運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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終焉など訪れない -アシュルク-

アビスのED後SSです。

というか、ED最終場面に移る直前のアシュルク(?)です。
ネタバレは当然として、暗いです。どちらかというと救いのない思考方向。実は続くので尻切れトンボだったりもします。
それでもOKな方だけ続きよりどうぞ。


 
 
==========
 
必死で手を差し伸べるほど、世界は手を差し伸べてはくれない。
求めるほどに、誰も自分を求めてはくれない。
優しさを心がけるほど、世界は冷たいものへと変わっていく。
どうすれば良いのかわからなかった。知らなかった。十を捧げればせめて五は返ってくると本気で信じていた。与えられないのは自分が価値がない人間だからだと思っていた。全てを奪った元凶である自分は、全てを奪いつくされるのが当たり前だと思っていた。
切なく、けれど声に出せず。
悲しく、けれど泣くことも出来ず。
自分の力だけで立ち、自分の手だけで掴み、自分の足だけで歩み、自分の肩で罪を背負い、この身体は世界に捧げるべきものだと。そうしなければいけないのだと。何の疑問も抱かずにいた。哀れなほど何も知らずに。
手を伸ばした。諦めとは裏腹に自分の手は確かに上空へと向かった。握れば拳を握り、開けば指は開いた。
確かめたくないと思いつつも自分の手をじっと見る。右手と左手を合わせれば確かに感触がある。頭に手をやれば指の間を赤い髪がサラサラと通り過ぎていく。きっとこの場に鏡があれば自分の翠の瞳も覗きこむことが出来ただろう。見たいとは思わなかったが。
両手を下ろして自分が座っている地面に触れる。まだ若くて肌にチクチクと刺さる草の感触がわかる。少し湿った冷たい大地の感触もわかる。息を吸い込めば澄んだ空気が肺に満たされていくのもわかる。自分の身体が今「生きている」のだということを、残念ながら認めざるを得なかった。
「……ルーク」
呟いた名前がレプリカを指したのかオリジナルを指したのか自分でも判然としなかった。その名前はオリジナルのものであって、けれどレプリカが奪っていたものであって、オリジナルが最後に名乗ったものでもあった。だが他人が誰を呼んだものかわからなくても、言葉を発した本人だけははっきりとわかっていた。
それはここにいないもう一人に呼びかけたものであったからだ。
だが返事はない。
わかっていたことだ。
ルークはもういない。ローレライの解放と共に消え去ってしまった。そのことは自分が誰よりも良く知っていた。ルークを名乗っていたレプリカはもういない。そして残っているのはかつてアッシュであった自分だけなのだ。
だがアッシュはもう捨ててしまった。あのエルドラントで、死を覚悟してルークの名を名乗った時にアッシュの存在は消えてしまったのと同じだ。あの時アッシュは、アッシュを捨ててルークとして死ぬことを自分に課したのだから。だからアッシュはもう死んだ。でもルークもローレライと共に消え死んでしまった。
では、自分は誰だ。
アッシュなのかルークなのか。
仲間と共に世界を駆け回り誰かを、世界を救おうとしていた「ルーク」は自分ではない。だがルークとしての記憶はある。ルークが感じた感情が鮮やかに焼き付いている。ルークが受けた視線や罵声も、ルークが必死に手に入れた僅かなものも。感じたこと思ったこと考えたこと、綺麗なものも醜いものも。ルークにアッシュが浴びせた憎しみも。何もかもが当たり前のように自分の中に混在して居座っている。
汚されたようだ、と思った。
アッシュの意識で覗き見るルークの記憶。
ルークの心情を知って思い出すアッシュの記憶。
アッシュとルークは確かに別の人間であったはずなのに、もう別々にはなれない。アッシュが憎しみと共にもがいていたものも、ルークが命を捨てても手に入れたがっていたものも、もうない。一度この手に触れて、けれど留まることを知らない水のように流れ去ってしまった。
戻ることはもう二度とない。二度と。

世界はここまで冷たいものなのか――

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