運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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20万企画 -ヴァン←バル7-

ここまで来たら最後まで一気に!という気合だけは入れてみる。
自分で書いていてバルが乙女で素直で笑えてくるのだが、恥ずかしさは華麗に見ないふりをさせていただこうと思う。お前ら小学生か!というような痒くなる話が今回のテーマです(言い訳)。

一応話が大詰めなので続きを読むにしておきます。
全部完成したらサイトにもUP予定。


 
 


頼んでいたミスリルの歯車が出来ているかどうか様子を見に来た。他にも作って欲しいものがあった。……何でも良い。言い訳するつもりならいくらでも理由など作れるだろうし、それに対してヴァンは問い詰めたりするようなことはないだろう。いつものように軽く笑って、食事の時間に遅れたことをからかってやれば全てのペースが元に戻る。少し時間を置けば自分の中の違和感も霧散するだろう。
「ヴァン。俺は――」
だが今ここでそれを散らしてしまってもまたすぐに胸の中で塊が生み出されるものだろう。ずっと気づかないふりをしていて、ずっと逃げ続けてきたのだけれど、それももう限界だ。侵食は想像以上に早くて激しい。ここで手放すか、それとも認めるか、選択する時期がきているのはわかっている。そしてどちらが良いか選べなくても、どちらを「選べない」かはわかっている。譲れないものが何なのか、認めたくは無くても決まっているのだ。
握っていた手を離す。受け取った歯車が乾いた音を立てて床に落ち、くるくると回りながら倒れた。だがバルフレア自身もヴァンも音を聞きながらも視線は動かさなかった。ヘイゼルグリーンの瞳が映しているのは空色の瞳だけで、空色の瞳が覗き込んでいるのはヘイゼルグリーンの瞳だけ。比喩の中だけで使われるようなそんな状況に浸る。
「……ヴァン、お前、一年前のあの時、シュトラールの操縦席で何を考えていた?」
「何って……何も考えられなかったよ。バルフレアを乗せたままのバハムートが落ちていって、バルフレアのことが心配で心配で、何も考えられなかった」
「そうか。――あの時俺はな、別にお前のことを考えてなかった。倒れたフランを抱えながら、バハムートから眺める空も案外綺麗だなって、そんな暢気なことしか考えてなかった」
「…………」
死にたいと思った訳ではない。だが死にたくないとも思わなかった。ヴァンの顔を想い描いてもう一度会いたいと願うことも無かった。他の誰かを思い出すことも無かった。必死になる訳でもなく、どうやって脱出しようかと、まるで他人事のように考えていただけだ。何にも執着がなかったと言ってもいい。
自分の存在も、自分以外の存在も大したものではなかった。生きたいという願いもそれほど強くなく、死にたいと言うほど強い絶望もなく、何処に立てば良いのか分からずに漂っているかのようだった。自分自身も、ヴァンも、この手に掴んでいなくても構わないとさえ思っていた。あの時は、そう思っていた。
ヴァンは不安と寂しさを混ぜたような表情で見上げている。らしくないその表情に声を出さずに笑い、不安げな表情のまま固まったヴァンの頭に手を置いて引き寄せた。ヴァンの顔を自分の胸に押し付けてその体温を身体で感じる。指に細い金の髪が絡まり、そのくすぐったさに穏やかな幸せを感じた。
「あの時は、本気で欲しいものなんて別にないと思ってたんだがな」
「バル…フレア――」
「今だったら分かる。いや、お前に再会してもう逃げることも隠すことも出来ないって、観念するしかなくなったってところか」
喉の奥に引っ込もうとする重要な言葉を必死に捕まえる。
らしくないと自分に苦笑しながら。もう手放せないと叫びながら。強欲に欲しながら。もういい加減に認めろと諦めながら。そして空色の瞳から、離れたくないと願いながら。
「ヴァン」
一呼吸置いて、
「どうやら俺はな、お前のことが、好きなようだ」
ずっと見ないふりをしていた単純な言葉を口にした。

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