運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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構いませんよ -ジェイルク-

春なので山もオチも意味もない甘い話にしてみた。
ルークにもこんな時間があったのだと信じたい。



 少しだけ体重を後ろに掛けてみた。ほんの少しだけ。身体の傾きを少しだけ後ろにする。そうすると知覚出来るか出来ないかのギリギリぐらい少しだけ、相手の背中と接する面積が大きくなる。背中に感じる体温は確かに温かくて、冷たい眼差しも冷たい口調も全てを押しやってしまう。
 紙が捲られる音が聞こえる。ルークにとっては枕代わりにしかならなさそうな、紙は薄いくせにやたらと分厚く細かな文字がぎっしりと並んだ本。その本のページを1枚1枚捲っていく手袋ごしの手。
「――なぁ」
「…………何ですか」
「――いや、何でもない」
「そうですか」
 淡々とした短い言葉の間にも、またページが捲られる音がする。
 このペースで本を読んでいて内容が全部頭に入っているというのだから、いったいジェイドの頭の中はどういう構造になっているのか、永遠の謎だ。だがその常人の域を超える頭脳が、レプリカと言う禁忌の技術を生み出した。ジェイドの鋭利過ぎる頭脳がルークという存在を生み出すきっかけとなったのだ。
「――ジェイド」
「……何ですか」
「んー……。何だろう?」
「……何でしょうね」
 だから側にいると落ち着くのだろうか。
 だが別にここには抱きしめられるかのような温かさがある訳ではない。強く求められている訳でもなければ許されている訳でも心を許されている訳でもないだろう。ただここは、拒絶されていない気がするのだ。
 ルークに対してジェイドは何も言わない。一度怒鳴られたことはあったが、それ以外は特にどうしろともどうする方がいいとも言わない。ただ黙ってルークの言葉を聞き、「そうですか」と静かに呟くだけだ。
 不思議だが、その一言でいつも安心するのだ。
「なぁ、ジェイド」
「……何です」
「俺、ここにいていいのか?」
「そういう台詞は一時間前に言って下さい」
「……そっか」
「そうです」
 そっか、ともう一度小さく呟いて、また少しだけ体重をジェイドの背に預ける。
 僅かに背は傾いたが、それでもページを繰る音は止まなかった。
「――なぁ、俺、邪魔?」
「邪魔ですよ」
 間髪入れない返答に、「けれど」と続いた。
 温かくなってルークは目を閉じる。全身で言葉を受け止める。
「別に構いませんよ」
 常と変わらない淡々とした響きの心地良さに、ルークは声を出さずに笑った。

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