと実感する。目の前で光に照らされていく世界の美しさを目にしてしまうと。

「綺麗だな――」

何がとはいわなかったけれど、ルーネスが笑いながら「当然だろ」と言ったということは全てばれていたのかもしれない。

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熱い -ルーネス×イングズ-

頭の中でドラを鳴らされているように煩くて痛くて思考がまともな形にならない。張り付いた喉の奥が痛くてたまらない。舌先がチリチリとして訳もなく苦味を感じる。

輪郭すらつかめない視界の向こうに何かが動く気配を感じて、そっと手を伸ばしてみる。たったそれだけの動作すら重いが構わずに力を込めると、向こうから伸びてきた柔らないものが自分の手を掴むのがわかった。あぁ、冷たくて気持ちがいい。

「……ーネス?大丈夫か?」

冷たさにやや遅れて振動が意味のある音となって耳に届いてくる。声の主がイングズだと理解するのと同時に視界の靄が取れてきて、自分を覗きこむ瞳を見つけ出すことが出来た。

「イ…ングズ?何やってるんだ、おまえ?」
「何って……。おまえ宿に着いた途端に熱出して倒れたんだぞ」
「倒れ…た?」
「覚えてないのか?医者は怪我からくる発熱だろうって言ってたけど」

そう言われればずっと身体が熱かったことを思い出す。宿について気が緩んだ瞬間に意識を失ったということだろう。一晩眠れば大丈夫だと思っていたのだが、眠る前に倒れて体調不良がバレてしまい心配されている状況のようだ。

「すまない。俺が………」

普段の力強さとは正反対の弱々しい声が呟く。今日ルーネスが負った傷といえば、混乱したイングズが放ったサンダガによるものぐらいだから責任を感じているのだろう。ルーネスに添えられたイングズの手が小刻みに震えていて、これではどちらがどちらを看ているのかわからなくなりそうだ。

「―――そうだな。元はといえばイングズが無謀に敵に突っ込んだからだしな」
「………………」
「手間かかるし、痛いし、熱いし、たまったもんじゃないな」
「………………すまな―――」
「だから、さ」

謝りかけたイングズを止めるようにぎゅっと手を握ると、イングズはそれを、ルーネスが何か痛みを訴えているのかと感じたらしい。慌てて大丈夫かと不安げな表情で覗き込んでくる。まったく無防備に、鼻先が触れそうなほどの距離まで。

だから、キスをした。
掴んだ手をぐっと引いて、もう片方の手をイングズの首に回して。慌てて体勢を整えようと手をついたイングズの唇に、しがみつくようにして唇をしっかりと重ね合わせる。目の前で驚愕に見開かれた瞳を見つめながら、それでもそこに明確な拒絶の色が浮かばないことに満足しながら。

―――あぁ、熱い。

身体も心も限界まで発熱しているようだ。


いつまで混乱ネタ引きずるの?と思いつつ。
ちょっと押しが弱めのルーネス?のつもりが、ちゃっかり自分の立場を利用してキスしてますよ、この子!うちのルーネスは本当にいい性格だわ。

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動揺 -ルーネス×イングズ-

10/25&26にUPした「乱される心」の続きです。前作を一読していただいた方が話がわかりやすいですが「混乱したイングズをルーネスが元に戻した後」と頭に入れておいていただければ問題ないと思います。


靄のかかったような頭の中がクリアになってくるに従って滲んでいた視界もクリアになっていき、自分の感覚機関が本来の機能を取り戻していくのを実感する。

視界の中心にルーネスが自分を覗き込んでいる顔が見える。柔らかい手と硬い鎧が身体を包んでいるのを感じ、自分がルーネスに抱きかかえられている格好だと気づく。
何故こんな状況になっているのだと一瞬疑問符が頭の中に浮かんだが、すぐに先ほどの光景がフラッシュバックしてくる。自分が攻撃を受けて混乱した事も、ルーネスに向かって攻撃を仕掛けたことも、嫌になるぐらい鮮明に思い出されてくる。

「ルーネ…ス……」
「お目覚めですか、お姫様?」

くすくすと笑いながら嫌味っぽく発せられる言葉にいつもならむっとするところだが、さすがに今回はすまないという気持ちを上回ることはなかった。それにわざと嫌味を含ませているのであろうことを気づかないほどではない。

「大丈夫…なのか?」
「サンダガ一発ごときで戦闘不能になるほどやわにはできてないからな」
「すまない」
「混乱したら誰でも、だろ?」
「だが……」
「それとも、何?俺に強烈な攻撃を仕掛ける動機が別にあったりとかするの?それだったらちょっとショックかなー」
「そんなもの―――!」
「俺なら、あるかもよ?」

あまりにもにっこりと、そしてさらっと告げられた言葉に理解が追い付かなかった。言葉を聞いているのかいないのか、ルーネスは会話に不似合いな笑みを浮かべる。ルーネスの言葉はいつもそうだ。表情や声音と言葉の内容が噛み合わない。何気無く聞いていたら聞き流してしまいそうな、それでいて聞き流させてくれない高粘度の固まりのような、独特の言葉。

「どういう意味だ?」
「さぁ?言葉以上の意味はないんじゃないの?」
「……おまえはいつもそうだ。はっきり言わない」
「わかろうとしてないだけじゃないの?それとも言葉にして欲しいってこと?他人をかばって自分を危険に晒すような馬鹿なこと俺の前でするなんて許せないって」

それがルーネスの言い方の癖だとは知っていても、その言葉は心配よりも怒りを多く含ませているのは確かだった。
仲間をかばうことが馬鹿なことだとは少しも思わない。けれどルーネスの言葉には普段の多少余裕のある嫌味の成分は少なく、純粋に怒りと苛立ちが表面に出ていた。だからルーネスの言い方に反発する気持ちも生まれたが、それ以上に自分がルーネスを追い詰めたのだという痛みの方が大きかった。

「―――これからは注意する」
「いつになく殊勝なんだな?悪いとは思ってるけど改める気はない、って言うのかと思ったんだけど。おまえは考えるよりも前に誰かを守ろうとするからな」
「反論の余地はないな。だが………」

きっと自分は同じ状況になったら後先考えずに飛び込むのだろうと思う。だが、それが自分だと強くルーネスに言い切ることが出来なくなっているのもまた、事実。

「痛い思いを、させたくない」
「おまえの攻撃ぐらい大したことないけどな」
「―――おまえの攻撃はいつもほどキレがなかった」
「っ!………余計なことまで覚えてるんだな」

そう言うとルーネスは一度瞼を下ろしてから笑いにならない笑いを唇の端に浮かべ、そして再び瞼を上げた。そこには先ほど目の前に開かれていた生身の感情は影を潜め、いつもの彼らしい表情が浮かんでいた。

「次に混乱したらクリティカル出して一瞬で戦闘不能にしてやるから、本気で覚悟しとけよ」

何かを掴み損ねたと思った。
けれどそれが何であるかは明確にはわからなかったし、今はそれでもいいと思った。


「乱される心」の続きは?とお声を頂いたのでUPさせて頂きましたー。
本当はイングズを苛めるルーネスを書こうと思ったんですが、ちょっと雰囲気をカップリングものっぽく。マイ設定では鈍いイングズ君ですが、たまには気づくのよーってな感じ。でも何故自分がルーネスのことは良くわかるのかってのには気づいてなかったりしますが。

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乱される心・後 -FF3-

昨日のSSの後半です。未読の方は一つ前の記事を先にお読みくださいませ。


ちらりと視線をやってレフィアとアルクゥが離れたのを確認する。
じりっと足を這わせて踏み込む大地を確認する。

行動は一瞬だ。
イングズが仕掛けてきた瞬間に初動をかわして懐に潜り込み一撃を喰らわす、それだけだ。その衝撃だけで意識は戻り、この微妙に居心地の悪い空気から抜け出すことができるのだ。

僅かに空気が揺れる。イングズの左手首がやや下を向いたのを確認してルーネスは真横に飛びのいた。小さく手首が動くのはイングズが魔法を唱える時の癖だ。散々間近で見てきたのだから見間違えるはずなどない。
飛びのき顔を上げる前に元いた場所で大気の爆発が起こり熱風がルーネスの頬を叩く。間近で衝撃を受けたはずなのに弱過ぎる熱にそれがファイアであることを認めると、剣に手をかけながら真っ直ぐと走った。

今のは攻撃ではない。ただの目くらましだ。ファイアで一瞬の隙を作りだしてその間に攻撃を仕掛ける。教科書通りの見本のような動きに、ルーネスは場に不似合いな笑みを浮かべる。混乱していても真面目な性格は変わらないらしい。

爆煙に突っ込むと正面から銀色の閃光が見えた。
出所のわからない攻撃は対処するのが難しいが、最初から正面から振り下ろされてくるのがわかっていればそれほど困難なものではない。剣を振るう時の癖も軌道も、ルーネスには目を瞑っていても描き出すことができる代物だ。
左手で右にさした剣を、右手で左にさした剣を、一気に抜き放つ。
初速を十分に剣に乗せ振り抜く。まずは左手の剣で、振り下ろされてくる剣の攻撃を自分の体から逸らせ、バランスを崩したところで間髪おかず右手の剣でイングズの剣を弾き上げる。ギリッと刃と刃が擦れる音を響かせ、だがそれ以上の抵抗はなく、イングズの剣は手から離れて綺麗な放物線を描きながら後方へと弾き飛ばされてそのまま地面に突き刺さる。

後は自分の攻撃を叩き込むだけ。それだけだ。

理屈で納得して感情でもわかっていたはずなのに、剣を弾かれたイングズがそれでも自分に向かってくることに、一瞬躊躇いが生まれてしまった。
武器もなくそれでも、己の危険も何も感じていない表情でルーネスの方に向けて攻撃を仕掛けてくる。無表情な灰がかった翠の瞳の中にルーネスのグレーの髪が映りこみ、いつも向けられる温かな色合いなど何一つないことに今更ながら愕然とし、剣を振るう手が動かなかった。

―――バシッ

背中に強烈な熱と痺れを感じ、次の瞬間に身体中から力が抜けて視界がぐらりと傾く。

「―――ったく、容赦ない、な………」

使える最大威力の魔法であるサンダガを放ってくる辺り、戦闘中での戦いのカンは操られている時でも変わらないらしい。大技の出しどころは心得ているという訳だ。先ほどの剣戟もこの魔法のための囮だったのだろう。

両手から剣が滑り落ちる。衝撃で視界が崩れ平衡感覚を失った身体がふらつくが、必死に足に力を入れて一歩を踏み出し、倒れこむようにして両手でイングズの身体を抱き締めた。抱きしめた身体から再び魔法の力が増幅していくのを感じ、止めを刺すまで気を抜くことのないイングズの行動が彼らしくて笑いが込み上げてきた。

「ホント、らしいな。でも―――」
「!………」

握り締めた拳をイングズの鳩尾に思い切り叩き込む。一瞬イングズの瞳が大きく開いたがすぐに力なく閉じられ、ルーネスの身体に寄りかかるように倒れこんできた。同時に周囲に集まっていた魔力の気配も四散していく。

「生憎とマゾじゃないから、痛いのは一度で十分」


可愛いなぁ、ルーネス。
色々言いつつやっぱり躊躇っちゃうルーネスだけど、抵抗(?)されたことにちょっと苛立ってたらいいと思います。自分で言ってますがうちのルーネスはMではなくSですので(笑)。この後イングズは散々ルーネスに嫌味言われると思います。

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乱される心・前-FF3-

買ったばかりの定期券落したよ……。超ショック。だって6ヵ月分だよ?!区間が短いからマシといえばマシだけど、やっぱ6ヵ月分は痛いよー。まだ1週間しか使ってないのに(泣)。優しい人が拾って届けてくれることを祈ってます、切実に。

でも自分的に一番ショックなのが、一緒に入れてた地下鉄の1000分の回数カード(鋼のイラスト入り!)がなくなったことだ、というと色々痛い子だ。



「だから、リボン付けとけって言ったのに」

苛立ちと舌打ちをわざとらしい溜息で隠し、ルーネスは仲間に聞こえるように肩を竦めながらそう呟いた。向き直る時に両手の剣が擦れるようにぶつかり合ったのは、冷静でいるつもりでもどこか動揺を抑え切れていない証拠なのだろうと、無意識下の自分を分析して自嘲する。

振り向いた視線の先にはイングズ。瞳は虚ろでどこを見ているかわからない表情だが、剣先はしっかりとルーネスに向けられている。それでいて魔法の気配も感じるのだから、相対すると赤魔道師というのは厄介なジョブだ。

剣でくるか魔法でくるか。
剣なら楽だ。一撃目をかわしさえすればこちらの攻撃を叩き込むチャンスはあるし、物理的な衝撃さえ与えれば混乱は覚めるだろう。だが魔法なら少々厄介だ。離れて戦いこちらの攻撃を剣で躱す戦法を取られたら懐へは潜り込むのは難しいだろう。

全力で戦うなら簡単。だが力を抑えつつ、けれど確実に攻撃を加えるとなると、なかなか骨の折れることになりそうだった。これがイングズではなくアルクゥやレフィアだったら、技術的な難しさは同じだとしても精神的には随分と気楽なのにと些か不謹慎なことを考えたが、もちろん表情には微塵も出さない。

軽く息を吸い、筋肉を弛緩させて身体中の力を抜く。そして両手の剣をいったん左右の鞘へと収める。スピードを要求されるなら、剣は抜き身よりも鞘に納まっている方が扱いやすい。

「……ルーネス」
「下がってろ、俺一人で十分だ」
「でも!」
「こっちの始末が終わるまでアルクゥは敵を引き付けといてくれ。レフィアは一応ケアルの準備でも。それだけで十分だ。後はイングズにご飯の時に給仕でもしてもらってチャラにしよう」

足手纏いになるとは言葉にしなかったが、それは二人ともわかっているようだった。素早さで拮抗するのはルーネスぐらいしかいない。負けるとは言わないが、誰かを庇いながら戦うのは難しいし性にあわない。
一人で戦う分には気が楽だ。他に気を取られることはないし戦い易い。それに誰にも、自分以外の誰にも、イングズに触れさせたくないという思いもある。

軽口を叩いていつもの自分を創り出すが、それでも動揺を自分自身から隠すことはできなかった。自分の指先が一瞬ぶれて、身体の緊張感の水位が増しているのが嫌でもわかった。洞窟に迷い込んだ時も、一人で巨大な魔物と対峙した時も、複数の敵に不意打ちを喰らってもこんな緊張感は味わったことがなかった。
それほど困難な状況ではない。一撃や二撃喰らったところで死にはしないし、最悪逃げ回って時間をかければイングズの混乱も収まるだろう。自分の身について心配するようなことは何もないことはわかっている。わかっているのに理屈ではない不安に心が支配されそうで、意識して口の端を持ち上げていつもの不敵な笑みを創り出す。

「―――おまえって普段はしっかりしてるのに、肝心なところでツメが甘いんだよなぁ」
「………………」
「状態異常が主な魔物相手に耐性防御もつけないで突っ込む馬鹿はおまえぐらいだぜ?仲間を庇うためだって言っても、な」

レフィアはリボンをつけていたのだから無理して庇わなくても何とでもなっただろうにと心の中だけでつけたし、だがイングズが地震の安全を優先して庇わないことなどありえないなと思い至る。イングズは当たり前のように仲間を庇って、まさしく騎士そのものだ。赤魔道師を選んでいるのも時に剣で仲間を守り、また魔法で仲間を守ることもきるからなのだから呆れるほどだ。
ルーネスだって行動を共にしているのだから、必要であれば庇うし手も貸す。だが、旅を続ける以上危険は覚悟の上だろうし、どうすれば全体的に見て一番危険が少ないかを思ってしまうのだ。

この手で何かを守ることを渇望するが、この手で全てが守れると思えるほど傲慢にもなれない。それなのにイングズは全てを守ろうとする。守れないとわかっていて、それでも守ろうとする。
だからルーネスはらしくなく―――苛立ってしまうのだ。


ルーネス×イングズ。FFで混乱ネタはもはやお約束?!ちょっと長くなったので明日のブログに続きます。

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