運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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戦い

戦闘描写ってすごく好きです。
読んでる方にはつまらない&萌えの欠片もないのは承知していても、
やっぱりこれを書いている時が一番楽しいと思ってしまう。

そんな訳で、P3荒垣視点で。
本当にただタルタロスでの通常戦闘を書いてるだけ。
…のつもりがちょっと長引いて、しかも途中でブツ切り。
すみません。
あと、本館にペルソナジャンル追加しました…。


 
 それがもっとわかりやすいものだったら気にせずに済んだのだろう。
 例えばアキのように戦いを楽しんでいる動きだとか、伊織のように先走っての行動とか、天田のように弱さを隠そうとする故だとか、もしくはアイギスのように目的を遂行しようと計算しているだけだったならば、何も感じずにいたはずだ。
 自分がS.E.E.S.に戻って来たのは別の目的だったし、そもそも残された時間の少ない自分の身では、何かを抱え込むような資格も何もあったものではない。誰かのことを気にしたところで、自分の方こそどうなのだと、自分で笑うしかないような状況なのだ。
 だがそれでもこいつの行動だけはどうしても気になった。気負いもなければやる気もなさげな、それでいてやるべきことは過不足なく果たしている、影時間でのリーダーを務めるこいつから目が離せなかった。
 別段危なっかしいとか頼りがないとか、そういうものを感じたことはない。寧ろその反対で、体型的には細身で小柄な背中は弱々しく見えることもあるが、実際戦いの中で見せる動きは躊躇いも不安定さもなく、これ以上ないというほど的確な動きをする。鍛え上げられたアキの拳やアイギスの兵器としての攻撃ですら生ぬるく感じるような、鋭利で容赦のない結果を黙々と量産していくのだ。表情一つ変えず、気配一つ変えず、動き一つ滞らせず。
 そこには何の感情も感じられない。シャドウに対する殲滅の熱意も、何かを守ろうとする頑なさも、義務感も、正義感も、個人的な怒りや憎しみ苛立ち、もしくは気晴らしの類に類するものも一切見えてこないのだ。
 一番近い表現をするならただ決められた行動を正確になぞっているような、まるで機械がそうするようなただの繰り返し作業を見ているようなのだ。それにしたって、対シャドウ兵器であるアイギスの方が幾分人間臭さを有しているように見えた。
 強いことは疑いようもない。タルタロスの探索は4人での行動が基本だが、こと戦闘に至ってはほとんど一人で片づけているようなものだ。それも先制をとった最初の行動でほぼ戦闘は決していると言ってもいい。
 半年ほど前までは戦いどころか喧嘩すらしたことがなかったらしいというのに、初めて見るシャドウに対しても躊躇することなく先陣を切って剣で斬りかかる。そして一呼吸分の間さえも空けずに引き絞られる召喚器の引き金。弾が出ないことは重々承知しているが、それでもその動きは水鉄砲の引き金を引くよりも意味が込められていないように見た。体をやや反らせる動きだけが、かろうじて現実感との接点だったといってもいい。
 状況に応じて呼び出される数々のペルソナ。割って入る隙もない間に的確に弱点を突いて一気に戦局を決し、こちらに出す指示とすれば総攻撃の一つぐらいだ。荒垣が言うのもなんだが、いい意味でも悪い意味でもなく、常識からはみ出ているというのが正確な表現かもしれない。
 操る武器にしてもそうだ。何かこだわりがあるのかと、それを選んだのは一番慣れていたからかと何の気なしに訪ねたことがあるが、その時は何を聞かれているのかわからないといった様子で、年齢以上に幼く見える淡い色彩の瞳を僅かに見開いたまま首をかしげて見上げられたものだ。言葉が通じていないのかと思うような不思議そうな眼差し。十秒ほどそのままの姿勢で、随分古い細かな記憶を探るようにじっと思案して口に出した答えは、軽そうに感じたからなんじゃないでしょうか、だ。
 何故自分のことなのに、軽いと思ったから、ではなくて、軽いと思ったからなんじゃないでしょうか、という伝聞形になるのか。その後に続けられた、重いのは疲れると思ったんでしょうね、という台詞にも二度目の脱力を味わったものだ。その後何をどう思考した結果か、剣道は高校に入ってから始めたので関係ないですよと付け足されたのは、こいつなりの気を使った結果だったのかは今もって良くわからない。
 そんなくだらない思考の途中で、地面を蹴る靴音が僅かにテンポを変えた。気づいた次の瞬間には、皆がまだ何の気配も感じ取っていないタイミングで、荒垣の肩より少し高いだけの頭は無言のまま走りだす。
 制止の言葉を発するよりも早く、一人死角になった角へと身を滑らせると同時に、小さな後ろ姿は白く細い手でつかんだ長い剣を跳躍に合わせて振りぬいていた。遅れて姿を確認できた物陰にいたシャドウは、人の身の丈の倍ほどもあるというのに、そんなことに頓着した様子は一切ない。
「ちっ。先走り過ぎなんだよ、てめぇは――」
「追撃の準備お願いします」
「おい!」
 その前にまず迎撃態勢を整えて山岸の分析を待て、という台詞が音になることはなかった。
 右から左へと袈裟がけのように薙ぎ払った剣をその勢いのまま左手に持ち替えると、着地の瞬間にはホルスターから召喚器を抜き放ちこめかみに押し当てている。あぁこの戦いも終わったと、援護に回るべきだろうと考える思考とは裏腹に、幾度も経験してきた感覚がこの先の結果を予想した。
 標的を確認するように顔を上げてシャドウを見据える。長く前に流れた髪のせいでどんな表情を浮かべているのかは見えなかったが、僅かに見えた口角がやや持ち上がっているのだけは見えた。だがそれは興奮や高揚といった類のものではなく、もっと無機的なものを感じずにはいられない笑みだ。
 武器を手にしたまま動けなかった。いや、動く必要がないと理解していた。
 小さな体を押しつぶすように出現したペルソナが辺り一面に激しい雷撃を放つ。それだけでシャドウの巨体は倒れ込む。その後ろに別の種類のシャドウもいたが、注意を促す言葉よりも先に再び召喚器の引き金は引き絞られていて、先に出現したペルソナを掻き消すように現れた妖精のような女性型のペルソナが鋭い風を巻き起こして薙ぎ倒し、あとは総攻撃を掛けるだけというお膳立てはあっという間に完成された。
 皆で仲良く手分けして戦う、などと言うつもりはない。戦いは倒せば終わりだ。それが簡単に決着がつくならそれに越したことはない。なのに容易に勝利をお膳立てされる戦いは、奇妙な居心地の悪さと説明し難い不安だけが積み重ね上げられるようだった。
 決着はあっさりとつき周囲は再び静寂に包まれる。
 存分に体を動かせたことを喜ぶアキと、オレっちも役に立ってますよねと話しかけている伊織とを尻目に、立て続けにペルソナを召喚したにもかかわらず息すら乱していない背に視線をやる。静かに佇む姿はだが、超然とした強さよりも不気味な静けさに思えた。息が乱れていないのではなく、息をしていないのではないかと思うほどに。
 息苦しさを溜息で吐き出す前に、シャドウ反応の消滅を報告する山岸の声が響いた。そして影時間の終わりが近いという知らせと、倒したシャドウの向こう側にあった転送装置に後押しされるように、今日はこの辺りで切り上げましょうと、勝利の余韻も疲れも感じさせない声が探索の終了を告げた。
 いつもと変わらない終わりだった。


 エントランスに戻ってきて解散を告げられた後、やや躊躇いながらも荒垣は一人で帰ろうとする後ろ姿を呼び止めた。声をかけられることを予想していたのか相手は振り返ることもなく、歩きながらでいいですかと、用意していた台詞を読みあげるように淡々とした声を返してくる。
 無言のまま並んで歩きだす。
 横目で時計に目をやった。静寂に包まれていた時間は数分前に抜け出していたことを告げるように、時計の秒針は見慣れた一定の速度で動いている。今はもう影時間ではない。だというのに並んで歩いた瞬間に感じた感覚は、0時を過ぎて常識ならざる時間帯に引きずり込まれた時の感覚とよく似ていた。
 暫く動きだした街の中を二人で無言のまま歩いていると、淡い瞳は荒垣を一瞥し、やや間をおいてから静かに口を開いた。
「……――アルカナから弱点の予想はついていましたし、一人ならこちらの弱点を突かれることもないと判断したんです」
 話を切り出す前に先に答えが返ってきた。
 少し意外だった。もう少し人の考えや意志にはまったく配慮しないタイプだと思っていた。リーダーを務めているぐらいなのだから、仲間が考えていることを把握していてもおかしくないが、てっきりどうでもいいに類する言葉で返されると予想していたのだ。
 そう思ってしまうほどに戦闘での行動は周りを見ていない。まるで自分以外誰もいなくても困らないとでもいうように。とりあえず周りの存在は意識に入っているのかと、少し的外れながら安堵した。が、答えの内容そのものに関しては安堵する訳にはいかなかった。
「……それは、さっき先走り過ぎだって言った俺の言葉に対する答えだな」
「答えというか……。心配はいりませんという、事実です」
 本当に言葉に出した以上の意味はないという口調だった。
 確かにこいつの戦いぶりを見ていれば一人でも問題ないのだろう。総攻撃の追撃すら、なければ内で何とかしてしまいそうだ。寧ろ一人の方が足手まといがなくて戦いやすいのかもしれない。こいつ自身がそんなことを口にすることもなければ、気配として感じさせたこともないが。
「だが他のシャドウがいたり攻撃を避けられたりした時はどうする。てめぇ一人では対処しきれない可能性もあるだろうが」
「ええ、だから一人の方が都合がいいんですが?」
「……」
「一人なら皆に被害が及ばない」
「……」
「誰かが残っていれば全滅は防げますし」


続きはまた書きたい!
冷静に判断してるんだけど自分の安全の優先度が低いキタローと、
お節介だと思いつつも危うく感じて口を出す荒垣先輩って組み合わせ好きです。

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