運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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硝子細工の防壁 -アレティキ-

アレティキ祭りー!!!
アレンのちょい腹黒さを滲ませてみました。アレンはこれぐらいのことはサラッと言ってしまいそう。ティキは自分が主導権を握ってると思ってたのに、いつの間にかアレンに奪われてて驚いていると良いよ。可愛いと思うよ。迂闊な26歳受けさんだと萌えるよ!



時間を持て余していたのと唯の興味本位と。ティキにとって最初はそれだけのはずだった。電車の中で会った時の少年には詐欺師かと思うような腹黒さもあったが、根本はとても純粋で優しい少年だとわかっていた。
次に会った時はやや違っていた。エクソシストとして苛烈なまでの使命感を抱いて真っ直ぐとした敵意を向けてきた。あの時、心臓にティーズを穿ち命を奪おうとした時、久しぶりの恍惚感があって、自分の能力で彼の心臓を直接掴まなかったことを後悔した。あれほど美味なものは滅多にないというのに。
だが少年は死んではいなかった。そして今、また目の前にいる。

「いやぁ、久しぶり」
「――どうして、こんなところにいるんです」
「理由は少年と一緒」

睨みつけてくる視線と共に吐き出されたいつもより低めの声に、空を一瞥して笑いながら応えた。
空からはまるで地上に恨みがあるかのように雨が瀑布を思わせる激しさで大地を叩いていた。この中に出れば傘をさしていても数分もたたずびしょ濡れになるだろうし、濡れる濡れない以前に大粒の雨はなかなかの質量で打ちつけてくるので正直痛いほどだ。

「雨宿り」
「ノアも、ですか?」
「それを言うならエクソシストも、でしょう。濡れたらせっかくセットした髪が崩れちゃうからね」

軽く肩を竦めて見せるが、少年の視線が緩められることはない。
だが同時に気づいてもいた。少年の瞳には貫くような強さはあるが不思議と拒絶が宿っていないのだ。人である前にエクソシストであることを自分に課す少年が、ノアであるティキに対して拒絶していない。寧ろ受け入れている節がある。
もっとも、信頼といった類から程遠いことも確かなのだが。

「少年、俺が人間だってわかったからショック?」
「…………」
「人間は殺したくない?」
「…………」
「きっと一緒だよ、アクマもノアも人間も。壊すことに変わりない」
「僕は――人間を守ります」
「人間を殺す人間も?」
「そうです」
「見かけによらずジコチューなんだな、少年」
「貴方たちほどではありません」

力など使わなくても触れるだけで壊れる硝子細工のように、繊細な少年の身体。今だって手を伸ばせばすぐに少年の心臓を奪うことも可能なほど脆く壊れ易い哀れなほど弱い人間。それなのに静かに見つめてくる瞳だけが異様に鋭く力強い。アクマを見定める左の瞳ではないく、人間としての右の瞳が、身体の中心を貫く剣のように痛く突き刺さる。
最初からそうだ。甘くて、弱くて、脆くて、そのくせ最後の一欠けらがどうやっても砕けない。
自分の行動原理が単純な信仰や絶対正義などでないとわかっているのだ。自己犠牲も戦う理由も全て自分の中にあって、根本は自分の願いをかなえるためのエゴだということがわかっているのだ。だから強い。

「俺が人間をたくさん殺しても?」
「殺させません」
「俺が少年を壊しても?」
「殺されません」
「少年が頑張っても、いっぱい死ぬぜ? 笑えるぐらい馬鹿みたいに哀れで脆いからな、人間は」
「それでも僕は救います。人間も――貴方も」

すぐには少年の言葉の意味が飲み込めずに、隣の少年を見下ろした。少年は不思議な色の瞳を真っ直ぐと向けてきていて、その中心にティキの姿が映し出されている。瞳の中のティキは、何故だかティキが見たことのない表情をしていた。
まるで人間のように不安定で脆い表情を。

「貴方も守ります」
「あー。少年からの愛の告白は嬉しいけど、俺、さすがに守ってもらうほど弱くないから。これでも一応ノアだし?」
「他の人間よりも、貴方の方が遥かに脆いですよ」
「ティーズだけじゃなくて俺の能力もなかなか強力だよ?」
「でも貴方は誰よりも脆いと思いますよ。全てを選択できて――拒絶してきた貴方は、触れれば壊れそうなほど脆い」
「……面白いことを言うね、少年は」

少年に対して思っていたことを少年に言われて苦笑を返した。

「拒絶は、怖れからくるものです。傷つけられる怖れから」
「俺が怖れていると? 何を? 馬鹿馬鹿しいな」
「全てを。もしかしたら貴方自身を――違いますか?」

静かで柔らかな眼差し。それでいて強固な眼差し。
エクソシストとである少年にとってノアであるティキは明確な敵であるはずなのに、その瞳には一切敵意はこもっていない。敵であるティキは拒絶し排除しようとする意思が浮かんでいない。

「……そんなに頑張らなくてもいいのになぁ」

得心がいって、ティキは独り言のように漏らした。
少年はティキを怖れていない。一度殺されかけて、仲間を多く傷つけられて、明確に敵として理解しているのに、ティキ自身を怖れていない。ティキ自身の存在を拒絶していない。ありえないほど自然に存在を受け入れている。

「少年は面白いな、本当に」

見上げた空は、既に雨が上がっていた。

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