運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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風邪ひいた

リアルの最高山場乗り切り&連載完結で気が緩んだのか、
ばっちり(?)風邪ひきました。
ディシディアも自重して養生します。

以下、ユリレイSS。
連載してたweg(ワールズ・エンド・ガーデン)後のネタだけど、
別にそんな設定知らなくても読める。


 
 身体中が熱くて痛くて重かった。
 全身がだるくて動かすのも億劫で、けれど神経だけは妙な部分で冴えているのか、汗ばむ身体とまとわりつくシーツの感触が気になりだすと止まらない。傷口が焼けるような熱を発していて、疼くような痛みを生み出していた。声を出そうとしたが、擦れた熱い空気だけが喉元を通過していく。
 熱を出すなどいったいいつ以来だっただろうかと、全身を覆う気持ち悪さから逃れるように考える。
 風邪をひいて高熱を出したユーリを、ハンクス爺さんがアタフタし過ぎて宿のおかみさんに怒られた時だろうか。いや、その後で川に落ちて風邪をひいた時が最後だったかもしれない。あの後フレンが自分で作ったおかゆを持ってきてくれたのだ。あのおかゆは少し薄味だったが普通に美味しかった。今のフレンの料理の腕を考えれば、きっとおかみさんが付きっきりで教えてくれたのか、初めてだったのでレシピ通りに作ったかのどちらかだったのだろう。
「……ア…ィ」
「――水、飲めそう?」
 身体の熱さと喉の渇きから逃れるように小さな呻き声を押し出すと、凛とした涼しげな声が聞こえた。はっきりとした声は耳に心地良く、重く腫れぼったい瞼をゆっくりと押し上げる。
「ジュ、ディ……」
「そろそろ目が覚めるかしらと思ってね。水、飲ませてあげましょうか?」
「あー……。いや、自分で飲む、わ」
「あら残念。私じゃ不満だったかしら」
 余裕で笑って見せる姿に、色々と手間を掛けさせたなと言葉を続けると、言いたいことは体調が戻ってからたっぷりと言わせてもらうわと返される。終始笑顔なのが、逆に怖かった。これはしっかりと腹をくくっておかなければ乗り切れない。
 サイドテーブルにたっぷりと氷の入った水差しとコップが置かれた。テーブルの上が少し濡れていたから、ぬるくなった水を入れ替えてきてくれたらしい。
「エステルとリタとカロルは今は寝てるわ。事情は適当にごまかして説明しておいたから、後で貴方も上手く説明を合わせてね。それから、」
 水差しの隣に、道具袋が置かれた。
「次に出掛ける時は『忘れないように』ね」
「ジュディ――」
「私の心臓ももたないから」
「気、つけるわ」
「そうしてくれると有難いわ。じゃあ、お邪魔みたいだから私も休むわね」
「あ、おい」
 身体を起こそうとしたが動かず、出ていくジュディをそのまま見送った。
 それにしても本当に身体が重い。特に左半身が重くてだるかった。傷に加えて熱で節々が痛く、このままもう一度寝てしまおうかと思ったが、喉は想像以上に渇きを訴えてくる。閉じかけた目を開いて力を込めようとしたところで、動かない自分の左手に違和感を感じた。
「――――って、」
 視線をやると、そこにはぼさぼさの髪がシーツに突っ伏してる姿が目に入った。今にも椅子から滑り落ちそうな姿勢で腰を掛けて、ユーリの左半身に覆いかぶさるように眠っているレイヴンの姿。
「マジ、かよ……」
 重かった左半身の原因は、どう考えてもこれだ。体力の限界がきて倒れそうになったユーリをベッドに押し込めた後、どれだけ大丈夫だと言っても眠るまで部屋に戻らないと主張していたのだ。だがレイヴンとて体力を相当に消耗していた訳で、そのまま疲れて眠ってしまったのだろう。
 起こさないようにゆっくりと手を引き抜こうとしたが、レイヴンの手はユーリの服の袖をしっかりと握っているらしく、動かそうにも動かせない。かといって左手を動かせなければテーブルの水差しに手が届かない。ジュディの思わせぶりな言葉と表情は、どうやらこの状況を指してのものだったらしい。状況を把握していなかったユーリも悪いが、目が覚めたばかりでわざわざこの状態でジュディが放置していくとは、相当怒らせているのだということはわかった。
「抜け……ねぇよなあ」
 ツンツンと引っぱってみるが、レイヴンの身体は微動だにもしない。
「おい、おっさん」
「――――」
「おっさーん」
「――――」
「反応なしかよ」
 レイヴンと水差しを交互に眺めて、はぁと溜息をつく。
 正直この状況はなかなかきついものがある。目の前にあるのに手の届かない水差しもそうだが、
「おっさんのくせに可愛い寝顔晒してんじゃねーよ」
 まるで子供が母親の服の裾を握るように、しっかりとユーリの袖を掴んだままのレイヴンの手。そして腕の隙間から覗き見える、眠ったレイヴンの横顔。その瞼は少し腫れぼったくて、目の下の隈は深いけれども、表情はどこか穏やかなもののように見えた。
 右手を動かして、そっと耳元から手を差し入れて髪を撫でる。
「ん……――」
「無防備なおっさんだな」
「……ん」
 レイヴンが小さく身動ぎをすると、ユーリの手の平に頭を乗せるように倒れてきた。
「お、おい」
「――――」
「ったく、こっちの身にもなれよ」
 まったくどうしろって言うんだよと、誰も答えてくれない愚痴をこぼす。
 左手に続いて右手も拘束されてしまっては、シーツに身を沈めることすらできない。仕方なしに上半身を前のめりにしてバランスを取り、倒れてしまうことだけは避けた。そして、さてこの次はどうするべきかとノロノロと頭を動かす。
 水差しを取るために手を抜くか、この状況を続けるために限界まで我慢するか、それとも別の選択肢を作ってしまうか。別の選択肢って何だよと頭の中で自分自身に突っ込みながら、熱が思考を暴走させてしまわないうちに、早く決めてしまわなければならないなと、まとまらない頭でそう思った。それほど長くは、色々なものがもちそうにないのだから。

 数十分後、折り重なるようにして眠っている二人に呆れながら毛布を掛けていった人影があったことは、言うまでもないことである。


本編の緊迫感や男前っぷりを蹴り飛ばすSS。
ユーリ視点はこんな感じ。あのシリアスさを返せ、と言ってはならない。
wegはユーリを幸せにする為のSSです。

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