運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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無音の感情 -バシュバル-

それは世界が無音に包まれるかのようだ。

やけに赤く大きく映る月明かりの下で銃を構え、指先に僅かに力を入れ、トリガーを引く。そこには無粋な音が一切介在せず、ただ弾丸の撃ち出される火薬音だけが鳴り響き、弾けた音が敵と無音の世界とを同時に打ち砕く。

動きは最小限。剣を持って戦うバッシュを公然と「盾」として扱い、自身は傷を負うどころか返り血一つ浴びることも滅多にない。女性陣が危なくなった時だけ庇うような行動を見せることはあるけれど、そうでなければまったく自分本位で動く。
バッシュが危なくなっても口の端に笑みを浮かべたまま、指先一つ動かすこともなく見ていたこともあった。無事だったから良かったものの、さすがにその時は皮肉の一つでも言いたくなり―――

「その銃のトリガーは随分と固いようだな」
「将軍様の固さには敵わないさ」
「君は―――君は私が戦闘不能になっても眉一つ動かさないのだろうな」
「まさか、そんなことはないぜ」
「嘘は止めたまえ」
「嘘なもんか。盾がいなくなったら面倒が増えるだろうが。意識がなくても聞こえるぐらい派手な舌打ちをしてやるさ」
「なるほど、君らしい」

そんな会話を交わしたが結局バッシュの溜息で終了した。不敵な空賊はバッシュの皮肉で堪えるような性格ではなく、また態度を改めるような殊勝な心も持っていないようだった。



それが今、指輪で飾られた指がバッシュの肩をしっかりとつかんで後方へ引き倒していた。

白いブラウスが視界を横切るようにしてバッシュの前に割り込んできて、次いで鈍色に光る細長いものが写る。それがバルフレアが常に装備している銃身だと認識するよりも早く、すぐ耳元で激しい爆発音がした。

耳の奥で音がこだまする。
火薬の匂いが鼻につく。
引かれたトリガーが目に写る。

庇われたのだと理解するまでに時間が必要だった。

だが頭が事態を理解しなくても身体は条件反射を忘れてはおらず、次の瞬間にはバルフレアが仕留めた魔物の後ろから飛び掛ってくる影を捉えていた。後ろに傾いた身体を足を開いて倒れこむのを押し止め、大地を思い切り蹴って突っ込む。
渾身の力を乗せた剣戟を左下から右上へと勢いよく薙ぎ払う。一瞬だけ骨を捉えた剣は動きを鈍らせたが、十分力のこもった一閃はとどまることなく魔物の頭と同を真っ二つに分断する。

断末魔もなく、吹き飛ぶ。

その状況を最後まで見ることなくバルフレアの方へと振り返る。髪を魔物の血の飛沫が叩いたが気にならなかった。

「バルフレア!」

悲鳴に近い声で呼びかけたが、バルフレアはいつもと変わらない皮肉な笑みを浮かべて肩を竦めて見せるだけ。その姿にほっとして、けれどどこか心が疼く感触が責め立ててきた。

「何、慌ててやがる。頭でも打ったか、将軍様?」
「無事、か」
「俺様がそんなヘマするか」
「良かった」
「どうした。らしくないな」
「………いや、少々驚いただけだ」

らしくない、の台詞が魔物の気配に気づかなかったことに対するものだとはわかっていたが、わざと逸らして答えた。自分の不甲斐なさよりも、バルフレアの行動に驚いていた感情の方が大きかったのも確かだった。
乱れた髪を掻き揚げると硝煙の匂いがして、それが妙に自分の中の劣情を刺激し、そしてそのことに胸がチクリと痛んだ。とても偽善的な感情であるとは思ったけれど。

「私のせいで君に怪我がなくて良かった」

それは本当の気持ち。けれど全てではない気持ち。

無音の世界のバルフレア。月明かりの下の美しさの無音、喪失を一瞬予感させる恐怖に囚われた無音。音だけでなくその姿も全て無に還ってしまうのではないかという恐怖を感じた、などと子供じみた言葉は口に出すことなく飲み込んだ。


微妙に着地点を失敗した感のあるバシュバルですが…。これ以上書き込むとブログとしては長過ぎるのでサイトにUPする時に加筆しようというか、連載ものっぽくしてやろうとか、そんなことを企んでます。

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