運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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デュクユリ…か?

某方にお約束したデュクユリの出だし。
と言いつつ、デュクユリどころかほとんどデュークが出てこない罠。
あれー?

悩んだ結果、切ない系で書くつもりです。
続きはだいぶ間が開くと思う。そしてあまり期待しないで欲しい。
ブログで小出しにするか、サイトUPで一気に書くかは未定。
先にレイユリ書かなきゃ。
終わらねー。


 
 半分に切った玉ねぎの根の部分を少し残しながら、縦に細かく包丁を入れていく。次いで横からも包丁を垂直に差し込み数か所切り込み入れ、端からトントンと小気味よく刻んでいった。細かくみじん切りになった玉ねぎをボールに移し入れ、残りの玉ねぎも同じように刻んでいく。
「相変わらず手際がいーな、美人さん」
「誰が美人さんだ。ボケる前にさっさと注文しろよ」
 いつも通りのからかいの言葉にいつも通りの返しをしながら、ユーリは積み上がった下準備待ちの玉ねぎの数を減らしていく。小さな店では調理をするのも下準備をするのも客の相手をするのも、全て同時進行だ。昼食前のこの時間は特に忙しい。いくら常連とはいえ、朝からのんびり酒を飲んで夕方まで居座る様な暇な年寄りの相手をまともにするような時間はない。
 口と手を別々に動かしながら、休む間もなく作業を続けていく。
 最後の玉ねぎを刻み終えておかみさんに渡すと、長ネギを三本流しに放り込んだ。ずり落ちてきていた袖の裾をもう一度めくり上げて、水桶にためておいた水でネギを丁寧に洗う。井戸から今朝くみ上げた水は既に温くなっていたが、肌に心地良かった。
 朝起きて、おかみさんの店の手伝いをしつつ、下町の年寄り連中と言葉を交わす。昨日や一昨日と、ほとんど何も変わらない時間。あの騒動が嘘のようだ。
 星喰みを倒す為に世界中のほとんどの魔導器は失われてしまった。生活を支えていた魔導器の消滅に世界は混乱を隠し得なかったが、だが元々潤沢に恩恵を受けていた訳ではない下町は、驚くほど以前と変わりがない。
 手動による水の汲み上げと濾過装置のお陰で、朝の仕事が一つ増えた、程度の認識だ。やることが増えてボケずに済むと笑っていた年寄りは、労働ついでに集まって昼食を食べる――という名目で井戸端会議をするという、新たな楽しみを見つけて、逆に以前より生き生きとしているほどだ。
 こういう強さはユーリには有難かったし、心地良い。それに実際心配してたほど世界も、皆も、悪い方には流れているようには見えず、取り敢えず安心をしていた。
 星喰みと魔導器の消滅後の帝国は混乱の収拾は、多少の不手際はあったもののよくやった方だと思う。それらはひとえに騎士団長代理でほとんど不眠不休の状況で世界中を飛び回っていたフレンの活躍だと思うのは、別に親友としての贔屓目故ではない。何もかも急に良くなるなどということはないし、騎士団は相変わらずどうしようもない輩も多いが、それでも一応は貴族以外の為にも働いているように見えた。まあ、これだけ世界が混乱していれば、動き回らざるを得ないということなのかもしれないが。
 それに裏方とはいえレイヴンが騎士団に戻っているのも多少は効果があるのかもしれない。レイヴン自身は戻る気がなかったようだが、ヨーデルからの直接の要請ということで顧問のような形で戻っていた。まあ要請と言えば聞こえはいいが、実際はヨーデルが裏で色々と手をまわして戻らざるを得ない状況を作り上げたらしい。シュヴァーン隊の面々とか、ギルドとの微妙な関係とか、自由にならない部分も多かったのだろう。不本意な裏取引の積み重ねの結果の復帰だった。あの天然殿下は、評議会の連中を相手に一歩も引けを取らない腹黒差も持ち合わせていたようだ。
 もっとも、おそらくそれだけでもないのだろう。結局全てが終わった今、ラゴウのこともキュモールのことも、彼らの不正が明るみに出されただけで、ユーリのしたことについては咎められることがなかった。わかっているはずの事実が当たり前のように隠されている。それもレイヴンの復帰と一枚絡んでいるのだろうが、それについてユーリは自分から口にするつもりはなかった。
 この期に及んで事実だからと口にするのは誰の為にもならないし、法の罰を求めるのはそれこそ身勝手なことだ。法を犯したユーリとしては、誰にも許されないまま抱えておく以外にないのだろうと思う。レイヴンのことも、彼が口にしない限りは触れるつもりはなかった。
「お勧めはなんじゃい、美人さん」
「すぐに出来るのだったらチャーハン。時間があるならおかみさんのハンバーグも美味いぜ」
「うーむ、だったら久しぶりに童心に返ってオムライスかのう」
「……俺の意見無視かよ」
 どうせ注文が決まるまでは酒でも飲みながらのんびり決めることはわかっているので、軽く返しながら調味料を確認する。ああやって何を頼むか仲間内で話している時が楽しいのだということぐらいはわかっていた。その時間を無理に急かして奪うつもりはない。
 旅の間も食事のメニューが決まるのに時間がかかることが多かった。ユーリとリタは別にお腹の中に入れば何でも良いというスタンスだったが、あれで意外にカロルがカロリーとか栄養バランスを気にするタイプだったのだ。あの年なら好きなものを食べたいと主張しそうなものだが、ああいったところは元々人をまとめる資質があるのではないかと思える。
 そんなカロルも今はギルドのボスとしてダングレストで活動中だ。大きなギルドにしたいという夢は子どもっぽい響きながらも、真っ直ぐで応援したくなる。今はジュディが個人的な用件で世界中を回っていて凛々の明星としては活動休止状態だが、ユニオンの手伝いや基盤作りに忙しいらしい。ユーリも帝都にいながらも、時折言付けられてくる魔物の討伐依頼などをそれなりにこなしていた。そのうち機会を見てダングレストに集合する日もそう遠くはないだろうと思う。
 リタは相変わらず研究三昧のようだ。魔核はなくなったが装置としての魔導器は相変わらず興味の対象らしく、それに新しく出現した精霊の研究にも余念がないらしい。数少ない稼働している魔導器であるレイヴンの心臓のメンテナンスと称して、帝都にもよく顔を出しているが、本命はエステルに会うことのようなのは相変わらずだ。
 そのエステルは本人の宣言通り絵本作家になるべく頑張っているらしい。情勢上ハルルへの移住はまだ先のことになりそうだが、副帝として福祉活動を中心に活動しつつ話を書きためているらしかった。旅でのことを元にしたストーリーだそうだが、以前本人から無理矢理読み聞かせられた内容は、とんでもなく乙女思考のフィルターが入っていて聞いていて恥ずかしかったものだ。書き上がる度にフレンに聞かせているのだと言っていたが、忙しいのに加えてあの話に晒されるなど、親友の精神的な面を甚だ不安に感じてしまう。
 洗ったネ長ネギを繊維に沿って縦に切り込みを入れてから、横に包丁を入れてみじん切りにして小さめのボールに移す。その合間に唐辛子を熱した油の中にひき肉を放り込んで炒め、スープを加えながら味を調えていった。
「おー、良い匂いがするのぉ」
「注文、決まったのか」
「今作ってるのは何じゃい」
「麻婆豆腐。食うか?」
「むむむ。だがワシは今、カレーが食いたい気分じゃ」
 さっきはオムライスって言ってなかったか、とは突っ込まない。これもいつもの応酬だ。
「んじゃ、マーボーカレーにするか? 出来るぜ?」
「おお、美人さんの特別メニューとはワシも愛されてるのぉ」
「あー、はいはい。たっぷり愛情がこもってるぜ」
 年寄り連中の言い方にどうしようもないおっさんの姿を思い出しつつも、彼にしていたよりは優しい声音で対応する。ウエイターのバイトの時には皆に散々言われたが、こうやって手伝っている時はある程度はマシな愛想で対応している、と自負していた。目元が笑わないからちっとも愛想がよくないとダメだしをされもしたが、元々ユーリのことをよく知ってる下町の連中相手では、愛想が良い方が怖がられるのだ。
 カウンターから手を伸ばして尻を触ろうとする年寄りの手を、皿に手を伸ばしながらするりとかわすと、出来上がったばかりのマーボーカレーを盛り付ける。唐辛子の刺激臭が鼻腔をくすぐり口の中に唾液が広がるのがわかった。
 そう言えば朝食に一枚食パンをかじっただけで、それから味見以外では何も口にしていない。ついでに自分の分も何か用意するかと、パンを薄切りにして手早くその辺の食材を詰め込んでいった。あまりもので作るサンドウィッチは、見た目こそ綺麗ではないがなかなかいける味だ。あとはフルーツでもあった方がいいかとリンゴに手を伸ばしたところで、
 ――カタン
 小さな音が頭上から聞こえた。
 ユーリはリンゴとナイフを手にしたままそっと視線を天井に向ける。この真上は丁度ユーリの部屋あたりだ。
「起きた……かな」
 天井とリンゴを交互に見つめ逡巡しながら、リンゴにナイフを入れる。一瞬ウサギ型に切ろうかと思ったが、別にそれを喜ぶような人間は誰もいないので普通に皮を剥いた。いつも自分が食べるよりも細めの八等分に切り分けて皿に入れる。
「ユーリ、ここはいいよ。早く行ってやりな」 
「悪ぃ、後任せるわ。鍋、火にかけてるから」
 おかみさんの言葉に感謝の言葉を返しつつ、リンゴを入れた皿と先ほどのサンドウィッチの皿、そして用意してあったミックスジュースに大き目の氷を一つ放り込んだグラスを二つトレーに乗せると、忙しくなりだした食堂を出て二階への階段を登った。
 星喰みが消え魔導器がなくなっても、エアルがなくなり精霊が現れても、世界は混乱しつつも人々の生活は驚くほど何も変わらない。想像していたような大きな問題は今のところ何も起っていなかった。良くも悪くも皆は今日を生きることに精いっぱいで、なくなったものを嘆いたりする暇はなく、変わらない日常を今日も積み重ねている。
 何も問題はない。ただ一つを除けば。
 トレーを片手に自室の前でユーリは立ち止まり、十数秒扉をじっと見つめていた。慣れ親しんだ自分の部屋が、妙に自分を拒絶しているように感じるのは、戸惑いゆえかそれとも別の感情故か。問い掛けても無駄な問いを自分に重ねつつ、長く細い息を吐き出して呼吸を整え、左手でノブを回した。
 キキッと小さな軋みの音を立てつつ、扉は簡単に開く。広くはない部屋には窓からの光が差し込んでいて、すぐ目の前のベッドに腰を掛けている人物を照らし出していた。俯き加減だったその人物は扉の開いた音に反応して顔をあげ、ユーリの方を見上げるように見つめる。
 さらりと、長い髪が揺れて頬を流れていく。質素な作りの部屋に似つかわしくない陶磁器のように白い肌の上で、光を集めて編み込んだかのような白銀の髪が煌めいていた。細く長い指は芸術家が巧みに彫りあげた彫刻のように美しく、ルビーを溶かし込んだように赤い瞳は本物の宝石よりも輝いてみえ、身体付きはシルエットだけを見れば女性と見紛う艶やかな曲線を描いている。こんな人間が存在するのかと、相手を目の前にしてすらそう疑ってしまいそうだ。
 細い腕が僅かに持ち上がり、ユーリを求めるように指が動く。
 長い睫毛が瞳の上で揺れ動き、赤い瞳がユーリを捕らえる。
 形の良い唇が何かを口にしかけて閉じ、そしてゆっくりと微笑みを模る。
 ああ、昔の彼はこんな風に笑う人物だったのかと、そう思った。これほど柔らかに優しく、けれど儚く壊れそうに生きてきたのか、と。
「どこに行ってたのだ?」
「――下だよ。酒場の手伝い」
「そうか。姿が見えないから心配した」
「……」
「ところで、ここはどこだ? ――エルシフル」
 信頼しきった真っ直ぐと逸らされることのない瞳を、ユーリは複雑な気持ちで見返した。
 パチンと弾けて融ける氷の音が、熱い室内に澄んだ音色で響き渡る。黙ったままのユーリに少しだけ怪訝な表情をしながらも、デュークは少し首を傾けるだけで黙ってユーリの言葉を待っていた。
 じっとじっと、逸らされることのない瞳。
 信頼し、安心した眼差し。
「エルシフル? 何か問題でもあるのか?」
 ああ、この世界は何事もなく続いている。
 ただ一つの問題を除いて。


某方との話に出した記憶喪失ネタ。
デュークが人魔戦争まで記憶戻る&脳内でユーリ=エルシフルになっちゃってる妄想。
ED後の話。デュークが捏造99%になってても許せるなら付き合ってやって下さい。

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