運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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終わりを探す終わり

繰り返しているうちに虚無と希望が入れ替わる、
そんな話がブログの長さに納まると思ってしまった時期が私にもありました。
という訳でそんな妄想の残骸です。
残骸だから色々と酷い。
書きたいところだけを書こうとしたら書きたいところを見失った。

ループした番長が虚無になってる話です。
まぁBAD前提?って感じで。
鬱っぽく引っ張っておきながら足主だったり。
なんか色々おかしな方向に進んでるのでなんでもOKな方だけどうぞ。
ただ期待するほど酷くもBADでもなかったりしますが。



 自分の中に暗い感情がせり上がってくるのがわかる。
 この暗くて重くて悲しくて痛いものは、幾度経験しても慣れることも弱まることもなく、そのつど心の中の一番柔らかくて温かいところを抉って深い傷を刻みつけていくのだ。傷はきっと時間と共に癒されるものなのだろうし、余裕のあったころは確かに痛みを忘れることもできた。だが今は突き刺さった痛みが癒える前に新しい痛みが上から刻み付けられて、薄れる間もなくただただ心を侵食する深い傷へと広がっていくだけだった。
 どれだけ慎重に積み重ねても、予期せぬことが丁寧に積み上げた貴重な世界をあっけなく崩してしまい、巡り合いたくない現実へと誘う。
 一刻も早くこの痛みを消し去りたい。
 痛みを押し付けてくるこの場所から逃れたい。
 苦しいこの時間から離れてしまいたい。
 頭の中に渦巻くのはそんな現実逃避した思いだけで、それで何が変わるわけではないと頭では理解しているのに、感情はそんな理性の製紙などあざ笑うように混乱していく。ただわかっているのは、自分はきっとまた間違いを犯してしまうということだけだ。わかっていながら、それでも一時の苦しさから逃れるように間違いとわかってる袋小路に足を踏み入れてしまう。
 嫌だとどれだけ拒絶しても、他の答えがあるはずだとどれだけ足掻いても、もしくはどうでもいいと放棄しようとしても、望む答えを用意していない世界は選べない選択肢だけを並び立ててどれかを選べと突きつけてくるのだ。
 できるだけ忠実に同じことを再現しても、全く違う道を歩んでも、たどり着くのはいつもこの場所。白い壁と床と天井に包まれて、おびただしい数の機械とコードが張り巡らされた、無機質な機械と目覚めぬ人間しか存在が許されていない空間。
 自分はその場所を外から感じることしか出いない。手を伸ばしたくとも立ち入りは許されておらず、声を掛けたくても届かず、何かをしたくても何もできない。重苦しい空気が壁越しにも漏れてきそうな集中治療室の外でじっとしているしかできない。静かなくせに耳の奥では鳴り止まない耳鳴りが煩く響き渡る。息がつまり、心臓をつかまれているような、息苦しい時間だけが存在している。
「……菜々子」
 呼びかけに答える声はもちろんない。
 辛うじて命が繋ぎ止められていることを示す定期的な光の動きが見えるだけ。
 そして煩く内側で動き続ける自分の心臓の音だけがこの空間の全てだった。どんな願いも思いもこの病室のに届くことはなく、ただただ無慈悲な現実だけがここに存在していて、回避できない結果を突き付けて無力さを知らしめてくるのだ。
 幾度この光景を目にすれば避けられるのだろうか。
 幾度この苦しみを味わえば自分は逃れられるのだろうか。
 幾度やり切れない思いで自分を責めれば違う未来に巡り合えるのだろうか。
 だがもちろんこの事態を回避できないのと同じように、ここから先に起こるであろう最悪の事態を回避する方法があることも自分はわかっている。まだ大切な者は自分の手から完全に失われてはいない。それは何度も繰り返したこの痛く苦しい時間の積み重ねから理解している。最善にたどり着けなくとも最悪を回避することはできるのだ。
「それでも許せないって思ってしまうのは俺が間違ってるからか。――いや、」
 わかっているからこそ歯止めのきかない想いが先走る。
 あの時感じた失う痛みも、突きつけられた事実の一端も、渦巻く怒りや憎しみも、全て仲間と一緒に受けたものだからまだ耐えられた。最後の一線で踏みとどまることができた。上手く感情を発露できない自分に代わって仲間が泣いてくれて、怒りを露わにしてくれて、やり切れなさを共有してくれて、憎しみを爆発させてくれたからこそ、自分の中の処理しきれない感情を何とか押しとどめることができた。
 だが今は違う。
 菜々子の回復だけを願って希望を託していられた時と、何が起こるかわかっている今とでは違う。今回もいつも通りなら目覚めるまでにはまだ二週間ほどある。そして一度目覚めた菜々子があの12月の3日に、目の前で心臓の動きを止める。
 反芻すれば、どくんっ、と心臓が壊れそうなほどの強さで打ち付けてくる。
 自分はまたあの耐え難い瞬間が訪れる日を一人カウントダウンしていかなければならない。あの時の絶望を思い出しながら、もう一度あの絶望を味わうまでの約一カ月を、一人この痛みと共に過ごさなければならない。誰もが希望を縋り付くように信じようとしている中で、あの痛みが訪れることを怯えながら待たなければならないのだ。
 わかっている。それは一瞬。
 間違えなければ菜々子はまた戻ってきて、大切なものは取り戻せる。
「でも……あと何回だ。あと、何回、繰り返せば終わる?」
 必死に悲しみと苦しみの中立ち止まり真犯人を追い詰めたのは、いったいいつのことだっただろうか。何も知らない中で苦しみながらも手に入れた答えは、いつ得たものだっただろうか。自分は確かに選択し答えを導きだし、そして掛け替えのないものを手に入れたはずだったのに。
 今はもうこの手にはない。
 大切なものを抱きしめて乗ったはずの電車が、再び八十稲葉の駅に着いたあの瞬間から、きっと自分は見失ってしまった。
 それでも最初はできるだけ被害を少なくするようにと、自分の知りうる限りで手を尽くし色々とやってきたつもりだ。最初の被害者がすり替わり仲間の遺体を見つけたこともあれば、誰も死ななかった代わりに仲間との思い出もなかった時もある。諦めてなぞるように同じことを繰り返した時もあれば、犯人を見つけ出すのを投げ出したこともある。
 けれど必ず同じなのは、自分があの電車で帰ることと、そして一人八十稲葉の駅に到着することだった。何度繰り返してもそれは決定事項で、どれだけ足掻こうともどれだけ放棄しようとも覆ることはなかった。
 ならば今ここで自分が選択する意味はどこにあるのだろうか。
 ため息を一つついて思考に終わりをつげ、踵を返した。
 向かう場所は決まっている。
 もう誰も待っていない暗い家に戻るつもりはない。今回は色々と疲れてしまった。終わりが来るのならば早い方がいいのだ。
 聞かなくても知っている特別室へと向かえば、記憶の通りそこで見張りをしていたのは見知った顔の一人の警官だった。今日この日、彼がここの警備当番だと知ったのは何回目の時だっただろうか。思えばそれがこの間違いの道への第一歩目だったのかもしれない。
「あれ? 悠くんどうしたのこんな夜中に。こっちは――」
「ええ、わかってます。わかっていますから、通してください」
「……あー、何処で知ったか知らないけど、ほら、それは拙いからさ。わかるでしょ?」
「わかってます。でも通してください」
 目の前の足立は人の良い顔に困った表情と気遣う表情と、そして知っていなければ見つけられないほど少しの面倒そうな表情を混ぜてこちらを見つめてくる。
「…………。今は彼も意識戻ってないから会ってもどうしようもないよ」
「いいんです。別に聞きたいことなんて今更もうありませんから」
「……今更? ……もう?」
「ええ、今更俺が知ってること以上のことを生田目が話すなんてことありませんし、だから意識が戻っていてもいなくてもどうでもいいんですよ。ただ会えればいい。すぐに済む話です」
「――――君、何をするつもりなの?」
 声の抑揚が少しだけ変わって、見つめてくる眼差しに警戒感が加わった。だがそれは不穏な高校生に対する警察官としてのものではなくて、もっと薄暗く本心を探るようなざらりとした感触だ。
 不快なはずの変化はだが今はそうは感じない。どちらかと言えば懐かしい気持ちにさせられる。彼が本性を見せるのは決まってこの時期で、悪意の潜んだ気配が肌に突き刺さるのを感じるとようやく今回の終わりが近づいてきたことを実感できるのだった。
「大丈夫ですよ。足立さんには何もしません」
 大丈夫ですよ今回はあなたを追い詰めたりはしません。
 そんな意味を込めて言えばますます警戒の色が強くなる。
「それに俺がしようとしてることは、足立さんが見たがっているものですよ、きっと」
「君、――何を知ってる?」
「そんな怖い顔しないでください。別に足立さんに危害は加えません。ただ生田目に会わせてくれるだけでいいんですよ。すぐに済みます。俺も余計な時間をかけるつもりはないので。ほんの数分ほどですよ」
「……」
「少し背中を押して終わりです。結果は数日後になるかもしれませんが」
 この答えを選ぶのならば別にあの日を待つ必要などない。
 あの日が来れば皆が悲しみ、やり切れない事実を知り、そして一時の過ちだとしても明確な殺意を抱く。あの時の花村の怒りや憤りは人としておかしなものではないはずだが、あの言葉で一番傷ついたのはきっと彼自身だから、できればせめてその痛みぐらいは未然で防いでやりたい。
 どうせ最悪の道を進むのだとしても、あの時皆で背負ってしまった罪を自分一人が背負うぐらいの違いは許されてもいいだろう。霧の中で別れる彼らの心を、ほんの少しでも軽くすることができるのならばそれでいい。今自分が選べるのは、望むのは、もうそれだけだ。
 正しい道を選ぶことに、今の自分は疲れてしまったから。
 病室の扉に手をかけたがそれを制止する声はなかった。
 一度振り向けば、足立は複雑そうな表用を浮かべたままじっとこちらを見ている。何かを言いたげで、だが言葉が見つからないといった戸惑った表情だ。裏の顔をのぞかせた表情でも、人の良い仮面の表情でもなく、その隙間の表情。
 この手の表情は見たことがないなと思った。
 繰り返すしかないこの世界の中でも新しい発見があるのかと思うと、少しだけ嬉しく思えた。あと三十分待てば足立が転寝をして、その間なら見つからずに中に入れるとわかっていたのだけれども、こうしてわざと起きている時間にここに来たかいがあるというものだ。
「もっと嬉しそうな表情をするのかと思いました」
「……」
「もしくは失望した表情をするのかと」
「君はどうしたいのさ」
「今は何も――。でも、そうですね……」
 もしこうやって新しい表情を見ることができるのならば。
 今まで交わしたことのない種類の会話を交わす可能性があるのならば。
 もしかしたら次は別の選択肢がどこかにあって、別の答えが見つかるのかもしれないと期待してしまいたくなる。望み通りでも望みと正反対でも、帰りの電車のいきつく先が同じ4月ではなくなると、もう一度信じてしまいたくなる。
「堂島さんにどやされながら吐いてた足立さんに、情けないですねって笑ってみたいです」
「――何それ。君っていい性格してるね」
「すみません」
「ちっともすまないって気持ちがこもってないよ」
 でもそうやってみれば何か変わるかもしれない。
 もう諦めるしかできなくなっていた自分が僅かに抱けた希望だ。
 久しく忘れていた感覚。
「ありがとうございます」
 そう呟いて、不機嫌そうな表情にもう一度すみませんと謝って、そして扉を開いた。

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