運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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苦味 -サスダテ-

――あらあら、なんて顔してるんだよ竜の旦那

勝敗の決した戦場のただ中で、見慣れてしまった青い姿が一人たたずんでいた。
いつもは片時も傍らを離れない彼の右目は、少し後ろの方で兵士たちに撤退の指示を出している。奥州筆頭の彼は片倉小十郎の声を聞いているのかいないのか、背を向けたまま微動だにしない。あるいはそれは細々とした事柄は任せているだけかもしれないが、何となく表情を見せたくないのではないかと思った。
今回の戦いはあっけないものだった。偶発的な遭遇戦であり兵力も三倍以上の差があった。加えて相手は組織だったものではなく盗賊の連中が徒党を組んだだけのものだ。まともな戦いになるわけがない。
これだけあっけないと暴れたりないと竜が不満を漏らしているのではないか、そんな興味に駈られて任務のついでにとその姿を探してみたのだが。
――興味なんて持たなきゃよかったのにねぇ。
自分の浅慮に愚痴ってみても遅い。
そっと木の上から窺った政宗の顔には表情らしいものが何も浮かんでいなかった。いつもは人を小馬鹿にした皮肉な笑みが口の端にあるのに。静かに燃え盛る青い炎が宿っているのに。もしくは血にまみれた猛々しい、狂気一歩手前の竜の姿があるのに。
静か過ぎるそのたたずまいが胸騒ぎをかきたてる。陽炎のように揺れて消えてしまうのではないかと柄にもなく危惧してしまう。
「…………Hay, 忍。そんなところで何をこそこそ覗いてやがる。相変わらず趣味が悪い奴だ」
「――相変わらずは酷いっしょ、旦那」
竜の呟きに、全身全霊をこめて普段通りの軽い口調で答える。
「Han, 嫌味ったらしく気配も消さないで覗き見るような奴が何言ってやがる。武田の忍は忍ぶことを教えられてねぇのかよ」
「イヤ、忍の気配に気付くの竜の旦那だけだから」
「お前の気配ぐらい、嫌でもわかる」
憎々しく吐き出された言葉。
けれど語気は強いが力はこもってなかった。
政宗の前には既に動かなくなった屍の数々。別段珍しい光景ではない。戦になれば政宗は文字通り戦場を駆け巡り、休む間もなく六爪を振り続け屍を生み出し続ける。戦場の蒼き竜の上には、常に惜しみもなく赤い雨が降り注いでいるのだから。敵味方問わずどれだけの屍の道を踏み越えてきたのかはわからないぐらいだ。
表情からは何も窺い知れない。
笑みこそ浮かべていないが、動揺したり悩んだりしている様子など微塵も浮かべていない。少なくとも誰かの前で政宗がそのようなものを見せることはない。だが佐助が現れる寸前まで僅かに下唇を噛んでいたことに気づいてしまっていた。
「――後味悪い戦だったねぇ」
「戦の後なんざ、良いわけがねぇだろうが」
「ふーん」
「……ぶっ倒す相手のいなくなった戦場なんざ、陰気クセェだけだ。湿気てやがる」
「ま、どこでもそうだね」
それって言い訳?と言いそうになった言葉を飲み込んだのは、政宗自身が一番そう感じているとわかってしまったからだ。こんな時ばかりは佐助は自身の勘を恨みたくなってしまう。相手は敵の大将なのだ。感情移入してしまえば、殺せなくなるとは言わないが、後味が悪くなり過ぎる。
佐助の言葉に政宗はshitと小さく呟いた。
そしてそれ以上は何も言わずに背を向け、部下たちの入る方へと歩いていった。佐助が気づいたということに、政宗が気づいてしまったのだろう。だがその歩みは迷いなく、まさしく奥州の筆頭以外の何ものでもなかった。
肩を竦めて一度だけ政宗が見ていた方向に視線をやる。
そこにある盗賊たちの屍は皆幼く、恐らく十代半ばぐらいだ。
生きる為に悪事を働く。珍しいことではないが。
「さすがだねぇ。けど、ちーっと抱え込み過ぎじゃない?――って俺がする心配じゃないか」
らしからぬ自分の言葉を笑いながら打ち消して、佐助はこの場を後にした。


オカン属性佐助と意地っ張り属性政宗。
ちなみに幸村は犬っころ属性で、小十郎はオトン属性だと思う。

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