運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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絶対的所有欲1

TOAでアシュルク。
昔の文章を発掘して加筆した。
アッシュの性格って未だに掴み切れない。
感情をもてあましてる酷いアッシュですよ、と。

コメントありがとうございます。
返信は週明けに返させていただきます。


 
 自分と同じ背の高さ。自分と同じ身体つき。
 自分と同じ声、同じ瞳、同じ髪、同じ唇、同じ手、同じ足。
 嫌になるぐらい同じ。なのに目の前の背中が自分よりも遥かに華奢に見えるのは何故なのだろうか。華奢に感じる背中に息の詰まるような痛みを覚えるのは何故だろうか。その痛みが怒りや後悔や憎しみや憐れみからくるものと少し違うのは何故だろうか。
 同じはずの背に手を伸ばす。触れる寸前の場所で止める。
 そこに赤い髪はない。以前はアッシュと同じぐらいの長さの髪があったが、今は短く切られてしまっている。雨の中で対峙した時には長い髪が滴る水で身体に張り付き、忌々しいほどそっくりだと感じた。だが遠目にも判別できる髪型となった今は、あの時とは種類の違う苛立ちが以前より大きく生まれてくる。
「なぁ、アッシュ。俺さ――」
「――っ。こっちを向くんじゃねぇ、屑が」
「あっ。う、うん……。ごめん」
 不意に振り返ろうとしたルークを怒鳴りつける。自分勝手な言葉だとアッシュは思ったが、ルーク自身は反論せずに少しうな垂れながら背を向けた。華奢に見えた背中がまた一段と小さく見える。頼りない、雨に打たれる捨てられた猫のようだ。
 苛立つ。そして左胸が苦しい。
 何故だと自分に問うても返ってくる答えは霧がかかったようにぼやけている。そして内側からは、答えなど知ってるくせにと嘲笑う声だけが明確に聞こえる。だが何を自分は知っているのか、その答えを探すことは躊躇われた。
「俺、さ――」
「…………」
「本当は生まれてきちゃいけなかったのかもしれないけど、生まれてこれて良かったと思ってる。アッシュにとっては迷惑かもしれないけど俺、俺は、アッシュに会えて心から嬉しいってそう思うんだ」
 震える声で、けれどはっきりと告げられた言葉。
 だが言葉は鮮明に耳が拾えども、その意味はアッシュの中に一つも染み込んでは来なかった。意味不明な音の羅列を聞かされたような気分だ。ルークの言葉がアッシュに何を告げようとしているのか、何一つとしてわからない。
「…………何で」
「え?」
「何でだ」
 良かった。嬉しい。 何をどうやったらそんな言葉が出てくるのか。
 百歩譲って生まれてきたことを良かったというのはまだ許せる。納得はいかないが、そう思うのは勝手だ。だがどうして、アッシュに会えて嬉しいと、そんなことが言えるのか。
「何でって……俺はアッシュのことが好き、だからかな」
「だから何でなんだよ!」
 衝動的な声は大きく、辺りに響いた。
 ルークはビクリと肩を震わせて、それでも先ほどのアッシュの言葉に従って振り向きはしなかった。萎縮したように肩を竦めているだけだ。短い毛先が微かに揺れているのは風のせいか、それとも震えているゆえか。 そんなことを思う自分にすら苛立ちを覚える。
 乱暴にルークの短い髪の先を掬い上げた。
 以前は長かった。やや傷んだ毛先はアッシュの赤よりも随分とオレンジ色に近かった。こんなところまで劣化してるんだなと言ったことがある。だがルークは反論など何一つせずに少し伏せ目がちに口の端に笑みを浮かべて「そうだな」とだけ言った。
 色の抜けがレプリカであるが故だということを肯定したのか、ルークの存在が劣化しているということを肯定したのか。アッシュの言葉はどちらも意識した上での傷つけるための言葉だった。だがルークがどちらに捉えて肯定したのだとしても、浮かんだ腹立たしさは軽減されはしなかっただろう。アッシュ自身が口にした言葉なのに、無性に腹が立った。
 どれだけ手酷く扱おうとも、ルークは変わらない。
 何故アッシュと会うことを嬉しいと言い、撥ね退けてもアッシュの元へ歩んできて、罵倒してもアッシュの前から逃げず、傷つけてもアッシュに手を伸ばそうとするのか。何故ルーク自身の意思で、アッシュの元へと近づこうとするのか。何故。
 逃げれば引き倒して思い知らせてやろうと思っているのに。否定すれば無理矢理にでも現実を突き付けてやろうと思っているのに。拒絶すれば自分の立場を思い知らせてやろうと思っているのに。
 何故。何故自分から、歩んでくる。

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