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運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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Voice -ヴァンバル


いつも真っ直ぐ立っていて。
いつも瞳は前を見ていて。
広げた翼で迷いなく空を翔る―――空賊バルフレア。

それはとても綺麗な姿だって知っているし、最初はそんな手の届かないようなバルフレアに憧れを抱いて見つめていたのも確かだ。けどどれだけ完璧に見えたって一人の人で、人である以上完璧なんて無理だってことはわかるほどには俺も世間を知っている。

それなのにバルフレアはそんなことは口に出さない。
冗談混じりの愚痴をこぼすことはあっても、迷いとか弱音とか不安とかそんなことを口に出すのを一度だって聞いたことはない。

だから俺だって子ども扱いされるのは嫌だから不安だ、なんて言葉を口にするつもりなんて絶対にない。口にするつもりはないけど「思わない」ようにできないのはやっぱりまだ子供の証拠なんだろうかとも思う。

でも年上だっていっても5歳の違いで、少なくともバッシュとバルフレアの年の差よりは少ない。何でも知ってるようで、実際色々な経験をしてきたんだろうけど、それでもお酒の飲める年になってからまだたった2年しかたってないんだ。俺が子供だったらバルフレアは十分「若造」な年齢で、そんなに大人ぶらなくても良いのにと思う。

いつだってバルフレアの口からは強気な発言しか出てこない。
傲慢にさえ聞こえる発言は絶対の自信に裏づけされてるからこそのものだろけど、それでもたまには不安にならないのかと思ってしまう。

しなることのない棒は硬くて丈夫だけれど、限界を超えたらあっけなく折れてしまう。バルフレアが生半可なことで折れてしまうほど弱いとは思っていないけれど、それでも常に強い状態でいられるわけはないんだし、時には脆くなってしまうこともあるはずだ。
そう言ってもバルフレアが認めないのは知っているけど。それでもその言葉を言えるのは俺だけだってのも知ってるから。

「おい、ヴァン。何だこの手は?」

不機嫌そうな声が上から降り注いでくる。
一人でさっさと歩いていこうとする背を引き止めたくて、どうやら無意識に服の端を掴んでしまっていたらしい。離せと視線だけで威圧的な命令をぶつけてくる深緑の瞳を見上げてから、言いつけ通りに放すかわりにその腰へと両手を回した。

「おい!何やってやがる!」
「―――たまには俺にも、言ってよ」
「はぁ?おまえ何言ってるんだ?」

バルフレアは細い身体つきをしているけれど決して軟弱なわけではなく、抱きしめると無駄なく鍛え上げられた身体の感触が良くわかる。けどその無駄のなさが、どこかバルフレアの人には言えない余裕のなさを表しているようでもあって、しっかりと立っていればいるほど不安が込み上げてくるものでもある。

「俺頼りないけどさ、少しぐらいはバルフレアの役に立ちたいって気持ちがいっぱいなんだ」
「だから何を言って―――ってヴァン、おまえ何泣いてるんだ?」
「え?」

見上げたバルフレアの瞳が歪んだかと思うと、空も地面も同時に歪んでふるふると震えだした。

何が起こったのかわからずにそのままでいると少しオイルの臭いのするバルフレアの手が下りてきた。
旅の途中でも身だしなみを気にして服の汚れなんてもってのほかのバルフレアだが、その手は少し硬くて機械オイルの匂いがするのだ。口で何を言っていてもその手に触れればバルフレアがどれだけ飛空艇を愛しているかがわかるようで大好きな匂いだ。

オイルの匂いを纏った硬い指がそっと瞳の周りを拭い、それでようやく自分が泣いてることに気がついた。何で泣いてるのだろうと少し考えて、あぁきっと自分は泣くことのないバルフレアの替わりに泣いているのだと気がついた。

バルフレアは絶対に不安を口にしないし、涙を流したりもしない。人知れずそっとしてるのかもしれないけど、全てを押し流すような勢いで出すことは決してないのだろう。
そうして様々な感情がバルフレアの中で膨らんでしまって閉じ込めておけなくなると、そっと身体から零れだしているのだろう。誰にも気づかれないように、けど俺にだけはわかるように、無意識のうちに零しているのだろう。

だから、自分が泣いているのだ。
だから、自分が不安を感じるのだ。

ずっと側にいて、そっと触れていて。そうすればバルフレアの心が自分の中に入ってきて同化し、自分のものとバルフレアのものが混ざり合って一つになる。
だから、理由もなく不安になり理由もなく泣きたくなるのはきっとバルフレアの心がそれを求めているからなのだ。

つまりは、バルフレアも自分と同じ子供なんだ。取り繕うことが上手で誰にも悟らせたりしないけど、口に出さないし本人も気づいていないのだろうけど、心の中はきっと子供なのだ。不安を抱えた子供。涙を流す子供。

「―――バルフレアの為に、泣いてるんだ」

何を言ってるんだ。やっぱりおまえは馬鹿だ。そんな言葉が容赦なく返ってくるだろうなと思ったのに、いつも通りの言葉は何も返ってこなかった。
ただバルフレアはぽんと俺の頭の上に手を置いて、視線は遠くを見つめたまま「そうか」と小さく呟いただけだった。

素直な言葉なんて一つも口にしないけど、言葉にしなくても大丈夫。弱音も不安も口に出すことができなくったって大丈夫。

俺にはバルフレアの声がちゃんと聞こえているから。


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以前こっそりUPしていたんですが無謀な勇気でヴァンバル同盟参加記念で捧げさせていただきます。
短くて申し訳ないですが……(汗)。

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