運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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crimson -小十政-

もう何度剣を振るい、何人の敵を打ち倒し、どれだけの血飛沫を身に受けてきたかわからない。血糊がつき切れ味の悪くなった刀の鈍さと、唇に滑り落ちてきたぬめりを唇で拭った時に口の中に広がった鉄の味。それだけがこの合戦だけでの自分の行動がcrazyに属するものだと冷静に教えてくれるようだった。
負けるつもりで戦った戦など一つとしてない。
落すつもりで賭ける命など持ち合わせていない。
それでも百戦して百勝という訳にもいかず、奥まった本陣で自らの命を安全圏においておく趣味も持ち合わせていない。左目だけで周りを素早く確認して、味方の陣営から離れていることと正面の敵に気づかれてしまった状況にニヤリと笑いを浮かべる。
状況が追い詰められれば追い詰められるほど、身体の奥が熱くなってくるのがわかる。まずい状況だと思いつつ、これこそが自分が望んでいる状況であるとも感じる。冷静に状況を判断する思考を押しのけるようにして、爆発するような興奮が身体を支配していく。
「Shit! 上手くない状況だな、小十郎」
「――政宗様。後方から山を迂回すれば敵に見つからずに味方の陣営に合流できるはずです」
「Hey 小十郎。それは新手のJokeか何かか?」
「お逃げ下さいませ政宗様。ここはこの小十郎めが防ぎまする故、どうか政宗様は味方との合流を第一にお考え下され」
小十郎の口調はいたって平坦だ。
残した野菜を指して好き嫌いするなと言う時や、夜中に一人で酒盛りをしているのを咎める時や、黙って遠乗りをしたことに小言を言う時の方がまだ感情がこもっているぐらいの口調。だがそれが、何よりも小十郎が決意を込めて語るときの口調だと知らない政宗ではない。そしてこの口調の時の小十郎は妥協という言葉を知らない。
だが妥協できないものがあるという点では政宗も同じだ。
小十郎の言葉の意味も決意も、今の状況も何が最良の選択かもわかっていながら、それでも政宗は「今なんつった?」と振り向きながら聞き返した。
「政宗様はお逃げ下さいませ」
静かな口調が同じ言葉を繰り返す。
政宗のを真っ直ぐと見つめ返す小十郎の瞳は驚くほど静かで、だが痺れるほど熱い炎が宿っている。向き合うもの全てを消し炭にしてしまうような、青白い炎が宿っているかのようだ。政宗と同じく鎧も刀も顔も真っ赤に染まりながら、それでいて全てを凍りつかされるような冷たさを宿した青白い炎。
ゾクリとした寒気が背中を撫で上げる。
どれだけの敵に囲まれようと恐怖したことは無いが、小十郎の瞳に宿る狂気と紙一重の気配は政宗の心に恐怖に近い感覚を植えつける。だがその恐怖を駆逐するほどの勢いで、抑え難い興奮をも植えつけるのだ。
――あぁ、この瞳だ。
政宗の心に宿る治まることを知らない竜を駆逐するほどの興奮。向けるところを見つけられない自分の中の熱いものを平然と受け止め、さらにそれ以上の熱さを返してくる狂気に似た興奮。
口の端の血を舌で拭う。口の中に鉄の味が広がるが、それは先ほど味わったほど鮮烈な香とはならなかった。その代わりに身体の奥から震えが生み出されてきて、自分の中の竜が貪欲に目覚めるのを自覚する。目覚めてしまえばもはや自分でも抑えることのできない、蒼い竜が。
「残念ながら、こんな面白そうなご馳走を目の前にして回れ右、ってのは俺の趣味に合わねぇな。俺も混ぜろよ」
「また御戯れを」
「堅苦しく考えるなよ、小十郎。俺はちーっとばかしこの辺の地理に疎くてな、お前がいないと間違って敵陣のど真ん中に出ちまう可能性があるんだ。そうなったらお前も困るだろう?」
「――困ったものですな。戻りましたら、小十郎めが詳しくお教えさせていただきます」
「無用だ。お前がいたら問題ない」
笑って言った小十郎に、政宗も笑い返す。
ニッと片方の口角を上げた小十郎の笑いは敵にとってはまさしく悪魔の笑みだっただろう。だが政宗にとっては興奮の扉を開く笑みだった。血にまみれた中で持ち上げられた唇がひときわ赤く見える。
戦いの興奮とそれ以外の興奮とが身体を支配する。
この暴れ狂う熱を吐き出しきってしまうまで、きっと今夜は眠れはしないだろう。


キレ気味の血塗れ小十郎を見て欲情する奥州筆頭が書きたかったんです。
この後無事に本陣に帰りついた後、野外で熱の放出合戦が行われることになるのです。筆頭の誘い受けでどうだ!<全力で謝れ

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