運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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七夕

ベタな話は一度書いておかないとね、ということ。
レイユリですよ。たぶん。


 
「はい、これレイヴンの分ね!」
「んー? 何よこれ、少年」
 宿に戻った途端にカロルから長方形の色紙を二枚手渡されて、レイヴンは首を傾けた。綺麗な色の紙の表面には何も書かれておらず、裏返して見たがそちらにも何も書かれていない。ただ上に穴が空いていてこれまた綺麗な紐が通されているだけだ。
 菖蒲色の紙に桃花色の紐とは、随分と少女趣味な組み合わせで、レイヴンが持つには不似合いなことこの上ない。だがカロルの手にも同じような紙が握られていて、そちらは萌黄色と橙色の組み合わせだったから、色の可愛さという点では良い勝負かもしれない。
「エステルが作ったんだよ」
「ああ、なるほどね」
 それならこの色も納得がいく。
 が、肝心の答えを聞いていない。この紙は一体何の意味があるのか。そして窓から外へはみ出すように立て掛けられている、細い葉のやたら大きくて邪魔な木は何なのか。
「今日は七夕なんだって。「タンザク」に願い事を書いて「ササ」に飾ると、天の川の星が願いを叶えてくれるんだってさ」
 それはまた、紙の色と同等に少女趣味な話だ。
 願い事を書いただけで叶うなら苦労はしない。恐らく本で読んだ、子ども騙しの風習なのだろうが、あの現実的な魔導少女までもがペンを片手に紙に向かっていては、さすがに口に出すのははばかられた。たまには、子どもっぽい行事に参加も悪くないかも知れない。
「――って、青年も書いてるの?」
「書けって押し付けられたんだよ」
 部屋の隅では青年が、手持無沙汰な様子で座っていた。
 手元には、紅桔梗の紙に紫黒色の紐の「タンザク」。もちろん、紙の表面には何も書かれていない。
「で、何を書くのよ」
「おっさんは何を書くつもりだよ」
 願い事、といわれても特にこれといって浮かんでは来ない。今生きてるだけで奇跡のようなものだから、これ以上何かを望むということは、どうも慣れない感覚だ。
 素直に「ギルドを大きくする」と書ける少年が羨ましい。
「うーん、そうねえ。例えば世界平和とか」
「おっさんが書いたら胡散臭過ぎるだろ」
「あー、じゃあ、美女にモテモテになりたいとか?」
「難易度高過ぎで叶えてもらえねーんじゃねえの」
「そうねえ、難易度高過ぎ…って酷いんじゃない? 俺様今でも結構もてるわよ?」
「そうですねー」
 抗議をしたが、これ以上はないというくらいの棒読みで流されてしまう。
 青年、やっぱりおっさんには冷たい気がします。
 美女にもてなくても俺がいれば良いだろと、まあ、そんな嬉しい台詞は絶対に言ってくれないことはわかっているけれども、ちょっとぐらいは夢見させてよと言いたい。ちょっとはヤキモチ焼いた顔を見せる――訳はないか。
「んじゃ、バトンタッチな。俺、散歩でも行ってくるわ」
「ちょ……。ちゃんと書かないとお嬢ちゃんに怒られるわよー」
「ガラじゃねえよ。おっさんが書いといてくれ」
 そう言うと、少し急ぎ足でユーリは出て行ってしまった。
 テーブルの上には何も書かれていない紙が……一枚だけ残っていた。レイヴンの手には渡された紙が二枚、ある。
「? ――ねえカロル君、青年、一枚は書いたの?」
「ユーリ? うん、書いてたよ。たぶん、一番上に吊るしてるやつだよ」
 窓から外へと伸びた木の一番先、手の届かない位置に一枚、紅桔梗色の紙が風になびいていた。 風に吹かれて揺れ動く紙に何が書かれているのかは、はっきりと見て取ることは出来なかった。動いていて読みにくいし、葉が邪魔で文字がよく見えない。だが揺れながらも時おり表をレイヴンの方に向ける紙には、「一緒」という文字と共に「レイヴン」の名前が見え隠れした、ような気がした。
 願望が強過ぎて幻覚を見るようになってなければ、たぶん、見間違いではない。はずだ。
「おじ様も、書くんでしょ?」
 澄んだ空色の紙を持ったジュディスがにっこりと笑って差し出してきたペンを、レイヴンは黙って受け取った。


青年は素直じゃないけど、意外にゲン担いでたら可愛いなとか思った。
レイヴンが見たと気づいたら「記憶を失え」とでも言って噛烈襲かますんじゃないかと思う。

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