運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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temperature -バシュバル-

久しぶりにFF12でバシュバルを。
シャープな関係の二人を書こうと思ったら、何を間違ったか砂糖の塊のように甘い話になってしまいました。ちょっ、この二人でこれはありえないって…と思いつつ、たまにはこんなのもいいよね?寒い冬だもんね!と言い訳してみます。
お優しい言葉をかけてくださったN野様に、メッセージ代わりにこのSSを捧げます。N野様も頑張ってくださいー。完成を楽しみにしていますので!ブレイブ!ブレイブ!



「キミは……」
低くゆったりとした声がいつものように耳朶をたたく。
一言一言が言い聞かせるような響きを持つところは、最初はある種の苛立ちを否応なく掻き立てるものだった。どこか父親が子供に教え諭すような成分を含んでいて、蓋をしているはずの記憶を覗かれているような居心地の悪さを覚えずにはいられなかった。温かいくせに冷たい、手放せないのに忘れたい、相反する感触。それだけでも気に入らないのに、奥に眠る感情が安らぎであり、それを否定する言葉を持たないことがさらに気に入らなかった。
気に入らないことばかり。そのくせギリギリ視界に入る距離以上には離れられない。まったくもって忌々しいことこの上ない。
「――手が冷たいね、バルフレア」
「はん。ガキじゃあるまいし、冬には手が冷たくて当然だろう」
「あぁ、確かにヴァンくんの手は温かいな」
温かそうだなではなく、温かいと断定した言葉に思わず顔を上げた。
顔を上げてから後悔した。そこには優しさや愛しさといった温かな表情以外はなかった。どれだけ裏にあるものを探り当ててやろうとしても、どこまでも広がるやわらかな大地のようだ。揶揄に類する成分が少しでも含まれていれば体勢を立て直すこともできるというのに、柔らか過ぎて逃げることも飛び立つこともできない。足下から飲み込まれてしまいそうだ。
空が遠く感じる。空を求める心すら遠く感じる。
「彼は人懐っこいからね」
笑みを浮かべながらバッシュは答える。
話す時に相手の身体に触れるのはヴァンの癖のようなものだ。もちろん女性相手にそんなことはしないが、覗き込むように顔を近づけて話すことが多い。手振り身振りも大きいし、身体が触れることなど日常だ。そんな当たり前のことすら見えなくなってしまうなど、どうかしている。
「――で、いつになったらこの手を離すんだ?」
「気がすんだら。と答えておこうか」
決して柔らかくはない手。硬くてゴツゴツとしていて気持ち良くなどない。だがずっと触れていては体温を感じてしまう。次第に熱を注がれて同じ温度になっていく手は、まるで自分の中までもを侵食されているような気になってくる。
「さっさと離せよ」
「私に言われても困るね」
「は?」
「私はいつ離せばいいのかね?」
忌々しいことに、バッシュは気付いている。バルフレアの中にある種の感情が潜んでいることを。そしてバルフレア自身が説明できないでいるその感情を、この男は説明することができるのだ。
――私はずっとこのままでも構わないけどね。
あと何回忌々しいと唱えれば、この手を振り払えるだろうか。

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