運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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偽りの瞳2 -ヴァンバル-

いつだって壊されるのを待っている。
ボロボロに腐り役に立たない壁だとわかっていても自分では壊せない。まだ壁の形をしている間はそこに身を潜めて息を殺しているしか出来ない。だから本当は待っている。無意味な壁を誰かが壊して、誰かが無理矢理ここから引っ張り出すのを。仕方がないと自分の矜持に言い訳をしながら、ずっと欲しかった光の下へと行きたかった。
だがこの光は眩し過ぎる。この身体は熱過ぎる。この手は力強過ぎる。押し当てられる全てに勢いがあり過ぎて、この身を打ち砕かれてしまいそうだ。
手を掴む。無遠慮に。苛立ちはあるのに心地良い。
指が、手の平が、熱を伝えてくる。
熱い手。熱さが肌を通して染み込んできて自分の体温が上がっていく。同じ温度まで上がっていく。侵食されてしまっている。
「は…なせ」
「嫌だ」
間髪を入れない言葉。良い言葉だと思ってしまう。離さないで欲しいと思ってしまう。昔より少しだけ硬くなった手の平の感触。力強くなった指。力いっぱい握られている訳じゃないが、軽く振り払える強さでもない。指の一本一本が楔のようだ。身体を動けなくし、心を麻痺させる楔。
そんなに熱い手で俺を触るな。息も詰まりそうな気持ちを向けるな。触れ合う部分だけではなく心臓の芯まで熱をもってしまったようだ。苦しくて助けてと叫んでいるようだ。指先が震えそうだ。口の中に苦味が広がる。泥濘に足を取られたような眩暈が起こる。
俺はいつからこんな簡単に動揺を自覚するようになった。
「――本当は、離して、欲しく、なんか、ない、くせに」
鼓動に合わせて声が途切れて聞こえる。舌っ足らずな発音が妙に子供っぽさを感じさせる。けど表情は変わらない。夏の晴天を思わせるブルースカイが真っ直ぐと向けられている。綺麗に澄んだ青の中に自分の影が映るのが見えて言葉が喉の奥に押し返される。
音にするとそれだけのことが苦しい。気づかないふりをさせてくれ。まだ、気づかせないでくれ。限界はとっくに超えているけど、まだ何事もないように振舞わせてくれ。もう、何をどうすればいいのかなんてわからないのだから。
逃げ出したいのに、振り払いたいのに、ヴァンの手は心地良い。逃がさぬようにと捕まえている手が心地良い。この温もりに瞳を閉じてそして眠ってしまえたら夢も見ずに済むだろう。悩みも思いも放り出してこの腕をつかめたらどれだけ楽だろうか。
だが俺自身がそれを許さない。まだ足掻く心が在る。
――どうすれば捨てられる?
問い掛けたのは手の温もりに対してか、重い矜持に対してか。
「温かい、でしょう?」
「……ガキは体温が高いって言うからな」
「でもバルフレアも随分と熱くなってる。ほら、今は同じぐらいだと思わない?」
「そんなもの――」
「ねぇ、俺の手が熱いのはバルフレアに触れているからだよ」
「…………」
「本当はバルフレアが熱いんだって、気づかない? それとも気づかないフリをしてるの? だったら……ずるいよ」
薄雲がかかるようにブルースカイが細められる。
ただそれだけで心臓が痛んだ。僅かに青が曇っただけで、飛ぶ為の空がなくなってしまうと恐怖を抱いた。馬鹿馬鹿しいと嘲笑う理性を置き去りにして。
近づいてくる青と柔らかい温もりに、抵抗する術はないに等しかった。


続きをー、とのお言葉を頂いてしまったのでUP。
ただしこの後はやっぱり未定のままだったり(笑)。

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