運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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月を染める -バシュバル -

鮮やか過ぎるコントラストにトリガーにかけた指を動かすことができなかった。

敵を定めて照準を合わせ、トリガーを引く。それだけだ。扱いなれた銃はもはや身体の一部で、意識しなくても一連の流れを滞らせるようなことはない。仲間越しの敵だろうが素早く動く敵だろうが、弾丸が通過する空間さえあれば躊躇うことなく人差し指が動く。それなのに意識と身体が切り離されたみたいに自由がきかなかった。

自分の視線が固定されているのは見慣れた背中だ。仲間の中の誰よりも先頭を切って敵に突っ込んでいき、誰よりも多くの敵を薙ぎ倒し、己の身体を盾として他人を守る将軍様の背中。見慣れ過ぎている。鬱陶しいぐらいにいつも人の前で剣を振るう姿。それなのに、月明かりの中で剣を振るう姿に身体中が痺れたような感覚になって指は動かなかった。

薙ぎ払われた剣。追従するように夜空を染める飛沫と赤い線を描く血。夜の闇の中でそれだけが妙に光っていて、月明かりの下で浮かび上がる光景はゾクゾクするほど艶やかだ。
照らされた横顔からは普段の穏やかさなど微塵も残っておらず、獣よりも獣らしくギラギラとしていて、魔物よりも禍々しく殺意を秘めている。
振り向いたなら、そのまま自分も殺されてしまうかもしれないという錯覚すら覚えるほどだ。

「怪我はないか?」
「………誰に言ってる。そんな台詞は王女様と嬢ちゃんにだけ言え。こんなザコ相手に俺が怪我なんかするかよ。それよりあんたの方が怪我してるだろうが」
「ああ。だが大したことはない」
「深くはないだろうが見てて痛いんだよ。ほら、腕出せ」

血糊を飛ばした剣を鞘に収めて発せられた言葉に、先ほどまでの狂気は何処にも宿っていなかった。穏やかな表情と気遣わしげな言葉。呆れるぐらいいつも通りで拍子抜けするほど鋭さの欠片も残っていない。

―――月に酔ったか

自嘲しながらバッシュの手を取り回復の魔法を唱える。
今宵は嫌に大きく空に浮かぶ満月。しかも血で染まったかのように赤い色をたたえている。満月の夜は犯罪が多いと言われているように、こんな時は月の引力によって人の思考は狂わされるらしい。恐らく自分もその一人。

「………熱いな」

魔法の光が傷を癒すのをじっと見つめながらバッシュがポツリと呟いた。

「そうか?もう肌寒いぐらいの気温だろう?」
「いや……。身体が、な」

あぁ、それは同感だ。熱くてたまらない。満月に狂わされたという理由で求めようとする自分が熱くてたまらない。だが口に出しては毒は持っていない魔物だと思うがエスナもかけるか、と口にした。バッシュがその言葉に首を横に振るであろうことを承知の上で。

「毒ではない。いや―――そうだな、似たようなものかもしれんな」
「あぁ、似たようなもんだ」
「………月が血のように赤いな、今夜は。気がつかなかった」
「アンタが染めたんだよ」

アンタが全てを染めた。
俺にトリガーを引かせず、アンタに剣を振るわせて、多くの血を降り注がせた。そして月も、俺の心の中も、そしてあんたの心の中も、赤く赤くそして熱い血色一色に染め上げてしまった。

「汚れるぞ」
「もう中まで血生臭さで埋まってるさ」

噛む唇に伝わってくる鉄の味が、月の下では怖ろしいぐらいに甘く感じられる。


月の下、血まみれの将軍様にキスする空賊。絵的に萌えるんですが、絵では描けないので文章で挑戦!……して玉砕(苦笑)。誰か描いてくれないかなぁー。

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