運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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熱の伝わり方 -レイユリ-

ちょこちょこSS書いてるんですがオフ向けばかりで、
UP出来るのが少なくて放置状態になっててすみません。
17日以降は完全に潜りそうな予感がしてるので、
今の内に書いておきたいんですがねー。

という訳で、サルベージしてきたSS。
レイユリです。
続きが見つからないので中途半端です、すごく。
それでも宜しければどうぞ。


 


 器用過ぎて不器用だと思うことがある。
 そんなことを本人に言ったらムキになって否定することもなく、あーそうかもなぁと、少しもそう思ってない余裕を含んだ肯定が返ってくるだろう。笑いながら肯定して色々なものを受け止める。別にどう思われていても気にはしない。だがその器用な返し方こそが、一番不器用な面かもしれない。
 戦闘は言うに及ばず、交渉事やパーティー内のまとめもソツなくこなし、一人一人の様子にもよく目が行き届く。視野も広くて頭の回転も良いから、事態の飲み込みも早ければ緊急時の対応も適切だ。自分自身の問題点も認めた上で、それを隠し抱えきってしまう強い芯も通っている。出来過ぎだよ、と愚痴の一つでもこぼしたくなるほどだ。器用過ぎて、器用にこなしていることさえ忘れそうになるほど自然で。
 でも、だからこそ。
「ねえ、青年。少しはおっさんの相手でもしてよ」
「――ってーか、おっさん。酒臭いぞ」
「そりゃあ、飲んでるからね」
 燃え盛る炎を前に剣の手入れをしていたユーリの背中に、レイヴンは自分の背を押しつけてもたれかかる。
 炎に映し出されて動いている影はユーリとレイヴンの二つ。他の皆は今日の強行軍が堪えたのか、あっという間に夢の世界へ旅立っている。ラピードは少しだけ尻尾を動かして反応したが、すぐに瞼を閉じて伏せた。どうやら今日のところはレイヴンに任せてくれるつもりらしい。
 あんたも出来過ぎだね、と心の中でラピードに呟く。
「最近、あんま寝てないでしょ、青年」
「そうか? まあ野営が多いしな。どっかのおっさんはさっさと寝ちまうし」
「……もしかしておっさん、責められてる?」
「年取ると無理がきかないんだろ。別に構わなねーよ」
 気にしてないという口調で答える。
 実際、気にしてないのだろう。別に喜んで貧乏くじを引くような趣味はないだろうが、感情抜きで誰が一番適任かということを考えての行動なのだろう。楽をしたい、という感覚が少ないのは下町育ちゆえか、それとも性格ゆえか。
 横目でレイヴンはユーリの様子を窺った。ユーリは手入れの終わった剣を、手首を返して軽く一回転させてから鞘に収めた。やや伏せ目がちの表情に炎が揺らめく赤を落として、瞳と髪を幻想的な赤紫色に染めている。黙って遠目に見れば相当の美人だ。下宿していた宿の酒場で女に間違われたというのも納得できる。ただし、体格は男だし性格や言動にいたってはどう頑張っても女性らしさの欠片もないが。
「――飲む?」
「いや、いい。それ、おっさんのお気に入りの酒だろ」
「まあね。美味いよ。……飲めないってことなかったよね、青年」
「飲めないんじゃなくて飲まねーの」
「どしてよ」
「俺、飲んでも酔わねーし。勿体ないだろ」
 せっかくの酒だったら、気持ち良くなる奴に飲んでもらった方が良いだろと続ける。
 そういえば酒場で食事をしている時も、ユーリがゆっくり飲んでいる姿を見たことがない気がする。というか、最初は勢いがいいので水を飲んでいるのかと思っていたぐらいだ。
「でもおっさん、青年に飲んで欲しいし」
「は? 何でだよ。好きなんだろ、その酒」
「だから、よ」
 言葉を区切ってはっきりと伝えると、凭れかかっている背中を邪険に扱うことなく、ユーリはレイヴンの体重を支えたまま振り返った。レイヴンが様子を窺っていた向きと同じ方向から振り返ってきたので、すぐ近くにユーリの顔が迫ってきてドキリとする。心臓が暴れ出しそうだった。背中の触れている部分が熱いのは、焚き火の炎が強過ぎるせいだと言い聞かす。
 頬にかかる黒髪が少し乱れて絡まっているのが、妙に目についた。
「……おっさん?」
 ユーリの落ち着いた声を、鼓膜と背中越しの振動で同時に捕らえる。紫紺の瞳の中には炎の赤が揺らめいていて、間近で覗きこむと紫というより赤に近く感じられた。炎を宿した瞳。立ちはだかるものを全て焼き払う強さを有していながら、僅かな凪もない湖の水面のような静かさも有している。
 その中心に、レイヴンの姿が映しだされていた。


続きは、また今度。
近づくか近づかないか、の距離が大好きです。

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