運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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定位置

定まらない感の強いSSですが、
これで少しでも萌えて癒されて下さい。
ユリレイっぽくてもレイユリだと、懲りずに主張しておく。


 
 レイヴンはユーリのすぐ斜め後ろをのんびりと歩いていた。
 フラフラと歩く度に服の袖が揺れて、ユーリの服の裾に時々掠めるように触れる。以前はもう一歩後ろの位置を歩いていたのだが、色々と秘密のなくなった今は、この距離を歩いていてもユーリは警戒心を見せない。
 たまに当たる指先を気にする様子もなければ、邪魔だと言われることもなかった。最初の頃はすぐ剣を抜けるように短めに持たれていた剣の下げ緒も、レイヴンが隣にいる時はだらりと長いまま持っていて、隙があることを気にとめることもない。
 そんな表に現れる小さな変化が、どれだけ大きいものかを知っている。
 以前はレイヴンの動きを常に追っている気配があったが、今は全くなかった。ラピードが隣に来るのを当たり前のように受け入れるように、レイヴンが隣に並んでもユーリの気配は変わらない。このことの心地良さと優越感は、空っぽだった心を簡単に満たしてくれる。
 近くの距離。気にしない気配。様子を窺うことのない眼差し。
 こんな些細なことで幸せだなと思ってしまうのは、今までの死人生活で幸せと縁遠かったせいか、それとも些細に思えるこの幸せが大きなものだからなのか。
「――青年」
 疲れからか少し歩調が遅くなった皆に合わせるように速度を落として歩くユーリの背に、のんびりと話しかけた。ユーリはレイヴンよりもやや高い位置にある瞳を左右にめぐらせ辺りの様子を窺いながら、こちらものんびりとした口調で返してくる。
「なんだよ、おっさん」
「んー、いや何でもないわ」
「暇なら食事当番代わってやるぜ」
「おっさん一言も暇なんて言ってないんですけど?」
「今ので『何でもないわ』って何回目だよ」
「……七回目?」
「数えてたのかよ」
 はっきりと呆れた色合いを浮かべた声で返し、ユーリは立ち止まった。
 ちなみに、立ち止まったのはのんびり歩くレイヴンを待ってくれた訳でも、構ってオーラに折れて相手をしてくれる気になった訳でもなく、エステルの歩みが止まったからだ。そういう点でもユーリはレイヴンに気遣ってはくれない。
 風が心地良かった。ユーリの髪がふわりと靡いて、頬に触れる。
 掴もうと伸ばした手は、だがふわりと避けられてしまった。
「何しようとしてるんだよ、おっさん」
「ちょっと触ろうとしただけじゃない」
「じゃあ、何で少し背伸びしてるんだよ」
 それは髪を掴んでユーリを振り向かせたところで、皆の目にとまるかもしれない危険を冒してキスをしようとしたからです、とは言えずに曖昧に笑う。見下ろしてくる紫紺の瞳の鋭さから、全く誤魔化し切れてはいないようだったが。
「些細な楽しみじゃない」
「この前もジュディに釘刺されてただろ」
「障害が多い方が燃えるでしょ、青年も」
「わざわざ危ない橋を渡る趣味はねーよ」
 一言の元に切り捨てられて、はぁ、と肩を落として溜息をついた。本当にツレない。最近は部屋割りの都合上二人部屋になることがなかったし、昼間は移動続きでこちらも二人きりになることがなかった。街につけば酒場ぐらいは二人で行くが、強行軍が続いているので深酒をすることもない。自然、コトも少なくなっていて、レイヴンとしては不満がたまっていた。
 と、すぐ目の前に影が掛かる。視線を向ければすぐ目の前に、自分を見下ろしていたはずの深い紫紺の瞳があった。僅かに前かがみになった、ユーリがレイヴンを真っ直ぐと見ている。
 同じ高さの瞳。同じ高さの唇。
 そっと近付き、重なる。そして離れる。
「せ、いね――」
「これなら見えねえだろ」
 皆の視線を自分の背で隠したユーリは、素っ気なくやや早口にそう言うと、不貞腐れたようにそれ以上何も言わなかった。

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