運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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20万企画 -ヴァン←バル2-

一昨日の記事から続くお話です。
バルが偽物度100%なぐらい素直で、自分で書いてるのにビビった。そんなバルでも許せる方のみご覧下さいませ。



料理を口に運びながら流し込むように水を飲む。
別に料理自体が不味いという訳ではない。確かに一流とは言い難いが限られた食材の中では、パンネロは上手に作っていると言っても良かった。味付けが単調になるのも調味料の都合で仕様が無いことだろう。それにワインが無いことも、この空の上の大地ではなかなか調達が難しいのだから仕方がない。
「バルフレア。笑顔で食べろとは言わないから、不機嫌な顔で食べるのは止めなさい」
「……不機嫌な訳じゃない」
「でも周りからはそう見えるわ。せっかく作ってくれたのに彼女、心配そうに貴方の顔を窺ってるわよ。女性を不安にさせるのは貴方らしくないわね」
不満ではない。だが苛立ちがつのるのだ。奥歯に苦い薬草でも挟まっているかのように、じわじわと嫌な味が広がってくるような気がする。喉を潤すはずの水でさえ、飲むほどに身体の中に苦味が注ぎ込まれているような感覚に陥ってくるのだ。
だがグラス越しにそっと見たパンネロの表情は確かに曇っていて、フランの言っていることは認めざるを得ない。小さくグラスを掲げ「久しぶりに美味しい料理を口に出来た気分だ」と不自然でない程度の笑みを顔に貼り付けてパンネロに語りかける。
「余裕のない理由……素直になりなさい」
何故なのかわかってるのでしょう、と瞳が言っている。
「フラン。お前――」
「余計なお世話、かしら?」
「……いや」
フラン以外に悟らせないことは得意だったはずだ。自分の心の揺れなど、視線を逸らして蓋をして仮面を被れば誰にもわかりはしないのだ。今までそうやって生きてきたし呼吸をするよりも自然にいつだって実行してきた。それなのにパンネロにすら気づかれてしまっている。
今まで何事にも執着しないで生きてきたはずだった。だが何にでも例外があるようで、たった一人だけがバルフレアの奥にまで侵入してバルフレアの行動を狂わせる。そんな簡単に侵入を許すことなどなかったのに、そんな簡単に特別を認めることなどなかったのに、空色の瞳を想い描くだけで今まで積み上げてきたものはあっさりと崩される。
それでもこれほどまで重症だとは思わなかった。
いつも自分に向けられていた視線。いつも自分に伸ばされていた手。いつも自分の名前を呼んでいた口。触れてくる体温。少し高めの声。耳に届く笑い声。視界の中で揺れる淡い金の髪。それらがどれだけバルフレアの心を占めているのか、その大きさを省みることなど無かった。
すぐに忘れられると思ったのに、離れていた一年でも色褪せることなく鮮やかに残っていた。再会した時、記憶の中と現実がぴったりと重なることに、意識せずに心が躍った。それなのに誰かと会話を交わすヴァンを見るだけで、別のものが心に染み出してくるのがわかった。
「……独占欲なんてものは、縁がないと思っていたんだが」
「新しい経験を得ることは良いことよ。貴方には経験が足りないわ」
「結構波乱万丈な人生、だったと思うがな」
「人生は、ね。でも、対人関係のスキルは意外と低いわよ、貴方」
「……肝に銘じておくよ」
残念ながらそれは認めざるを得ない。
小さな溜息をついて、ヴァンのいない食事の席を立った。

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