運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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フレユリ…か?

フレユリ書いてみた。甘い物の話。でもちっとも甘くない。
しかも二人とも別人臭くて自分でも笑った。
話的には本編前の二人、のつもり。

ネタバレ要素はないけど取り敢えず格納しておきます。




 見張りの兵士以外は寝静まってしまった静かな城の中を、フレンは漏れてしまいそうになる溜息を喉の奥で砕きながら歩いていた。隊長として忙しいことにはやりがいを感じることはあっても不満はないが、任務以外での労力が増えていくことには疲れを感じずにはいられない。帝国のあり方を変えると決めた時から政治的な駆け引きが多く立ちはだかることは想像していたが、正直ここまでのものだとは予想以上だった。
 諦めるつもりはないが、それでも歩む足が重く感じることもある。最後まで歩み続けると誓ったが、それも一人で背負って歩く道は険しい。隣に誰かの姿が欲しいと、そう願ってしまうことがあるのも事実だ。
 と、自室まであと数歩のところでフレンは足を止めた。
 音はしないが、扉の向こうから冷たい空気が流れているのが感じられた。朝出る時には窓にも扉にもフレン自身が施錠したはずだが、空気の流れに交じって微かに人の息遣いも混じっている。一瞬刺客かとも思ったが、伝わってくる気配の柔らかさにすぐにフレンはその人物が誰かを了解した。
 口元が綻ぶのを自覚しながら小さく息を吐き出すと、ドアノブに手をかけた。
「――不法侵入は罪だよ」
 扉を開けば、白いカーテンが風で大きくなびいた。
 月明かりに照らされてカーテンに映り込んだ人影が、ゆっくりとフレンの方を振り返る。満月に近い明るい月光が、大きく開かれた窓枠に座り込んでいる姿に降り注いでいる。長い漆黒の髪がさらりと揺れて、その人物の表情を一瞬隠しながら背に流れた。
 治まったカーテンの後ろから覗いた黒い眼差しがフレンを捉える。
「よぉ。相変わらず言うことが固いな」
「――鍵はかかっていたはずだけど」
「そうか? 簡単に開いたぜ」
「開けた、の間違いじゃないのかい」
「ま、そういう言い方もあるってのは認めるけどな」
 悪びれない口調でそう言って、ユーリは口の端だけを持ち上げて笑って見せた。
「訪ねてくるなら言ってくれればいいのに」
「昼間はどうせ忙しいだろ。それにおまえのところの副官に嫌われてるみたいだしな」
「彼女は真面目なだけだよ」
「オレとは逆で、な」
「まったく……」
 フレンは後ろ手で扉を閉めて、腰に下げていた剣を外した。
 ユーリが騎士団を離れてからというもの、会う機会は昔に比べて格段に少なくなった。それでもユーリの話はフレンの耳によく入ってくる――主にあまり良くない理由で。もちろんその理由が主に誰かを守ろうとしてのものであることはフレンが一番わかっているが、騎士団の中ではそんなユーリをあまり快く思わない者も多い。それを知ってかユーリは何があってもフレンの名は出さないし、非番の日でも人目につく時間に会いに来るようなことはしない。
 もっとも昔一度気にせずに会いに来て欲しいと言ったら、頻繁におまえに会いに来るほどオレも暇じゃないんでね、と軽く笑い飛ばされてしまったのだが。
「また騎士団と揉めたんだって?」
「それ、いつの話だ」
「今日の夕方の件だよ」
 そう聞き返すということは、思い当たる節が複数あるのだろう。困ったものだと思いながらもその言葉は呑み込んで、一番新しく耳に入ってきた情報を答えた。だがユーリは少しも気にした様子も見せず、それなら最新の情報だなと呑気に応えた。
「もう耳に入ってるのか。相変わらず早いな」
「笑い事じゃないよ、ユーリ」
「わかってるって。別におまえに迷惑かけたりしないさ」
「そういうことを言ってるんじゃ――」
 ただ君が心配なんだと、そう言ってもどうせ笑って流されるのはわかっている。ユーリは別に自分を軽んじている訳ではないが、自分自身を守ることに関しては無頓着だ。口では気に入らなかったからと言いつつも、行動の理由はいつも自分以外の誰かの為、だ。
 それがユーリであり、だからこそ心配が尽きない。
「ま、いいじゃねぇか。それよりほら、これ」
 説教は今度まとめて聞いてやるよと言いながら、ユーリは机の上の箱を指差した。
「それは?」
「お・は・ぎ。宿のおかみさんの手伝いで今日作った奴の余りだけど、日がたつと味が落ちるからな。おまえにも分けてやろうかと思って」
「わざわざこれのために?」
「勿体ないだろ。ま、感謝しろよ。疲れた時には甘いものだろ」
「ユーリは昔から甘いものが好きだな」
「オレは生クリームの方が好きだけどな」
「……ありがとう。飲み物を入れるから君も食べていくかい?」
「作った時に食ったからいいさ。――じゃ、もう行くから」
 そう言いながらユーリは窓枠に手をかけて腰を上げた。
「ユーリ!」
「長居して、変なところで感の良い奴に見つかっても面倒だしな。ま、あんまり無理するなよ」
「……無茶ばかりの君にそんなことを言われるとは、心外だな」
「それこそおまえに言われたら心外だって。オレは生まれてこの方、無茶なんかしたことねーよ」
 笑い混じりの声を残して、ユーリの姿は音もなく夜の闇の中に消えていった。窓に歩み寄って見下ろしてみても、姿も痕跡もない。誰にも見つからないのは良いが、こういった泥棒紛いのことだけ年々腕を上げていってることには呆れてしまう。
 ユーリが掴んでいた窓枠に手をかけ僅かに逡巡した後、流れ込んでくるそよ風を受けながらゆっくりと窓を閉じた。
 静寂の訪れた部屋の中で、微かに甘い匂いが感じられて、フレンは寂しさの混じった温かな感触を噛み締めるように、小さく友の名を呟いた。

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