運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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赤い手 -リアシャカ-

需要ないのはわかっていて再びリアシャカ。しかも本編前捏造。
☆矢の前聖戦が手代木さん作画でコミック化されてて、表紙が乙女座だったので勢いで購入してしまいました。そして不覚にも再び嵌った、という笑えない笑い話。☆矢は最初に嵌ったアニメでもあり、周期的に何度も嵌るアニメなので、自分でも本当に好きだなぁって呆れます。
若い人置いてけぼりでごめんなさい。



胸に沸き起こった激しい憤りに支配されながらも、その姿を見て美しいと思ってしまった。
夕日に照らされて月光を編み上げたように見事な金髪は激しい炎を宿しているかのように赤く染まって見えた。遠慮なく吹き抜けていく強い風が長い髪を四方へと激しく揺らして、細い金糸はキラキラと光を放つように視界を眩しくする。赤いベールに覆われた金色の人影は、それだけでも十分に神々しいとすら感じられる。
風が収まると同時に彼はゆっくりとした動作で振り返った。
アイオリアの激しい恫喝にも一切動じる様子はなく、聞こえていなかったのかと疑うほどいつもと同じ表情と雰囲気。常に閉じられている瞼はアイオリアの明確な怒気を受けてさえピクリとも動かされることはない。長い睫毛が動かぬ閂であるかのように閉じられている。
「どういうことだ、とは?」
たっぷり十数秒の間をおいて、アイオリアが再び言葉を発しようとした寸前に言葉が返ってきた。決して大きくない声だが、まるで選んでいるかのように鼓膜は不遜さを隠さないその音を的確に拾う。彼の声は世間に溢れている音とあまりにも異質の響きを発しているので、聞き逃すことが出来ない力を有しているようだった。
「何故……殺したっ!」
「はて、おかしなことを言う。私たちに与えられた勅命は潜伏している敵の殲滅。他に何がある」
「だが相手は、まだ子供だった」
「――サンクチュアリへの反逆者、だ」
「シャカ!」
堂々巡りの言葉だ。
シャカは慈悲を持ち合わせていない。美しい外見とは裏腹に容赦と言う言葉を知らず、命を奪うことに僅かばかりの躊躇いも見せない。どのような勅命にも否と答えることはなく、相手が誰であろうとも手を止めることなく、命乞いする者に対しても一切の情けをかけることがない。
知っていた。だが目の当たりにすると平静ではいられなかった。
言葉を失うアイオリアの前でシャカはただ無表情だった。
無造作に下ろされた手から滴る赤い血だけが、時間の経過を二人に告げるようであった。
「では、君はどうしたいのだ、アイオリア」
「それは――」
「見逃せ、と? いつまた反逆を企み、罪無き民を害するとも知れぬ輩を放置しておけ、と?」
「彼らは改心しようとしていた。半年前まではサンクチュアリで聖闘士になるための修行に精を出していた同胞だ。せめて話を聞いてやってもいいだろう」
「笑止。サンクチュアリで鍛えた拳をアテナの為でなく私利私欲の為に振るうというのならば、如何様な理由があろうとも万死に値する。命乞いに貸す耳など無い」
「それはそうだが……」
「君が果たせぬ、というのであれば私が為すまで」
シャカの小宇宙が手の平の中で急激に膨れ上がる。
静かでいて圧倒的。流れる風のようでいて抵抗を許さぬ鋭さ。
突然の攻撃的な小宇宙に、その意図することをアイオリアが察して止めようとしたが既に遅かった。攻撃を塞ごうと一歩踏み出すよりも早く、シャカの小宇宙は鋭い刃となってアイオリアの掠めて放たれた。勢いで生じた風の刃がアイオリアの頬を切り裂き鮮血を散らす。その弾けた血の向こう側で、一人の少年が身体を弓のように逸らせて、そして倒れた。
「シャカ……」
「ここで命を助けて、どうするつもりだったのだ、アイオリア」
「だが!」
「教皇の目を誤魔化せるつもりか? 愚かだな。これで勅命は果たした。教皇への報告は私が一人で行う。次の勅が下るまで、好きにしているがいい」
「シャカ!」
わかっている。シャカの言っていることが正しいのだということは。だがそう判断する理性よりも、無抵抗の者を殺害するという感情的な拒絶の方が大きかった。
力は誰かを守る為のものだと信じている。例え理想論だといわれても、それを信じているからこそ「反逆者の弟」との烙印を押されてもここに留まり続けたのだ。聖闘士となることを自らに課したのだ。それなのに――。
「――アイオリアよ」
「……」
「君は君の道を歩めば良い。それが君の確固たる正義ならば、誰もそれを阻めぬであろう」
「――シャカ?」
「私でも……な」
風が吹く。
辺りを赤く染めた夕日の中、むせ返るような血の匂いを巻き上げながら、金の髪を惜しむように散り散りに風が吹く。
燃える様な赤と、煌く金と、重い血の赤に彩られた景色。
アイオリアが何かを口にするよりも先に、シャカは小宇宙を身に纏いながら掻き消えた。

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