運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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甘い罠

甘いレイユリ。甘いレイユリ。
と思ってたら甘いものとレイユリ、になった罠。

ユーリにとっては「クレープ>おっさん」だと思われる。
頑張れ、おっさん。
死ぬ気で頑張れ。


 
「ねえ、あんまり聞きたくないんだけど――」
「聞きたくなきゃ聞かなきゃいいだろ」
「うーん、でもおっさんにはとっても重要なことなのよね」
 次の言葉を選んでいる間も、ユーリの動きが止まることはなかった。手元を見ながら休むことなく忙しく手を動かしている。剣を器用に振るう手は、道具を変えても見惚れるほど器用に動くものだ。
「じゃあ早く言えよ」
「……。あのね、ユーリ青年。それ、何?」
「クリーム。見てわかるだろ」
「あー、クリームだってことはおっさんにもわかるんだけどね」
 意を決してユーリの手の先にあるものを指差して発した言葉は、認めたくない状況をあっさりと肯定して下さった。
 さっきからユーリが作っているものが何かは、聞かなくてもわかっていた。レイヴンも何度か作らされたことがあるから良く知っている。黙々と作るユーリの手並みは見事なぐらい鮮やかで、エステルが宮廷の料理人よりも上手だというのも欲目という訳だけでもないだろう。普段の仕上げは多少庶民的なところはあるが、それでも本気を出せば宮廷フルコース並みの盛り付けもこなすし、何より飽きのこない絶妙な味付けは奇跡の域に達している。
 だが問題点はユーリの料理の腕ではなく、また今回に限っては作っているメニューでもなかった。甘いものが好きなことはわかっているし、当番を任せると必ずデザートまで作成するのはいつものことだ。問題なのは今この場にいる人数と、作っている量だ。
「念のため確認するけどね」
「なんだよ」
「今は素材集めで皆別行動してて、ここにはおっさんと青年しかいない訳よね?」
「悪霊を連れ歩いてるんじゃなきゃ、そーだろ」
「で、それはもちろん、今食べるのよね?」
「作りたてが美味いに決まってるだろ」
「うん。料理は出来たてが一番よね。そこはおっさんも賛同するんだけど……」
 先ほどからユーリが必死にクリームを泡立てているボールに目を落とす。手足の長いユーリが抱えていても大き過ぎるだろうと言うぐらいのボールには、今にも溢れそうなほどの泡立ったクリームが存在していた。
「そうか? 大丈夫だって。大量に作るの慣れてるしな」
「いやいやいや。問題点は上手に作れるかどうかではなくてね――」
「あー、そんなことはいいからさ、おっさん」
 手を止めて、ユーリが振り向いた。いつもは鋭いはずの紫紺の瞳が、三割増ぐらいに大きく開かれて妙に輝いて見えたのは、決して気のせいだけではないだろう。
「俺、今からショートケーキのデコレーションするから。おっさんはその間にクレープの生地、焼いといてくれよな」
 綺麗に焼き上がった三つのホールスポンジを指差して言われたら、もうどこから突っ込んで良いのかわからない。おっさんにもわけてやるよという言葉を涙が出そうな気持で聞きながら、がっくりと肩を落として、クレープ生地の作成の為に卵に手を伸ばした。


甘いものを前にした青年は、アニメーションの破壊力抜群ウィンクシーンのごとく大きな瞳をしているに違いない。おっさん、一撃死。

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