運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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背、手、

H様の萌えに元気付けられて少しだけ浮上。
短いことこの上ないけどヴァンバル。寒い夜は人肌が恋しい。



首筋をすっと冷たい風の感触が撫でていった。手のひらを当てて冷たい感触を追い払おうとしたが、ずっと専門書を繰っていた手は思いの外冷え切っていて、空気の冷たさを実感することになった。顔を上げて窓に目をやれば吹き荒ぶ風が窓枠をガタガタと揺らしていて、外の寒さを知らしめるかのようだった。
「――寒い、な」
一人きりの部屋でバルフレアは呟いた。暖房を一切入れていない部屋は冷え切っていて、吸い込んだ空気の冷たさに喉がひりっと痛んだ。そう言えば酒場で集まっていたハンターが、本格的に冬の天気がやってくると苦い顔で話していた。冷え込みが遅かった今年だが、一気に気温が下がって冬がやってきそうだと。
手を肩に当てて摩る。寒いと思うと一気に寒さが襲ってきたような気がしてくる。それに物音がせず風の音だけが響く部屋は、実際の気温よりも寒さを感じさせるようだ。本に集中していた時は気にならなかったが、風の音が妙に耳障りで、心の中を吹き抜けて空洞を作り出しているかのようだ。
皆出払っている。昼間から今までずっとバルフレア一人だ。最近の天候不順のせいでアーシェは熱を出して倒れ、パンネロはその看病に付っきり、バッシュとヴァンとフランはモブ退治だ。最初は男連中だけで行くつもりだったが、パーティーに女性がいないと出てこない相手らしく、また戦力の相性を考えてバルフレアが残ることになったのだ。丁度シュトラールの改良を考えたいと思っていたので幸いにと没頭していたらもう外は暗くなっている。
静かな時間というのは随分と久しぶりだった。ダルマスカの王宮でヴァンを拾ってからずっと、静けさと平穏とは無縁の毎日だったように思う。それなりに波乱含みの人生を歩んできたと思っていたが、最近の目まぐるしさにはそれすらも穏やかな日々に感じられる。貴重で心地良い時間。だが――寒かった。
寒気が訪れて寒いというのも勿論だが、それだけではない。感じる寒さは外気温がもたらすものとは異なっている。何処となく首元が、背が、肌で感じるものが物足りなく寒いのだ。あるべきものがない、そんな違和感。
「夕刻には戻るかと思っていたんだが、意外に手間取っているな」
誰もいないのだ。口に出す必要のない言葉だ。ただバルフレアだけが発し、バルフレアだけが聞く音にする必要のない言葉。無意味な独り言は部屋の寒さで凍らされ、床に落ちて砕けて散らばっていく。
再び首筋から肩へと手で撫でる。
――早く帰って来い
鬱陶しく纏わり付く暖かい腕が今は堪らなく恋しい。そんな自分の我儘さを、誰もいない今なら素直に自覚することができた。

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