運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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高温 -ヴァンバル-

隣でのんきな顔をして眠り続けているヴァンの顔を見ると、いつの間にこうなったのだろうと疑問が湧く。
バルフレアの方が先に起きる、という状況は別段不思議ではない。そもそも寝つきが良いくせに寝起きの悪いヴァンは誰よりも遅くに起きる。寝てしまったら叩いてもつねっても起きはしない。ヴァンは誰の寝顔も見たことが無くて、皆がヴァンの寝顔を見たことがある。それぐらいに良く寝る奴だ。起きて騒いでるか馬鹿面で寝ているかの二択。全くガキそのものだ。
だからヴァンの寝顔を見ることはいつものことだ。だが自分でも不思議なのは「ヴァンが隣にいても眠れる」ということだ。誰かの体温や心音を感じながら眠りに付くなど、考えたこともなかった。
昔は当たり前だったのかもしれない。誰かの温もりを感じながら眠りに落ちるなどということは。けれど一度その温もりを失ってからは、反対に温もりの側では眠りにつくことが出来なくなっていた。どれだけ疲れていても、人の気配がすぐ近くにあると神経が冴え渡って転寝すら訪れない。
野営が続いた時はも眠れず、何かと理由をつけて見張りと称して起きていた。眠りたくない訳ではない。ただどうやっても眠れないという事実があるだけだ。
それなのに、いつからだろう。
子供特有の高い体温と、煩いぐらいに力強い鼓動が気にならなくなったのは。神経に眠りの妨げとなるような緊張が訪れず、太陽に照らされ溶ける氷のように自然と和らいでいくのに気づいたのは。
「――はん。起きてても馬鹿面だが、寝てる時はもっと救いようのないほどの馬鹿面だな」
鼻をつまむと苦しそうに呻きながら振り払おうとする。ペチペチとバルフレアの手を叩く熱い手が妙に楽しく、そのままつまみ上げるように力を込めると、今度は呻き声が漏れ出した。
が、次の瞬間にはあっさりと抵抗を諦めて、口呼吸に切り替えてまた深い眠りへと落ちていった。鮮やかな変わり身だ。
バルフレアは瞬きを六回繰り返し、眠りを手放そうとしないヴァンに見入って苦笑を漏らした。
「まったく……大した奴だ。こんなところだけ、はな」
馬鹿で間抜けで考えなしで舌っ足らずで短絡的で物覚えが悪くて学習能力が低くて我慢という言葉を知らなくて変なところでお人好し。罵る言葉ならいくらでも出てくる。
けれどバルフレアがどれだけ望んでも手に入れられないものを沢山持っている。しかもそれを惜しげもなく他人に分け与える。無意識に。だから不思議とヴァンの周りには人が集まるし、どこか陽だまりのような温かさがあるのだろう。
遊び疲れて眠りに付いた時に差し伸べられた、優しい温もりの記憶。それは閉じ込めた記憶の中にしかない温もりだと思っていたけれど――
「ガキは体温高くて嫌になるね」
すぐ近くに与えられた温もりは全てを溶かすほど心地良く、手は自然とそれを求めて伸びるのだった。


書く度にバルが乙女になる罠。

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