運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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硝子玉 -RWヴァンバル-

レヴァナントに出てくる石の力を前提にした話です。
うーん、7章終了?8章突入ぐらいの本ストーリーのネタバレかな?という感じ。それ以外の部分は捏造なので、間違ってもFF12-RWがこういう話だとは誤解しないでください(笑)。
ラブラブな話も好きだけどこういうシリアス路線も大好きなのです。この設定で長編も妄想したんですが、ヴァンバルのクセに二人の絡みが少なくて面白くないので断念ー。やっぱ二人セットでないと書いててつまらん。

それではOKな方は続きよりどうぞ。
バルが気持ち悪いぐらい素直です。


==========
 
 
「――ヴァン?」
「…………」
無言のままのヴァンに呼びかける。腹に力を込めて絞り出した声なのに、バルフレアの声は掠れていて言葉よりも空気の音の方が耳に煩かった。気を抜けば喉の奥がヒュッと悲鳴にも似た音を立ててしまいそうで苛立ちがつのる。
もう一度名を呼びその頬に手を添える。今までバルフレアからそうやってヴァンに触れたことはなかった。いつだってバルフレアが行動するよりも早くヴァンが走り寄って来て、近づくなと制止しても構わずに触れてきていたのだ。寒い場所ならまだしも湿気と暑さでブラウスが肌にへばりついているところでさえ、関係なしに肌に触れてくる。離れろと怒鳴ったことはあっても、触れたいと思うようなことはなかった。そんな間は与えられたことがなかった。
遅かったのだろうか。恐怖が心の中で膨れ上がっていき、細かな泡となって身体中に溜まっていく。不安が次々に弾けて顔を出し、そのつど奥から新しい泡が生み出されていく。その泡に埋もれて窒息してしまいそうだ。
「もっと早く、砕けていたら――」
秘宝など教えなければ良かった。渡さなければ良かった。石の危険性をもっと早くに伝えられていれば良かった。大切なものを失うぐらいなら、他のどんなものでも捨てるというのに。
頬に当たるものを不思議そうに見つめた空色の瞳はゆっくりとバルフレアの方へと向けられる。だがそこにはバルフレアの知る活発で明るい笑顔の成分は少しも含まれていなかった。レムレースで見た多くのエグル族と同じように、綺麗な瞳の色はしていても溢れんばかりの命の輝きは見つけられなかった。
石が奪っていった。心を。ヴァンの心を。
何よりも大切でこの世界で唯一バルフレアが貴重に感じる宝を、石の力が結晶石に封じ込めてしまった。一つはバルフレアが砕いたが、一つは翼のジャッジが砕いて力を奪いもう一つは見つからない。ヴァンの心は残り二つに奪われたままだ。
このまま心が戻らなかったら?
奪われたまま取り返せなかったら?
考えたくもない想像は後から後から沸き起こってきて、バルフレアの身体を恐怖で縛る。こんな恐怖はかつて味わったことがない。何が起こっても自分の身の上に降りかかるのならばどのようにしても乗り切る自信がある。だが自分以外の者の上に降りかかれば急になす術を失ってしまう。
「主人公が脇役に心配かけてるんじゃねーよ。俺はもう引退したって言っただろうが。主人公はいつでも美味しいところを攫っていくもんだって教えただろう――」
テーブルの脇に置いていた二つの石を手に取る。一つはバルフレアが持っていたもの。もう一つはヴァンが持っていたもの。無限とも思える力をもたらす石は、力と引きかえに使うものの心を奪う。危険なことはわかっている。だからバルフレアはこれを使わなかったし、ヴァンに使うのを止めさせようとしていたのだ。だが、
「……危ないってわかっているんでしょう? 抗えるものではないわよ」
「俺みたいに『大切なもの』が少ない者は特に、か?」
「ええ。否定しないわ」
「――わかってるさ。だが脇役は、主人公がいないと意味がない、ってね。それに、簡単にくれてやるほど俺は気前が良くないさ」
硝子玉のようなヴァンの瞳に映りこむ姿があまりにも情けなく見えて、バルフレアは肩を竦めて苦笑を浮かべた。こんな表情を見せるなど、随分と安っぽい感情を表すようになったものだ。だがそれはそれで、悪い気はしない。
両手で頬を挟み唇を重ね合わせる。
唇は温かいのに何も満たされた気はしない。
それでもこれが今のバルフレアを支える唯一のもので、バルフレアが取り戻さなければならないものなのだ。
「さて、では行くとしますか」
ワザと軽い口調でそう言って歩き出した。

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