運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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わかっていた、これは叶わぬ××だ

愚者が見る世界
それは愚かな期待と叶わぬ現実で構成されている
見よ、その手には何もない
掴めるものは、何も

足→主
長い話のつもりだったけど色々力尽きた末のブツ。
そのせいでオチがオチてない感じが酷いですよ、と。


 
 どんな会話の流れだったのかは思い出せない。
 堂島さんが遅くなる旨を伝えて、ついでに様子を見てきてくれって頼まれたのだと言えば、夕食でも食べていってくださいと家に招き入れられた。それ自体はよくあることだ。
 テレビを見るとはなしに見ながら、意味のない世間話をしながら食事をしていた。
 その流れの一環だったのだろうが、
「俺、足立さんのこと好きですよ」
 何の躊躇いもなく告げられた言葉。
 そんなことを不意に言うものだから、見て見ぬ振りをしていたはずの衝動が簡単に動いたのだ。
 彼は、初めから何かと目にとまる存在ではあった。
 こんな田舎町にそぐわない整った顔立ちは目立ったし、色合いだけは綺麗だけれども硬質なガラス玉のように感情を示さない瞳に少しだけ親近感を覚えた。完璧に取り繕われた笑顔や、丁寧だけれども起伏のない口調や、一定以上に踏み込まない空気は酷く馴染みのある気配だった。
 あぁこのガキはここに居るけどここに居ない。
 笑顔を浮かべて親しげに話しているけれども本心なんてどこにも持ち合わせていない。
 自分と同質の気配はつまらない田舎町で少しだけ愉快な気持ちにさせてくれた。
 だがそれもすぐに変わった。上辺だけで一緒に歩いていたはずの姿が、いつの間にか仲間との距離を近くして、柔らかな笑みを浮かべていた。くだらないクソガキの中心で表情を緩める姿に、言いようのない苛立ちと苦みを感じた。
 一歩引いた気配で、この町とは何も混じり合うことなどできないといった雰囲気だったくせに、自然と偽りもなく笑みを浮かべる顔は神経に触った。
 そんなものと同じ表情で、そんなことを言うものだから、
「――足立さ、んっ?!」
 無防備に座っていた体を突き飛ばすようにして圧し掛かる。
 見上げてくる瞳は水をたたえた杯のように揺れていて、その色合いは水面に映る月が反射しているように淡くて綺麗だ。深い深い水底まで見通せそうなほど澄んでいて、あまりにも綺麗すぎてその中に映り込んだら息ができなくなりそうになってしまいそうだった。
 もっと濁っていればいいのに。映っているものが汚れているのか、映す瞳が汚れているのかわからないほどに濁っていれば、嫌なものを自覚せずに済んだかもしれないのに。
 舌打ちを隠すように乱暴に口を塞いだ。
 騒ぐ唇は、生意気なくせに女と同じように生温かくて、苛立ちを込めて歯を立てる。下唇の端を噛んで容赦なく力を込めれば、がりっと嫌な感触と共に鉄臭くて吐き気のする味が口に侵入してきた。唾と一緒に血を吐き出して突き放せば、つーっと粘質なものが垂れて顎を伝う。
 見下ろせば、形のいい唇は赤い花を咥えているかのように染まっていた。意外と深く噛み切ってしまったようだ。広がっていく赤は滲むというよりもはっきりと流血している。
 驚いて見開かれた瞳はじっと足立の姿を追っていた。
 肩を押さえつけられて身動きが取れない状況であることを理解しているのかいないのか、手は両側に無造作に投げ出されたままぴくりとも動かない。
「君って誰にでもそんなこと言う訳? あんまり感心しないよ?」
「……」
「だったらさ、いいことしようか。ねぇ――――悠くん」
「……」
「不用意な発言の授業料代わりと思いなよ。僕のこと好きなんだろ。だったら僕のために役立ってくれてもいいよね。事故だって思えば大したことないからさ」
 ジャージに手をかけてにっこりと笑ってやる。
「堂島さんは帰ってこないから好都合だし。あ、でも菜々子ちゃんを起こさないように声は出さないでね? ほら、見られると恥ずかしいでしょ?」
 お兄ちゃんが喘いでる姿とかさ。
 布越しに股間を刺激して力を込めてやれば、足立が何をやろうとしているのか正確に理解したらしい。四肢が緊張したように強張るのがわかった。
 さぁどんな表情を見せてくれるだろうかと、興味を持って表情の読み取りにくい顔に視線を定めた。
 別に本気でどうこうしたいと思うほど飢えている訳ではない。女っ気のないことは否定しないが、だからといって男で抜きたいと思うほど切実になるはずもない。必要なら一人ですればいいだけだし、溜まって仕方がないというほどになるわけでもなかった。まだまだ若いが、残念ながらそこまで青くもないのだ。
 だからちょっとした遊びだった。
 慌てて暴れ出すのか、恐怖の表情を浮かべるのか、それとも拒絶の言葉を口にするのか。普段あまり動かない表情がどんなふうに慌てるか、そんな興味だ。好きだといったその舌の根も乾かぬうちに、そんな意味じゃないと喚くのだろうかと、意地悪く思っただけなのだ。
「…………足立さん」
 だが反応はどれとも違った。
 見開いていた瞳はいつも通りの静かな眼差しになって足立を映し、抑え付けられたままの格好で抵抗する様子はなくゆっくりと手の甲で唇の血を拭う。思いの外多い流血に驚いたように目を細め痛みを自覚したように少し顔を歪めたのが、唯一真っ当な反応らしい反応だった。
「それで、いいんですか」
「――――はぁ?」
「足立さんは俺に手を出していいんですか?」
「何それ。君この状況わかってる? それとも堂島さんに言いつけるよってこと?」
「わかってますよ。だから聞いてるんです」
 足立さんの答えはそれでいいんですか、と。
 変わらない口調で、逸らされない視線で、読み取れない表情で続けられた。
 踏み込んではいけないところに踏み込んだような、気持ちの悪い感覚が足の裏から伝わってくるようだった。それは初めてテレビに人を押し込んだ時の、泥濘に手をついたかのように不確かな感覚とよく似ていた。
 何かがおかしいと頭が痛くなるほどの警鐘が響く。
 気持ちの悪いものが胃から込み上げてきて、喉元まで胃液が逆流してくる。
 けれど自分に向けられている色合いだけは変わらず綺麗な瞳から目を逸らすことが出来なくて、相手の肩に置いた手が、行動を封じるためのものなのか縋り付こうとしているのか、そんなことすらわからなくなってくる。
 下から伸びてきた手が頬に触れてきた。冷たい。こんなに体温が低かっただろうかと思ったが、比べる為の記憶は持ち合わせていなかった。
「そんなに欲しかったのなら、もっと早く言ってくれればよかったのに」
「な……にを……」
「あぁ、でもそれを言えば最初から手遅れだったのかもしれませんね。出会った時にはもう、あなたの手は汚れていた」
「!! ――っ」
「安心してください。ここなら叔父さんに見つかりませんから」
 瞬きを繰り返した瞳が、目の前で淡い色彩から金色へと変わる。
 血まみれの唇を楽しそうに持ち上げて、にっと笑って見せる。
「ぁ……っ。お前、は――」
「大丈夫ですよ。「俺」もまだ暫くはたどり着けませんよ」
 後押しするように首筋へと手が回された。
 聞き慣れた声の聞き慣れない言葉をどこか意識の遠いところで聞きながら、導かれるままに血の味のする唇に口づけをした。
 あぁこれが最後に見る夢がこれだというのならば、世界は思っていたほどクソだったのではなく、ただ自分という存在が何よりもクソだったということなのだろう。
 だがそれを自分に突き付けてくる世界は、やっぱりクソだな、と諦めるように吐き捨てた。


テレビに飛び込んだ後に自分のシャドウに取り込まれた足立が見た、自分の望みを浮き彫りにした夢、のつもりでした。書き切れてないことは理解している。

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