運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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手招く空 -ヴァンバル-

自分よりも体温の高い手が手首を捕まえる。
力を込めて振り払えば逃げられるであろう程度の力で。
けれど腕に力が入らない。せめてもの抵抗とばかりに拳を握って離せと吐き捨てるが、掴んだ手の力は強くも弱くもならない。強制しない程度の力で掴んだまま、空色の瞳で見上げてくるだけだ。

空色の瞳は小さな顔の中に納まっているはずなのに、どこまでも広がる本物の空よりも先の見えない広さを有しているように感じられる。この瞳に捕まってしまえば自分はもう、本物の空へと帰れないのではないかと言う恐怖に囚われる。
だがその恐怖はとても甘い。頭上遥かで人の心に応えない空など捨てて、自分だけを追いかけるこの二つの空に囚われる方がきっと心地良いはず。この空はいつでもバルフレアを求め、この空はいつでもバルフレアに応え、望むままに羽ばたかせてくれるだろうから。
これ以上ないぐらいに甘い甘い恐怖。甘いケーキの上にジャムを塗るよりも甘く、身体の隅々まで砂糖漬けにされてしまうかのようだ。

「俺、バルフレアのことが好きだよ」

知ってか知らずか。
ヴァンの言葉はいつも単純で聞き飽きたようなものばかりなのに、飢えた心が一番欲しがっているものを直接叩きつけるかのようにダメージを与えてくる。
普段ならそんな言葉は鼻で笑って聞き流せるのに。誰に言われても、耳には届いても心には届かないというのに。社交辞令と被り慣れた仮面とで、優雅に優美にけれど少しも自分に触れさせないで躱すことができるというのに。
今は舌先が痺れたように上手く動かずに、意識ははっきりしているはずなのに身体を動かす神経が繋がっていないようで、ただじっと空を見下ろすしか出来ない。

「好き」
「……あぁ」
「好きだよ」
「――――何度も言うな」
「何で?」
「くだらないことを何度も聞かせるな。一度聞いたらわかる」
「本当に? 本当にわかってる?」

くるりと瞳を丸めて見つめてくる。丸い丸い空が見上げてくる。
遠くで傲慢に構えている空を見上げる事などやめて、下で受け止めようと待っているこの空においでと。この空ならバルフレアを包み込むことが出来ると、両手を広げて待っているように。

「わかってないのかと思ってたよ」
「…………」
「だって、伝わってないみたいだったから」
「…………」
「ずっとずっと空ばかり見てて…。俺の言葉は聞こえてても、俺の気持ちが届いているかどうか疑問だったからさ」

責めるようではなく淡々と。バルフレアのことなど、バルフレア自身よりもわかっているというように。優しく、少し寂しげに。
いつからこんな眼差しでバルフレアを見るようになったのか。考えるよりも先に動くような、どこまでいってもガキっぽさが抜けなかったのはいつのことだったのか。

「俺…は――」
「――俺はね、バルフレア」

引きつる喉を無理矢理に動かして反駁の言葉を紡ごうとしたが、より柔らかなヴァンの声が続きを遮る。

「覚えていて欲しいだけだから。俺は――俺がバルフレアのことを好きなんだってことを」
「…………」

手首を掴んでいた温もりがすっと離れ、ヴァンは小さく笑って走り去っていった。後に残ったのは薄い薄い太陽の香りと、空気の小さく揺らめいた跡と、そして――

少しだけ寒いと感じた自分の手首だけだった。


バルフレアはいつまでたっても、自分がヴァンに支えられているのだということを認められないでいれば良いと思う。認めたら自分が壊れると無意識で怖がっていれば良い。
ヴァンはバルフレアについてだけは鋭かったら良い。いつまで立っても頼りなくて危なっかしいくせに、バルフレアが絡むと急に男前になる。萌えるなぁ。

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