運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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ニアの実

ちょっとサイトのデータ整理やってたら、
ここ一年ぐらいあんまりSS書いてないなーって思った。
忙しいとか言い訳はいかんな。
もうちょっと気合い入れよう。

↓ユリエス。一人旅でのクオイの森。


 
 足元に落ちていた木の実を拾い上げた。ニアの実だ。
 落ちてから随分と時間がたっているのか、半分ほどかじられた実は茶色に変色して腐りかけている。すり潰すとくさい臭いを撒き散らす実も、これだけ時間がたっていれば鼻を近づけてもあの強烈な臭いはしなかった。ただ腐敗しかけた苦味を帯びた匂いが、ほんの少しだけ鼻についた。
「疲れた、な――」
 片膝をついて、隣を歩いていたラピードの身体を撫でた。見た目とは違い柔らかい毛並みは、冷え切っている手にとても温かい。
 この場所、だった。エステルがニアの実を口にしたのは。
 悪戯心で差し出した実を、エステルは何の疑いも抱かず口にした。大きく丸い目が苦さで眇められ、口が絵に描いたようにへの字に曲がって、全身で苦さを表現していたものだ。それでも二口目を食べようとしたところなど、お姫様のわりに頑固な彼女の性格をよく表わしている。
 そんな苦い思い出でも彼女にとっては特別だったのかもしれない。立ち寄った各地の森でニアの木を探している様子は何度も見たし、ニアの実を拾っては密かに食べることに再チャレンジしている姿を見かけたこともあった。苦いとわかっていて口に運び、口に含んだ苦さに顔をしかめ、けれどどこか嬉しそうにしていた。
 帝国の皇位継承者であるというよりも、何も知らない一人の少女でしかなかったエステル。実際彼女に特別な力がなければ、皇位継承者などというものは単なるおまけでしかなく、世間知らずのお姫様として一生を終えたのだろう。ユーリに出会うこともなく、世間を知ることもなく、自分の力を利用されることもなく。そして――殺されることもなく。
 ユーリは掴んでいたニアの実をそっと地面に戻した。
 ニアの実を食べた少女はここにはいない。苦いと知っていてニアの実を食べようとする少女はここにはいない。世間知らずで、一生懸命で、でもすぐに周りのことが見えなくなる少女はここにはいない。そしてもうすぐ、この世界のどこにもいなくなる。
 壊れて横たわっている魔導器の脇に腰を下ろす。
「この森を抜ければ帝都はすぐだ。少しぐらい眠っても問題ないよな、ラピード」
 口にしながら自分で笑ってしまいそうなほど酷い言い訳だ。自分で選んで、決断して、腹をくくったはずなのに、それでも心が躊躇いを訴えかけてくる。少しでもその現実がやってくるのを遅らせようと、不毛な足掻きを繰り返す。彼女の言葉にかけて、自分の決断にかけて、選ぶ道は一つしかないというのに。
 左手に下げていた宙の戒典を抱えるようにして瞼を下ろした。呪いの話に怯える少女はここにはいないのに、足先からじわりと広がってくる冷たさは変わらない。ニアの実を求める少女はいないのに、あの時と同じようにニアの実は落ちている。少女の温もりも、少女の笑顔も、少女の声もないのに、澄んで聞こえる虫の音はあの時と変わることなく森の中に響き渡っている。
 ――苦いけど、美味しいです
 苦さで涙目になっているのに嬉しそうだった彼女の笑顔が、鮮やかに浮かんで、そして消えた。


ユリエスも普通に好きです。
でも恋愛ってよりも保護者と被保護者って方が萌えます。
ユリ/リタは兄弟みたいな、ジュディ/ユリは共犯者みたいな関係が良い。
ちなみにカロ/ユリも結構ありだよなと最近思う。 <雑食

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