運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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君に出会うための世界

一ヶ月以上あきましたね。これは酷い。

夏以降原稿も何もしないでぐったりしてます。
こう、なんていうか調子が上がらない。
その間にコメントいただいたりもしてすみません。
ルークの逆行はたぶんもう更新できないんじゃないかと。
プロット立てたメモをなくしました。すみません。

まぁこの開いた期間はジャンプ本誌の秀徳戦で殺されてました。
本当にあれはダメだ燃えるわ萌えるわ。
高緑でも緑高でも高緑高でも緑高緑でもいいけどまじチャリア組愛しい。
秀徳好きだわ。本当にありがとう。
真ちゃん秀徳に入ってよかったね、高尾に出会えてよかったね。
と咽び泣きながら過ごしました。

と言いつつ続きはループ足主。
の出だしだけ。


 
 深呼吸する代わりにポケットに手を入れる。
 上に向けていた視線をいったん地面に落とし、自分のくたびれた革靴の先を見ながら取り出した煙草とライターを手に取った。胸ポケットに入っていた煙草はまだ数本しか吸った形跡はなく、減った数本のスペースにはライターが無理やり詰め込まれている。
 ちっ、と舌打ちをした。隙間なく詰まっているせいで取り出し難い。こうなることはわかっているのに、と過去の自分に文句をぶつける。
 爪を引っ掻けて引き出したのは、青く透明ないかにも安っぽい百円ライター。オイルはほとんど減っていない。
 自販機の少ないこの田舎で煙草を買うのは意外に面倒で、だから休みの日にスーパーでカートン買いをしているのだが、毎度そのおまけで付いてくるライターだ。同じものが部屋には何本転がっているかわからない。無くなってもいいと適当に扱うのだが、そう思っているものほど壊れることもなくなることもないのだ。
 取り返しのつかないものは簡単に壊れるくせに。
「あーあ。嫌になるなぁ」
 一本咥えて火をつける。肺の奥まで煙にまみれた空気を吸い込んだ。胸の奥が苦く重いもので満たされたのを感じると、唇で煙草を咥えたまま煙を吐き出す。
 美味いとも不味いとも思わない。吸いたい、とも実はあまり思っていない。ただの時間稼ぎだ。この後のことに対する心の準備だ。
 後悔、と名づけるには少々くたびれた気持ちでそんなことを思う。
 世の中はクソで思い通りにならない。
 その中でもがくことも忘れそうな自分はもっとクソなのだろう。
 短くなった吸殻を地面に投げ捨て、舗装の傷んだ道路の割れ目に押し込むように踏みしめると、諦めをもって視線を上げた。
 厚い雲に覆われた空。
 都会とは違う田舎の空は、高い建物も大きな看板もないせいで、落ち着かないほど広く見える。鬱陶しい灰色の中には電柱が立ち並んでいて、その間を細い電線が垂れ下がっている。道の両端には二階建ての家の屋根が間隔を開けて並んでいて、おしゃれでもないでもない三角の上にはこれまた景観を損ねるしか能がないようなアンテナがたてられている。
 そしてその先。
 ちかちかと赤く光るライト。
 広げられた、明らかに異質なブルーシート。
 制服を着こんだ人間が何人も集まって慌ただしく動いている。その中に自分も足を踏み入れる。
 ドラマと一緒だな、と感慨もなく思う。ただあんな小奇麗さはない。感動もない。しかも殺人事件の現場など、何もいいことなどないのだ。
 見なくても何かわかっているのに、促されてそれを見る。
 それが誰かは知っている。どうして死んだのかも知っている。
 だが人の死体独特の、生魚ほど生臭くもないけれども生きた人間とは明らかに違う汚泥のような匂いが、鼻孔から、肌から、目の粘膜から沁み込んでくるような感覚に体が強張る。それはピクリとも動かないただの肉塊なのに、引きずり込まれるような感覚。暗い穴に、引きずり込まれるような。ぽっかりと空いた奈落に、落ちていくような。
「うっ――――!」
 込み上げてきた吐き気に口を押さえて駆け出す。
 足立! と聞き慣れた怒声が背中を叩いたが応えている余裕はない。
 ブロック塀の隅にしゃがみ込んで、背を丸め胃の奥から競り上がってくるものを一心に体外へ排出する。昼間に食べたから揚げ弁当の残骸が油っぽい匂いと酸っぱい匂いをまき散らしながら地面を叩いた。形の残った茶色い衣。
 何でこんなもの食べたんだよ、と腹立たしくなる。悩んでいた幕の内弁当の方だったら、こんなに気持ちの悪い匂いがしなかっただろうに。安っぽい油の匂いにさらに吐き気が誘発される。三度吐いたところで固形物はなくなったが、吐き気は収まらない。口の中は油を飲んだような気持ちの悪さと、独特の腐ったような匂いで溢れている。煙草を吸う暇があったら何か飲み物でも買っていればよかったと後悔したが、そういえばここから一番近い自販機は五分ほど歩かなければなかったなと思いだして、くそっ、と短く吐き捨てた。
 頭の奥にアルコールでも流し込まれたみたいにくらくらとする。
 じわりと涙まで浮かんでくる。
 なんだって自分はこんな目に毎回あわなければいけないのか。
 胃液すら出そうにないのに吐き気だけはいくらでも込み上げてくる。
 どうせならもう少し後ならば、この気持ち悪さを回避できるというのに。もしくはもう数日早ければ、全てを変えることもできるというのに。この意地の悪い選択は、世の中がクソだということを毎度思い出させてくれる。
「あの……大丈夫、ですか?」
「――――は?」
 気持ち悪さをやり過ごす、だけの時間のはずなのに声が聞こえた。
 すっと目の前に差し出されたのはペットボトルのスポーツ飲料。
 こんなこと今までなかったよな、と自分の記憶を探りながら顔を上げれば、見慣れているけれど今回は初めて出会う霧のように柔らかな双眸が足立を映し出していた。
 思っていた以上の至近距離に柄にもなく言葉が喉の奥に詰まる。ここで声を交わすはずなどないのに。今まで堂島に紹介されて会話を交わす、そのファーストコンタクトの様式が崩れたことなどなかったのに、どうして。
 それにしても控えめに足立を覗き込んでくる顔は、知っているものだが記憶の中の印象と随分と違う。あの生意気そうな表情もなければ、揚げ足を取ってくるような言葉選びもなく、隠している何かをじっと射抜いてくるような眼光もなければ、生意気な気配もない。大人しくて控えめな転校生、という言葉が似合う。
 いつも多かれ少なかれ戸惑いはある。赤黒いテレビの中で対峙した時の彼と、今こうして八十稲羽にやってきたばかりの彼とではまるで別人だ。堂島に紹介される初対面の時は毎回それらしい言葉と表情を選ぶのに必死だった。心の準備をしてから挑むその再会が、まさかこんな形で行われるとは予想がい過ぎた。
 心臓が不規則に脈打つ。
「迷惑、でしたか?」
 無言に耐えかねるように僅かに傷ついた声が聞こえて、ずきりと心臓が痛んだ。
 どうして。
 何に対しての疑問なのかもわからずに、薄く白い色のついた液体が揺れるペットボトルと、それを掴んでいる白い指先を眩暈がしそうな感覚にとらわれながら呟いた。
「……どうして、君が」
 もしかして今回は何かが変わるのか。
 もしかして何かを期待してもいいのか。
 そう続けそうになったが、視界の端に屋根の上から伸びたアンテナが忘れるなと忠告するように映り込んで、僅かに浮かんだものはすぐに消えた。
 何かが変わるとしても、それ、は変わらない。
 そう理解すれば表情は自然と、装い慣れた笑顔になった。期待を抱けないのならば何も怖くはない。戸惑う必要もない。そう理解したのだ。ならば自分にとっては一番慣れた反応をすればいいだけだ。にへらとだらしなく笑う、一番よく顔に浮かべた表情を浮かべていればいいのだ。
「あ、の……」
「…………あはははー。大丈夫だよ、大丈夫。見っとも無いとこ見せちゃった、かな?」
 口を拭って立ち上がる。
 大丈夫。自分は装えているはずだ。
 この終わらない世界の中でまだ、この前と同じ自分を演じられているはずだ。
 君と過ごすために自分を、僕はまだ、保てているはずだ。

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