運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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桜の下には -師ティキ-

師匠は出てこないけど師ティキ。
最初は砂糖吐くほど甘い話の予定だったのに、どこかで方向を間違えた気がする。おかしい、どこで間違えたんだろう?


 桜の花弁は人間の血を吸って色づいた美しさだと昔の人は例えたらしい。色鮮やかに咲く桜の木の下には数多の死体が埋まっているのだと。桜が美しく咲き誇る姿を眺めながらその下に埋まるものに恐怖し、同時にその恐怖に魅入られる。それはまるで一度壊すと二度とは元に戻らないと知っていながら、それゆえに壊し続ける行為に似ている。奪った命は戻らないと知っていながら、だからこそ奪い続ける行為と通じるものがある。
「これで今年も綺麗な花が咲く、ってね?」
 目の前で赤い糸を引きながら崩れ落ちていく名前も知らない人間を見つめながら、ティキは小さく呟き唇の端を持ち上て笑った。視線を少しだけ上に向ければ細い枝の先には仄かにピンク色が確認できるかどうかの小さな桜の蕾が見える。まだ朝晩は少し肌寒いが、桜の木は春の訪れを感じ取っているらしい。あと二週間もたてばこの辺りは薄ピンク色の花びらで空一面を染め上げるのだろう。昨年見た時のように、何もかも飲み込むような美しさで。
 ビクンッと苦しみの声を上げるようにティキの手の中で心臓が最後の脈を打ち、鮮やかな飛沫が辺りに赤色を散らす。心臓から溢れた粘り気のある血が指の間を伝って手の甲から腕、そして肘まで線を描いて地面へと滴り落ちる。地面には赤い花が咲き誇っているかのようだ。これだけ鮮やかな色が地面に染み込み、桜の樹の根がその色を吸い上げるとしたら、さぞかし綺麗な花が咲くだろう。
「ティッキ?。お仕事終わった?」
「ん? あぁ、ロード。ちょうど今終わったところ。オレ、真面目だからね」
「何馬鹿言ってんだよ。ティッキーがサボってばっかだから僕もついてきたんだろ」
「あれ? そうだっけ?」
 肩をすくめながら胸ポケットの煙草を取り出す。仕事の後の一本は気持ちいい。口の中に鉄を食んだような広がる血の味と煙草の煙が入り混じって独特の匂いになる。この不安定で曖昧な雰囲気が好きなのだ。
 少し顔をしかめるロードのご機嫌を取るように笑うと火をつける。煙いと文句を言いながらも、ロードはティキの横に並んで立ち、そして蕾を付け始めている枝を見上げた。
「ティッキー何考えてた?」
「……へ?」
「桜の木の下には死体、なんていう古ぼけた都市伝説でも考えてたとか?」
「古い、か」
「古いよ?。もう聞き飽きてカビが生えたような話だろ」
「生えてるかもなぁ、カビ」
「――ねぇ、ティッキー」
「ん?」
 見上げてくるロードの金色の瞳が光の加減で赤い色に見えた。数多の血を吸い赤く染まった瞳、そう口にしかけたが、言ったらおっさん臭い感想だと言われるだろうから空気と共に飲み込んだ。まだ血の匂いを内包している酸素と共に、肺の奥へと。
「いいかもね、案外」
「何が?」
「赤い血を吸って綺麗な花が咲くなら、赤い人の赤い血を吸ったらもっと綺麗な花が咲くかもって話」
「何、それ?」
「べっつにー」
 からからと響くロードの笑い声を聞きながら、一人の不遜なエクソシストの男の姿を思い浮かべた。だがあの男が桜の下に埋まる姿は想像できなかった。おとなしくティキに殺されてくれるような奴ではない。どちらかといえば桜の木の下に倒れたティキを無感動に見下ろす、そんな姿の方が似合っているだろう。
 そしてその情景は、それほど悪いものでもないようにも思えた。

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