運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | TOP↑

≫ EDIT

偽りと偽り -ヴェスペリア-

果たしてこれをユリレイ(ユリ)とか呼んでいいものかは不明。
たぶんまだレイヴンとユーリってな感じ。
正体わかる前。エゴソーの森に向かう前辺りのイメージ。


 


 ――これはまずいかもね
 乱戦の中で後方で術を唱えながら、レイヴンは表情は少しも動かさずに呟いた。
 この戦闘中だけで三回も青年が自分を振り返っているのに気がついた。一度はカロルの背後の魔物を殴りながら、二度目はリタっちに飛びかかろうとしていた魔物を斬り捨てながら、三度目は毒の爪を振りかぶろうとした敵を止めようとしながら。もちろん青年が仲間の様子に気を配りながら戦っているのは常のことだが、レイヴンに対しては信頼して――と呼べるのかどうかは微妙だが――気にかけることはあまりなかった。
 だが今日はいつもとは違った。常にレイヴンの姿が視界に入るように戦い、時折視線を向けてきている。こんなことは今までなかった。紫紺の瞳が自分自身の姿を捉える気配を感じるたびに、冷汗混じりの緊張感が身体を襲う。
 気付かれるようなことはしていないはずだ。騙すことには慣れている。もう十年も自分自身を騙しながら生きているのだから。それにまだ裏切る時ではない。ここ数日の自分の行動を思い返して見ても、何も怪しまれるような行動はしていない。だが、
 ――心臓に悪いわね、本当に
 規則的に動く心臓が痛みを覚える気がした。
 考えない方が良い。バレる時はバレるし、誤魔化し通せる時は誤魔化し通せる。気にしないでいつも通りに行動していればいいのだ。青年にしても、多少の疑いを抱くことがあったとしても、確信を持っている訳ではないはずなのだから。
 弓を強く引いて狙いを定め、青年が足止めをしていた魔物のとどめの一撃を放つ。ややカーブを描いた矢は、長い黒髪の流れを横切るようにして魔物の急所に突き刺さった。バックステップで青年が魔物から離れると、一瞬の間をおいて動きを止めた魔物は内部から破裂した。
 格好良く決めたつもりだったが、無理な姿勢で矢を放ったためにレイヴンはその場にひっくり返ることとなった。
 青年が振り返る。
「……どう? おっさんも役に立つでしょ?」
 ちょっと最後が決まらなかったけど、と笑ってつけ足す。だが青年の黒に近い紫紺の瞳は鋭さを消しておらず、言葉の端々が喉の奥に引っかかるのを自覚した。それでも気付かない振りをしながら、普段の表情と口調を装う。
 どこにも違いなど見受けられないはずだ。少なくとも今の戦闘で正体がばれるような行動はしていない。矢が青年のすぐ近くの軌道を取ったのは立ち位置の問題だけで他意はなかったし、今のような状況は今まででも何度もあった。
 青年は左右に軽く剣を振って血糊を飛ばすと、乱れた髪を無造作に後ろへ払った。そして左手で器用に剣を三回半くるりと回して鞘に収めながら、無言のままレイヴンに近付いてきた。その間、一度も視線がレイヴンから離れていない。
「――おっさん」
「な、何よ青年。そんな怖い顔して」
 右手が懐の短刀に伸びそうになるのを辛うじて抑えるが、手の平が汗ばんでくるのは抑えようもなかった。小さく息を吸い込む。覚悟を決めるしかないかも知れない。
 が、続いた言葉は予想の範囲から大きく外れていた。
「体調悪いだろ」
「…………へ?」
 調子外れの声が響いた。
「まさか自覚なかったのか? おっさん、今朝から動きがおかしいぜ。それに、左胸をたまに押さえてるだろ」
「あ。そう、だっけ?」
 声が裏返るのは辛うじて押しとどめられた。
 魔導器の調子が微妙に悪かったのは事実だ。ただその程度のことは珍しくないし、戦闘に影響が出るようなこともない。それに何より普段の自分なら他人に気付かせるような下手な真似はしない。それなのに気付かれるとは予想外だった。
「ちょい戦闘から外れてな」
「優しいじゃないの。おっさんに楽させてくれるなんて」
 もっとも、それについては些か思い当たる節もあった。
 どうもこの面々は居心地が良過ぎる。居心地が良過ぎて逆に居心地が悪くなるぐらいだ。真っ直ぐで、心根は優しく、健全な強さを持っていて、何よりもちゃんと「生きて」いる。出来過ぎてるぐらいだと愚痴の一つもこぼしたくなるぐらいだ。
 だから忘れてしまいそうになる。自分が死人だということを。彼らとは違うのだということを。何もかもを忘れてしまいそうになる。そして時折り、錆びついているはずの鍵が緩む。生きていたころの残滓が顔を覗かせる。そんなものは、ありもしないはずなのに。
「倒れられたら余計面倒だからな。むさ苦しいおっさんを背負って街まで戻るなんてやりたくないしな」
「あら、冷たい」
 冗談口調で返すと、青年の顔がいつもの呆れた表情を見せた。
 心配してくれていたのだ。胡散臭いと警戒しているくせに。今でも完全には信用していないくせに。それでも一緒にいる間は「仲間」として見てくれているのだ。
 ――ああ、本当に居心地悪過ぎるよね、これは
 無造作に差し出された手を掴み返しながら苦笑する。
 これは全部偽りなのに。交わす言葉も、見せる姿も、行き来する思いも、全て偽りなのだ。本当のものなんてありはしない。崩れ去った過去の幻を、手の届かない鏡越しに見ているようなものなのだ。何かを感じる心はもう無くしたはずだし、何かを感じることがあっても、道具にすぎない自分はアレクセイの望み通りの行動をするだけなのだ。
「じゃあ、ちょっと休ませてもらいましょうかねえ」
「ま、たまには若人の活躍を見て自分の年を自覚するんだな」
「ちょ。その言い方は酷いよ。おっさん泣いちゃうよ」
「あー、はいはい。いい子だから泣かない」
「本当に冷たいね、青年」
 いつもの軽口の応酬をしながら、青年の雰囲気が戻ったことにそっと安堵する。
 その安堵は任務に支障がきたさないことに対するものだと、誰にもする必要のない言い訳を自分自身に繰り返しながら。


この辺りから裏切るカウントダウンに入ってたんじゃないかなーとか。
偽りがバレるのを警戒しつつ、どこか期待していたりして欲しい。ユーリは何となく違和感を感じていたらいい。感じているんだけど、信じたいという気持ちの方が大きいから気のせいだと思い込んでしまうとか。
ミョルゾでおっさんのことを思い出すシーンが好きです。察しの良いユーリらしからぬあのタイミングは、愛ゆえだと妄想発言してみる。シュバーン戦での「いつもその調子で?」は聞いててきゅんときますよね!

| ヴェスペリア | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。