運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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約束 -レイユリ-

受けユーリ成分が足りない。
サイトでの連載に色気が足りない&ユーリが男前過ぎるのが原因なんだ。
男前ユーリも好きですが、乙女ユーリも大好物なのです。

欲求を満たすために自家生産してみた。
だが乙女おっさんと男前ユーリが時折顔を出す。
むーん。


 


 伸びてきた腕に頭ごと抱えられ、引き寄せられる。不意打ちの行動に振り払うことも留まることも出来ず、頭を押す手の力にされるがままに相手の胸に倒れこんだ。すぐさま起き上がろうとしたが、相手は逃がすつもりなどないようで、両腕でしっかりとユーリの身体を抱きしめる。
「ちょっ、おっさん?!」
 顔を埋める格好になって呼吸が出来なくなり、必死で身体を引き離そうとする。だが背中の後ろで組んだレイヴンの両腕は、想像以上に強い力でユーリを捕らえており、呼吸のための隙間を作るので精一杯だった。
「どうしたんだよ、おっさ――」
「いいから、少しこうさせてちょーだいよ」
「おい! ――ったく」
 顔を横に向けて押しつぶされるのを回避すると、取り敢えず抵抗するのをやめる。
 少し息苦しいことを除けば別にこうされていてもたいした害はない。それに、さすがに今は頑なに抵抗することは気が引ける。必ず生きていると信じていても、生死のわからない別れは心臓を握りつぶされるかのような痛みと苦しみがあることを、ユーリも知っていた。
「悪かったな。心配かけちまったみたいで」
「心臓、止まるかと思ったのよ」
「おっさんが言うと冗談にならねーぞ、それ」
「冗談言えると思ってる、青年?」
 腕の力が少し強まって、声が少し低くなった。
 怒っているのかと思ったが、触れられている手のひらは縋るようにユーリを捕まえているようだった。抱きしめている腕は、微かに震えているようにも感じられる。それはまるで手を離せばユーリが消えてしまう、そう不安を感じているかのようだ。
 所在なく両側に投げ出していた腕を、レイヴンの背に回す。そのまま数秒間逡巡した後に、そっと抱きしめるように背中に触れた。僅かに強張った様子が伝わってきたが、そのままじっと寄り添う。触れている部分が次第に温かくなってきて、ああこの温もりに二度と戻ってこれなかったのかも知れないのかと思うと、締め付けられるような痛みを覚えた。
 同じ痛みを、いやそれよりも強い痛みを感じさせたのだ。
「――悪かった」
「本当よ」
 レイヴンの胸に当たっている頬には、急くようにどくりどくりと脈打つ音が響いてくる。
 心配、していなかった訳がない。皆の手前、年長である彼が取り乱す訳にいかなかっただけなのだ。あの混乱の中、生死もわからずはぐれたのだ。ユーリは大丈夫だと皆に言い聞かせたであろう言葉は、同時にレイヴン自身に言い聞かすものだったのだろう。
 信じている。だが信じているからこそ絶え間ない不安に苦しくなる。誰にも漏らせない言葉は次第に自分の中で大きくなっていって、内側から蝕んでくるものだ。皆の前ではいつも通りの様子を見せていたレイヴンだが、目元が僅かにくぼんでいたことを見逃しはしなかった。
 不安で眠れない夜。温もりに触れることのできない手。瞳に写すことのできない姿。耳朶に捕らえることのできない声。それを、味あわせた。
「本気で勘弁して欲しいわ。おっさん、それほど丈夫に出来てないんだから」
「ああ」
 死ぬことは別に怖くない。最初に罪を犯した時から、いつか自分が殺されるかもしれないという覚悟も出来ている。だがこの手に、この温もりに触れていると、別の怖さが込み上げてくる。
「俺も、痛いのはごめんだし、な」
 傷の痛みではない。そんなものは時間がたてば消えていく。だが締め付けてくる胸の痛みは時間と共に余計に大きく強くなり、何もかもを蝕んでいく。この温もりと離れる恐怖は、いつか抑えきれないほど大きなものとなって、自分の覚悟も何もかも砕いてしまうのではないかとさえ思ってしまう。
 あの時感じたのは、罪でもなく罰でもなく恐怖でもなく、喪失感。
 目に痛いほどの青空の中で、轟く爆音を耳に捉えながら、抵抗も出来ず落下していく中で、驚くほど静かな世界の中に放り出された気がした。何もない世界に。レイヴンのいない世界に。身を斬られるような痛みが身体中を貫く、世界に。
「おっさんはずっと痛かったんだからね」
「……ああ」
「何度もあったらおっさんの心臓、もたないからね」
「わかってる」
「もう――離れるな、よ」
 言葉遣いの少し変わった声にユーリは戸惑いつつも頷き、背中に回していた手に力を込めた。
「離れねーよ。約束だ」
 抱きしめられた息苦しさが、とても温かく心地良かった。

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