運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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リアシャカ2

今日の日記は完全ジャンル外SSです。

サガシャカ好きによるリアシャカ(笑)不定期連載2話目。
前回の話はこちらへ→ 「月の雫1

続きは↓でどうぞ。



月の雫:2


「君は、蔑まされるようなことをしたのかね?」


それは問いかけというより確認に近く、確認というよりはただアイオリアの心に浮かんだものを声に出しただけに近かった。
蔑みが含まれていれば即座に拳なり言葉なりで返しただろうが、発せられた台詞がアイオリアの痛いところをつくものであったとしても悪意の欠片も混ざってはいなかったので、とっさに何を返すべきなのかわからなかった。

金の姿はただじっと佇み、瞳を伏せられた表情からは感情を読み取ることはできなかった。いや、感じ取れないというよりは元からそこにはないのかもしれない。
心臓を貫かれるような視線に―――瞳は開かれていないのだが確かに相手からは鋭い視線を感じていた―――アイオリアはその場から動くことができず相手を注視する。視線を逸らすことも瞬きすらできない力が辺りを支配しているようだった。


「おまえは―――」
「そうなのかね?」


誰だと問いかける言葉を遮るように再び言葉が重ねられた。

後ろめたいことなど何一つない身でありながら、アイオリアは押し潰されそうな息苦しさに囚われていた。相手はただそこに立っているだけでしかも瞳はずっと閉じられたままの状態にもかかわらず、その全てを見透かすような雰囲気が重く圧し掛かってくる。


「俺は、正義に背くことなど、一度としてしたことはない!」


声が大きくなったのは相手の言葉に対する反発と、最近の押さえつけられていた感情が爆発したものだった。静寂に包まれていた宮にアイオリアの声が反響して幾重にも重なり合って繰り返される。

アイオリアははっとして手を口にやった。
思わず叫んでしまったが初対面の相手に対して取るべき態度ではなかったと思ったが、一度発した言葉を取り消すことも今更な気がしてそのまま相手を見る。

だが相手は表情一つ姿勢一つ変えずじっとしている。それはアイオリアの言葉に恐縮して言葉を発しないのではなく、何事でもないように静かに受け止めているだけなのだ。怖れているわけでも気圧されているわけでも戸惑っているわけでもなく、最初からじっとそのまま何も崩さないまま。


「では、何を悩んでいる」
「………何のことだ」
「先ほどから君の小宇宙が乱れて安定していない」
「………………」
「あまりにも荒々しく乱れているものだからいったいどこの不届き者が侵入してきたのかと思ったほどだ」
「俺は黄金聖闘士、獅子座のアイオリアだ。不届き者と呼ばれる謂れはない」
「ふむ……確かに、な」


独白のようなその呟きと共に、アイオリアを包んでいた圧迫感が一瞬にして掻き消えた。その時になってようやく、息苦しさの正体が相手が発していた小宇宙によるものだとわかった。

それは不思議な小宇宙だった。今まで会った黄金聖闘士や他の聖闘士、それに教皇から感じる小宇宙とは違った独特の感触。敵を打ち滅ぼし己を突き進ませる力強い聖闘士の小宇宙とは違い、存在を感じさせないほど穏やかで動きのない小宇宙。それでいて全てを飲み込んでしまうほど大きな底の見えない威圧感を漂わせる小宇宙。

それはまるで大自然の前で無力を実感する人間にも似た感触だった。大きさゆえに全てを把握できないのだと無言で知らしめられているような気さえする。

自然、アイオリアは拳を握った。
そうしなければ無意識のうちに後退りしてしまいそうな自分に気づいてしまったのだ。気を抜けば飲み込まれる、そんな風にすら感じていた。

自分よりも小柄な相手に対して。


「確かに君から感じる小宇宙に悪の濁りは一切感じられない。人としては稀なほど一点の曇りもない正しき心で満たされている。だがそれならば何故、君の小宇宙はそれほどまでに迷っているのかね?」


僅かに小首をかしげる。
その仕草は実年齢に相応しいものだったのだが、彼から受ける存在感とは妙に一致しないアンバランスさを感じさせられた。

さらりと頬にかかった髪を気にした様子もなくアイオリアを真っ直ぐと見据える。もちろんその双眸は閉じられたままなのだが、アイオリアの姿が見えているかのように躊躇いなく向けられた顔が、実は見えているのではないかとさえ思わされる。


「兄を―――信じることも疑うこともできぬから、かね?」


静かに穿たれた言葉。

それはアイオリア自身が感じていて、けれどずっと心の奥へ追いやってきたものだった。深く深く埋め込んで、自分ですら存在を忘れようと必死に目を逸らしてきたこと、そのものだった。


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