運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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貴方の重み -バシュバル-

 別にどうしても抱かなければ我慢できないという訳ではない。そのことばかりが頭を占めていた若いころではないし、自分を律するということも苦手ではない。もちろん欲求がなくなるというようなことはないが、優先順位を下げられるほどには理性の制御がきく。けれど溢れんばかりの性欲とはまた別の感情がバルフレアの身体に手を伸ばさせる。その手に、足に、腰に、背に、頬に触れたいと思わせられる。
 性欲とは切り離せないが、単純な性欲とはまた違う衝動。
「――おい、引っ張るなよ」
「こちらに来てくれても構わないだろう?」
「今新聞を読んでるのが見えないのか? もうすぐ終わるから待てよ」
「私の隣でも読めるだろう?」
 まるで我儘な子供のような言い草だと思ったが、それは本心でもあった。掴んだ腕を離さずにやや力を込めて引き寄せると、やれやれと溜息をついてバルフレアは観念したように近づいてきた。人の言うことには否ということが趣味のようなバルフレアだが、意外に人の要望を無下に拒否したりはしない。自分のプライドや利益に差し障りがない限りは、相手の意見を出来る限り受け入れてくれるのだ。
 そう言う意味ではバッシュ自身の方が人の意見を受け付けないところがあるだろう。出会った初めのころにバルフレアに言われたものだ。笑顔で頷きながら人の意見を却下する、と。自分のことながら言い得て妙だと感心してしまった。
 隣にバルフレアが座り、ベッドのスプリングが少し沈んで彼の重さを振動に変える。伝わってくる動きが心地よくてそっと目を瞑り、小さな揺れが完全に止まるまで全身でその動きを感じ取った。生きているから動いている、その当たり前のことを今更のように実感し身体の中にため込む。ジワリと自分の中に温かいものが増えていくのがわかる。
 バッシュは手入れをしようと取りだしていた武器を袋の中に戻した。
 どうやらこれだけでは満足できないらしいと悟り、バルフレアの腰へと手を伸ばす。
「――バルフレア」
「何だよ。もう少し待てって」
「――バルフレア」
「だから待てって。後少しだから」
「――バルフレア」
「おい、待てよ。拒否してるわけじゃないんだから少しぐら――」
 腰を後ろから抱きかかえるようにして、そのまま後ろへと引き寄せて倒れ込む。バランスを崩したバルフレアの身体は、当然のようにバッシュの腕に抱えられたままバッシュの上にのしかかる格好になった。ベ安宿のッドのスプリングとバルフレアが同時に抗議の声を上げる。
「おい!」
「――このまま」
「アンタ馬鹿か? 少しぐらい待てよ」
「暫くでいいから、このまま」
「はぁ?」
「このまま」
 今バルフレアの体重は完全にバッシュにかかっている。バッシュがバルフレアの体重程度で苦しくはないだろうが、それでも大人の男一人の重さがのしかかっているのだ。楽な態勢のはずはないし、好んでするような格好ではない。
 だがバッシュはバルフレアの背に額を押し当てたまま、じっとバルフレアを支えていた。
「……重いだろうが、こんな態勢」
「そうだな」
「……離、せよ」
「だが、いいものだ」
「…………」
 ギシギシと響くスプリングに身を沈めながら、バッシュは呟いた。
「生きている重みだな」
「――本当に馬鹿だな、アンタは」
 新聞がバルフレアの手から離れ床に落ちる音がした。だが重みはバッシュの手の中に確かにあり、「重いな」と噛み締めるようにもう一度呟いた。

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