運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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拒絶出来ない -アレティキ-

次の号が出る前にと、D灰からアレティキ。あんまりリアルタイムな話を書くと色々矛盾が出るんだけどともかくティキが生きてる間に書いておきたいシーンだけは書いてしまう。
ちなみに私、アレンは腹黒っ子だと信じて疑いません。



「どうした少年。やらないのか?」
「あなたは――」

にっこりと笑ってティキはそう問い掛けたが、アレンはじっと酷薄な瞳を歪めて見つめ返すだけだった。
アレンの左手はティキの首に据えられている。今ならば簡単にその左手のイノセンスでティキの命を奪えるはずだった。あらゆるものを選択できるティキといえども、この世のものではないイノセンスに関しては例外だ。十分な破壊力を有しているアレンのイノセンスに掛かれば簡単に命を落すだろう。

だがアレンは後少しのところで力を込めることが出来ない。
ティキは敵だ。頭ではわかっている。ティキはノアの一族でありノーマンを殺し多くの仲間を殺し、そして一命を取り留めたとはいえアレンをも一度殺した。あの時の攻撃に躊躇の成分は1ミリグラムもなかった。つまりティキにとってアレンとはその程度の存在なのだ。
殺すべきエクソシスト。もしくは壊されるしか出来ない人間。そのどちらかに分類される程度の認識しか持たれてないのだ。

「あぁ、もしかして躊躇ってるって奴か。おかしなものだ。人間なんて弱くて脆い存在の癖に、無駄なことをするのが好きなんだな」
「あなたは、何も感じないのですか?」
「何を?」
「楽しいとか嬉しいとか、悲しいとか寂しいとか、苦しいとか痛いとか」
「感じるよ、ちゃんと」
「ならばどうしてっ――」

悲鳴に似たアレンの声に、ティキはぐっと口角を引き上げて見せた。白い歯が見え赤い舌が覗く。にっこりと楽しそうに、それでいてこれ以上ないほど禍々しい笑み。
アレンは背筋を這い上がる悪寒にも似た感覚に囚われた。だがそれは不快な成分を多く含んでいるにもかかわらず、どこか興奮を覚えるザラリとした舌のような感覚だった。禍々しさが、人を人と感じていない感覚が、怒りを通り越して別の感情を刺激する。

「少年は、可愛いなぁ」
「ふざけないで下さい!」
「俺、冗談は好きだけどふざけるのは好きじゃないんだよね。ふざけた道化師はさ、千年公だけで十分だからさ」
「千年公爵の為に戦う、というのですか」
「ちょっと違うな。殺すのが好きなだけだよ少年。――っ」

力のこもった左手のイノセンスがティキの首筋に食い込む。傷つけられた首筋から赤い血が一筋滴り落ち、アレンとティキの足元を濡らす。

「あなたは感じないのですか……」
「ゾクゾクするなぁ。その目、いいねぇ。怒りと憎しみで俺だけを見てる。確かに感じるよ、少年の鼓動をね」
「……あなたはっ」

さらに力を込めればティキの顔が歪んだ。イノセンスの鋭利な部分が突き刺さり傷を大きく押し広げていく。首筋を掴んだ手が喉を圧迫して呼吸が途切れ途切れになっている。
それでも口元だけは笑いを止めない。そのことにアレンは痛みとも怒りとも衝動ともとれるものを感じていた。倒すだけならこのまま力を込めればいいとわかっているのに、その寸前で力を止めていた。

淀んだ闇のようなティキの瞳の中にアレンが映っている。
恐らくアレンの瞳の中にもティキだけが映っているのだろう。
互いの瞳が互いの姿だけを映し合っている。
敵同士として。命を奪い合う同士として。エクソシストとノアとして。

「――感じ、ないのですかっ」
「感じる、よ。確かな少年の苦悩を。薔薇の花束を抱き締めているみたいに甘く美しく心に刺さるように痛く――」
「……それなら。ええ、それなら僕にもわかりますよ」

僅かに左手の力を緩めると、ティキの口が酸素を求めるように大きく空気を吸い込んだ。その身体をアレンは強引に自分の方に引き寄せて、そっと、唇を合わせた。
酸素を求めた口を自分の口で塞ぎ、反射的に逃げようとする身体をしっかりと拘束する。発動した左手から逃れる術などないのだ。アレンが逃がさないと決めれば、囚われたものが逃げることなどできない。

そのまま数十秒。ゆっくりとアレンは唇を離す。
離れてみても相手の唇はやはり笑っていた。唯ほんの少し、先ほどよりも唇が赤く感じるだけだ。

「熱烈なことだ」
「唇はイノセンスじゃないですよ」
「――言うねぇ、少年」
「ええ」
「自信があるってか?」
「何の自信ですか? あなたに僕を『選択しない』なんてことは出来ない、という自信ですか。ティキ・ミック卿」
「本当に……言うじゃないか少年」
「ええ。僕にはわかってますから」

ゆっくりと笑って見せて、アレンは左手の拘束を解く。
ティキの表情は変わらない。驚愕も戸惑いも怒りも何も表してはいない。ただ無意識にそっと右手がティキ自身の唇へと運ばれただけだ。だがそれでアレンには十分だった。

「次に会った時はあなたを殺してあげますよ。だからそれまで待っていて下さい」
「…………覚えておくよ、少年」

闇が小さく口を開き、黒い姿を飲み込んで消えた。

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