運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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世界は勝者のもの

P4で足主

お帰りなさい、のシーンなのにBADな雰囲気で。
改心しない足立さんもいいなと思うのですよ。

何でも許せる方だけどうぞ。


 
「足立さん……」
 さっきまでお前呼びして足立の全てを否定するように対峙していたはずの目の前のガキは、まるで自分の方が打ち捨てられた子犬か何かのように弱々しい声で名前を呼んだ。
 瓦礫に身を預けたまま視線だけを少し上に向ける。体中の力が抜けていて顔を上げることすら億劫だった。瞼を開いているのが精いっぱいの視界で、淡い色彩の双眸は助けを求めるように足立をじっと見ている。
 助けが欲しいのは指先すら動かせない足立の方だというのに、こんな状況に追いやっておいてそんな表情を見せるとは、これだからガキは嫌いなのだ。憎むなら憎み続けろ。許せない相手に隙を見せるな。お涙頂戴の状況や最後にはすべて分かり合って万事解決などという、テレビの中の都合のいい番組のような展開を足立は望んではいないのだ。
 いっそのことマガツイザナギを消し去った時のように、足立自身の身も真っ二つに切り裂いてとどめの刃を突き刺せばよかったのに。
「何? 残念ながらもう君と遊んであげられる体力はないよ」
「……足立さん」
「君の勝ち。それで充分だろ。本当、世の中つまんないよね」
「足立、さん」
「ほら、さっさと終わらせてくれる? 不愉快だからさ。こうやって君の顔見てるのも君に名前呼ばれるのも、嫌いだよ」
 そんな縋るようにな声を出されたって知らない。
 差しのべられてくる手が何を望んでいるのかわかっていても僕には関係ない。
 こんな時テレビなら予定調和の流れがあるんだろうけれども、生憎ここはテレビの中であってもテレビ番組の中じゃないから、そんな気に入らない展開を僕が受け入れてやる義理はない。
 この世の中はクソだ。
 だから僕はこんな世界なんて必要なかったし消えてしまえばいいと思った。
 今更この世界に受け入れられようとは思わないし、この世界に寄り添って生きていこうなんて殊勝な気持ちにもなれない。そんな資格もない。
「帰りましょう」
 それでも足立にそっと差しのべられてくる、手。
 罪を糾弾していたくせに、傷だらけの手は誰よりも足立を救いたがっているように見えた。まるでこうやって手を差し伸べるためにここまで来たのだと、余計な言葉を紡がない表情が雄弁に語っているように見えた。
 だがそれは足立の単なる都合のいい想像だ。本当にそうなのかもしれないけれど、確かめる気はないし、肯定されても信じる気もない。今更だ。今更そんな居心地がよく温かいものに手を伸ばす気はない。冷たく汚れたテレビの画面に触れた時から温かいものを掴むことなどできなくなっているのだ。
 誰が許しても自分が自分にそれを許せない。
 そんなものはいらない。
 くだらない最後のプライドが、本当はとっくに全てを受け入れてしまっているとわかっているのに、それでもなけなしの意地で踏みとどまっている。
 救いも許しもいらない。
 それを自分が望んでいればいるほど、手にしたくない。
 温かいとわかっている指先に触れるつもりなどない。
「何、それ。余裕?」
「……違います。俺は、足立さんを――」
「あのさぁ。何を言っても構わないけど、それに対して僕がどう答えるかも自由だってこと、ちゃんと理解してから言ってよね」
「……」
「それに、言わなくても答えは決まってるよ。……僕にはいらない。必要ない。でも好きにしたらいい」
 伸ばされた手を完全に無視してそれだけを口にする。
 連れて帰りたいなら勝手に抱えてでも連れて帰ればいい。
 殺したいならさっさとカタをつければいい。
 許せないなら許さなければいいし、許したいなら勝手に許せばいい。
 でも僕は何もしない。何も答えをやるつもりはない。望みを言う気もない。
 望まれるどんなものも与える気はないし、恐れているであろうどんな答えも返してやる気もない。希望を与えることも絶望を押し付けることもしてやらない。
「足立さん……一緒に――」
「言っただろ。連れて帰りたければそうしなよ。僕には抵抗できないしね」
「……」
「それとも何? 僕の懺悔でも聞きたいわけ? 生田目みたいに惨めったらしく泣き叫ぶのが聞きたいの?」
「そんなことは――」
「僕だって……最初は殺すつもりなんてなかった。でも気が付けば死んでいて取り返しがつかなくなったんだよ。だから僕は自分は悪くないと思い込んで、これをゲームだと思って楽しむことでしか自分を守れなかった。それしか方法がなかった。どうしてこんなことになったのか。でも今やっと解放された気がする。こんな僕でも君は許してくれるかい? ――って、そうやって憑き物が落ちたように泣いて苦しい心情を吐露すれば君は満足なのかな?」
 感情なく淡々と告げれば、どれだけ痛めつけても見せることのなかった苦しそうな表情で顔を歪める。
 手はずっと所在無げにさし延ばされたままだ。
 その手を掴むことなどないのだから諦めればいいのに、そうやって無駄だとわかっていながらも差し出し続けるのは別に優しさでも許しでも何でもない。彼自身は本気でそう思っていたとしても、足立にとっては彼が傷つかないための行動にしか過ぎないのだ。
 彼が何を思いどう行動しているかは足立にとって意味などない。足立にとっての真実は、どう感じてどう受け取るか、それだけのことなのだ。
 真実などそんなものだ。絶対的なものではない。見たいように見て、受け取りたいように受け取る。それが自分自身にとっての真実だ。
「ち、がいます。俺は、俺はただ、足立さんを――」
「いいよ。それでも。君が望むならね。勝者は君だ。勝者だけが望む未来を作れる。だから君は君の都合のいい答えを真実として選び取ればいい。それだけだ」
「足…立さんっ!」
「でも僕に何かを期待しないでくれ」
 僕という個人をどう定義付けようと、どう思おうと、どう理解しようと、構わない。どんなふうに扱っても別に否定する気はないし、それを拒絶する力なんてない。だから好きにすればいいのだ。
 でも僕も好きにする。それだけだ。
「…………足立、さん」
 崩れそうなほど脆い声が名前を呼ぶ。
 震えた指先がそっと足立に触れて抱きしめる。
 帰りましょうと呼びかけてくる。
 でもそんなものは全部僕にはどうでもいいし関係ない。
「好きにすればいいさ。世界は勝者のものだ」
 君はすべてを手に入れたのさ。おめでとう。
 感慨もなく呟いた言葉に、苦しげな嗚咽が重なったけれども、ただ静かに目を閉じて全てを自分の中から締め出した。


届かない番長の手。
希望も絶望も抱かずに虚無に帰る足立。
コミュ不足だとこんな結末もあったんじゃないかなーという妄想。

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