運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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11月の放課後

綾主っぽい綾時と主人公。
ただし友達ですよ友達。もしくは家族的な感覚。

二人に与えられた約一ヵ月の平穏。
非日常の日々を過ごしていたのにこの日常が終わることを考えなかった。
多くのことを望んだ訳ではないはずだったのに、
運命の選択肢は何かを失う道しか残してくれていなかった。


「――ねぇ」
 呼びかけてきた声に足も止めず無言のまま視線だけ向ければ、すぐ近くに接近してきた顔は何が嬉しかったのかにっこりと微笑んできたので、すぐに視線を逸らすことにした。
 酷いよと嘘臭い泣き真似をしながら追いすがってくるがどうでもいい。そんな表情を浮かべる時は特に何も用事がないことは、短い付き合いの中でも既に心得ている。基本的には放置しておくのが一番労力が少なくて済むのだ。
「ちょっとー、一緒に帰ろうって約束したのに置いて行くのは冷たくない?」
「約束はしてない」
「いったじゃないか」
「綾時が勝手に、だけど」
 ばっさりと切って捨てるも綾時は進行方向に回り込んできた。隙だらけの表情のくせに、無視して通り過ぎることの出来ないように位置どっているのは、感心してやるべきか無駄なところだけ頑張るなと呆れるべきか。実際はどちらも口にすることはなく、ただ溜息だけを履きだした。
 幸せが逃げちゃうよとまた微笑む綾時に、仕方なく顔を向けてどうでもいいと口に出して返した。だが綾時は一切気にした様子もなく、本当に君ってつれないねでもその辺りが女子に人気なのかなミステリアスな魅力で、などと更にくだらないことを笑顔で返してくる。
「でも、嫌だって言わなったよね?」
 あの笑顔が既に女子を口説いてるんだよなチクショー世の中って不公平だぜ、と何故か本人にではなくこちらに愚痴ってきた順平の言葉を思い出した。似た者同士だと思うけどと返した時の、順平の微妙な表情は忘れられない。似てるかもしれないけど一番肝心な部分が似てなくてオレっちは切なさ乱れ撃ちなんだよぉ、とがっくりと項垂れた肩はさすがに少し同情してやるべきかなと思ったものだ。
「何が?」
「僕が約束って言った時」
「……覚えてない」
「ふふふ。知ってるよ。君がそういう口調の時は、ちゃんとわかってる時だって」
「――どうでもいい」
「それって肯定の意味だよね」
 答えていないのに、君って案外わかりやすいのかなと一人納得したように頷いている。
 順平君と同じくらい素直だよねという評価は激しく否定したいところだったが、弾むような調子で言葉を途切らせない綾時の話に割り込むのは面倒以外の何ものでもなくて、そう、と肯定の意味も否定の意味もこもっていない言葉だけにしておいた。
「ほら、そんなところ」
「……」
 こんな不毛なやり取りをしている間にも、綾時は五人の女子に声を掛けられて、その内三人と放課後遊びに行く約束をして、一人とは明日の昼食の約束をして、もう一人の子は口説いていた。その間も笑顔は絶やさないし、すらすらと出てくる言葉は軽いけれども明るくて不快な感じはしない。
 転校してきてまだ一週間だが、知り合いになっていない女生徒はいないのではないかという勢いだ。ただ美鶴先輩まで口説こうとした時はさすがに焦ったが。
「ちょっと! 早歩きは止めてよー」
「早くない。話してるからだろ」
「――ねぇ君って女子相手にもそんな感じでしょ。歩くの早いって怒られたことない?」
「関係ない」
「やっぱりねぇ」
 何も言ってないのに納得した表情で頷いている。否定するのも面倒だ。
「でもわかってる。君って優しいからね、先に歩いていてもちゃんと相手のこと見てるんだよね」
「別に」
「今だって僕が皆に返事するまでは少しだけゆっくり歩いてくれてたでしょ? 終わったら早歩きになったけど」
 歩みを変えずに視線だけ向ければ、ありがとう、と笑いかけられた。
 本当にこいつのことはよくわからない。どうしてそんなに楽しそうに笑っているのか。どうしてそんなに嬉しそうにしているのか。どうしてそんなに興味深そうに全てを肯定しているのか。まるで生まれたての赤ん坊が目に移る全てに興味を引かれて手を伸ばしている、そんな光景を連想してしまう。
 だが何よりも不思議なのは、そんな綾時が何故執拗に自分に構うのかということだ。そして自分も何故無意識の内に綾時を受け入れてしまっているのか、ということだ。自分で言うのもなんだが人付き合いは得意な方ではないし愛想もいい方ではない。顔が広いと順平などに言われるが、それは一対一だからこそ成立しているだけで、綾時のように常に誰かに囲まれているような状況は苦手だ。
 それなのに綾時が常に周りにいるのは気にならない。嬉しいとか楽しいとかではなくて、まるですぐ隣にいるのが当たり前のような、自分の周りに空気が存在していることを普段意識していないのと同じぐらいの、そんなレベルで存在を受け入れてしまっている。アイギスが綾時さんはダメですと常に間に入ってくるが、その言葉で隣に綾時がいることに気づく、そんなことも少なくなかった。
「…………はぁ」
「僕の顔を見て溜息つくの止めてよぉ。傷つくじゃない」
「いつものことだろ」
「自覚あるんだ。まぁそれでも治す気がないってのが君らしい、のかな」
「どうでもいい」
「うん、そうだね。そんなことはどうでもいいね」
 ほら、まただ。
 よくわからないところで綾時は嬉しそうににっこり笑う。
 笑った顔を見たことがないと言われることの多い自分としては、今のどこに笑う要素があったのかどう考えてもわからない。そしてどうしてそんなに屈託なく笑えるのかわからない。君も笑ったら素敵だと思うよと、まるで女子相手に口説くような台詞を口にされても、何と答えるのが正解なのかわからない。
「わからない? うーんそう言われてもねぇ。正解なんかそれこそ――どうでもいい、だよ」
 だって今、楽しいじゃないか。
 君もそうだろ?
 当たり前のように続けられた言葉は、やはり自分にはどうにも理解し難いものだった。聞きなれなくて落ち着かない、だが不快なものではない、自分の記憶の中にないものだ。
「じゃぁ――それでいい」
 どうでもいい、と同じ調子でそう返した。
 その答えに不満を訴えられることはなく、じゃぁ早く帰ろう、といつの間にか自分よりも早足になっていた綾時に急かされて学園を後にした。


綾時と主人公が並んでるだけでほもになる不思議。
でもCPより家族以上って雰囲気の方が好きです。
誰よりも何よりも大切。でもなぜ大切かなんて説明できない。そんな関係。

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