運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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手の代償

暑い暑い言ってるレイユリ話。
一応これで最後のオチ。
おっさん苛め、楽しいです。

すみません。
バトンは華麗にスルーしてしまっています。
何て言うか、脳のキャパが追い付かない。


 
 青年が珍しく、レイヴンが声をかける前にこちらを向いている、と思った。
 声をかけるか笑いかけるか手を繋ぎにいくか、果ては旨い具合に払う手をすり抜けて抱きついていみるかと思案している間に、その姿は一気に距離を縮めてくる。
「ん?」
 何かそれって走り寄って来たというよりは、戦闘ターゲットロックオンで敵目掛けて技を繰り出している状況に近いんじゃないか。そんなことが頭をよぎった時には、既に青年の顔は――というより拳はもう目の前に迫っていた。
 エアルを纏った拳が振りかぶられる。凝縮されたエアルか周りの空気を押しのけるように波打たせ、青年の長い漆黒の髪が飛び立とうとする黒揚羽のように広がった。いや、見た目の美しさは蝶のようと例えてしかるべきだったが、ピリッと頬を叩いた闘気は狼の鬣だと表現した方が近かったかもしれない。
 鮮烈な美しさとは、まさに彼の為にあるような言葉だ。
 だがそんな感想を吹き飛ばすように、レイヴンに向けられた拳は問答無用の威力をもって胸元を捉える。心臓魔導器が停止するのではないかと思ったのは、誇張でも何でもない。バクティオンで斬られ時よりも強烈な衝撃が走り、呼吸が出来なくなった。
 衝撃と痛みとで踏ん張りのきかない身体は、あっという間に吹っ飛ばされる。それも盛大に。
 殴りつけられた拳で地面に叩きつけられ、目の前にチカチカと星が飛ぶ。その衝撃も収まらない間に、エアルの塊に飛ばされてそのまま後ろに回転するようにぶっ飛ぶ身体。一回転して肩から地面に落下したが、その痛みに呻く視界に飛び込んできたのは追い打ちをかけるようにさらに剣を構えた青年の姿。
 炎そのもののようなエアルを纏った剣を手に、青年の身体が後ろに大きく捻られるのが見えた。隙の多い大振りの剣は、けれど反撃を許さない速さと威力をまとって振り下ろされてくる。勢いをつける左足の踏み込みと共に、大地すら分断するほどの剣戟。
 その技ってシュヴァーンの散るようにと同じ動きよねと、ちょっと嬉しい気分で言ったら、盛大に嫌な顔をされたことがあったっけと思い出す。
 あれ以来あまり使っているところを見たことないのが寂しかったのだけれども、まさか自分に叩き込まれるのは想定外。受け身も取れずに吹っ飛んだ身体では避けることも流すこともできずにまともに食らうしかない。自分の口が潰れたような悲鳴を吐き出すのを、半分失いかけた意識の中で拾った。
 ああ、どうしてこんな目にあうのと、問いかけたい言葉は耳に届いた「絶破」の声に打ち砕かれる。氷混じりの風の刃が、衝撃で跳ねた身体を十文字に斬り裂いて、とどめとばかりに鋭い氷の粒がレイヴンの身体を連携三度目となる吹き飛ばしを強要した。
 身体二個分ほど吹き飛び、地面に突っ伏した身体は、ようやく怒涛の連携から解放されるも、もはや立ち上がる気力も体力もなかった。
 小石混じりの地面から顔を浮かせる事も出来ない。
「よう、気分はどうだ」
 ラゴウやキュモールにだってもう少し優しい声だったのではと思うほど、絶対零度の冷たい声が響いた。本気で心臓が不整脈を起こしかけている。形のない声が心臓の中心を貫いているようだ。
 仕事人モードの青年は、半端なく怖い。
「せ、いね――。何、で、」
「はっ。自分の胸に聞いてみろよ」
 このまま剣を突き付けられて殺されるかもと、冷汗が伝う。
 正直、完全ノーガードの状態で今の連携は本気で死ぬ。何とか起き上がろうと足掻くが、指は虚しく土をかき集めるだけだ。それでもせめてユーリの方を向こうと試みたが、力を込めた指を硬いブーツで踏まれる。
 ちょ、本気で容赦なくないですか?
「遺言だけは聞いてやるぜ」
「ま、待ってって! 青年、何怒ってるのよ。せめてそれぐらい聞か――」
「……おっさん、エステルに何言った」
「へ? 嬢ちゃん、に?」
 思いがけない言葉に間の抜けた声が漏れる。
 エステル嬢ちゃんとは普段通りの会話以外した記憶がない。だがそんなレイヴンの反応が気に入らないのか、手を踏んでいる足に力がこめられた。
「い、痛いって! 青年っ!」
「さっきな、野菜を洗ってるエステルに言われた」
「な、何をっ」
「濡れた手を俺に差し出して「今なら私の手も冷たいから触ります?」ってな」
 え、いや、それのどこがどうなっておっさんをフルボッコになるんですか?
「何でだって聞いたら「青年は冷たい手なら触りまくってくれるわよ」っておっさんが教えてくれた、って言ってたぞ。――おい、おっさん。何つまんねーこと人に話したんだ? あ?」
「…………。あー、あの、それはぁ……」
 確かに言いました。
 ここ最近の暑さでバテてるユーリが、冷たいからという理由でレイヴンが触るのを許してくれるのが嬉しくて、ついつい浮かれてそんなことを口走ったような気がします。
 だって冷たさの為だとはいえ、昼間でも隠れてこっそりと触ってくれるなんて、もう天にも上るような気持ちだったのだ。普段は皆がいる時は愚か、宿で二人きりになった時だってあまり触らせてくれないのだから、多少浮かれたって仕方がないではないか。
 ユーリからレイヴンに触れてくる熱い指先。
 もうそれだけで興奮してしまって、誰かれ構わず喜びを表現したかったのだ。
 普段隙のないユーリが、瞼を下ろして手に頬を押し当ててくる、この光景に興奮しまくって舞い上がらない訳がないではないか。
「覚悟は出来てんだろーな」
「あ、あの、ちょい待ってよ、青年。おっさんもう、瀕死なんですけ、ど?」
「安心しろ。ライフボトルは用意してる」
「いや、それってちっとも安心じゃ――」
「他の皆は、ジュディに言って先に宿に行ってもらったから、助けにこねーからな」
「目っ! 目が怖いわよっ、て、いや――――!!!」

 後には割れたボトルが無数に散らばっていたとかいないとか。


暑さに負けたレイユリ話は、こんな酷いオチで終わる。
おっさんってさ、墓穴掘るタイプだよね。
そして青年は、おっさんに対しては容赦って言葉を知らないと思う。
ちなみに戦迅狼破→爆砕陣→絶破烈氷撃
あ、でもほら、それはおっさんには気を許してるからだ、よ?

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