運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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全てを許諾して、そして何一つ与えてはくれない

ヒュアスのえろ未満。
CP要素ですがR18要素に突入してません、的な感じのSS。

ただしらぶらぶじゃありません。
たぶんヒュ→→→アス。
絶望的なまでの一方通行。そして兄さんがわりと酷いです。

私の好みを完全に反映してしまうと、アスベル兄さんは酷いの一言に尽きます。
別に子どもの頃のガキ大将的な傍若無人の酷さではありません。
何でも言うことを聞いてくれるけど、何も主張してくれない。
意見は聞いてくれるけど、意見は言ってくれない。
与えてくれるけど求めてくれない、そんな酷さ。
なんだろう、皆を信じてるけどそれは皆のことを信じてるんじゃなくて、
もしダメでも裏切られても何があっても恨みはしな、的な信じ方だと美味しい。
信じてるんじゃなくて期待していないに近い。
でも信じてるって言ってくれる。それはみんなが信じて欲しがっているから。
そんなスタンスの兄さん。

意外とそんなとこあるんじゃないかと妄想してる。
大げさな表現だけど、アスベルさんの信じるは能力を信じたり理屈で信じたりではなくて、
その心を信じるってことで、成功率とかそういった次元の考慮をする気がないんじゃないか。
信じる=何があっても構わない、的な。
全部アスベルさんの中だけで完結してる。
そう考えると優し過ぎるが故に酷いなーとか思う。

という妄想の産物が続きのSSです。


 
 手を伸ばして。
 広がった袖からすらりと伸びている手首を掴む。貴婦人のようなと称してもいい、白い服に見劣りしない綺麗な白色の肌。だが華奢な作りではなく骨太で、それだけで戦う者の手だというのがわかる力強さが伝わってくる。
 引き寄せて振り向かせる。抵抗はない。不意のことで抵抗できないのではなくて、もともとヒューバートの行動に抵抗する気などないのだ。いや、抵抗しないでいてくれている、と言った方が正確かもしれない。
 流れるように向けられた空と菫の双眸は、ヒューバートが何を考えているのか全て了解しているかのように凪いでいた。やや手荒い行動に驚きも不満も見せることはなく、静かに問い掛けるような視線だ。昔と同じように近しい者への感情を込めて、けれども昔と違って全てを見通して受け入れるような深さで。
「どうしたんだ、ヒューバート」
「……兄さん」
 言葉に出しては答えず、体を叩きつけるようにして乱暴に壁に押し付けた。頭を打ったのかアスベルは僅かに顔を歪めたが、それでも抵抗する様子も抗議の言葉一つもなくて、ただじっと次の行動を待つように黙ってヒューバートを見つめている。優しい眼差し。それなのに心の奥がざわついて不安定になる。無言が酷く耳に煩く感じてしまう。
 動かないとわかっている体を無意味に抑えつけ、奪うように唇を重ねた。薄く柔らかい唇を吸い上げて甘噛みする。濡らすように舌を這わす。乱暴に。だが口内へと侵入しようとした時に促すように僅かに緩く開いた以外は、ヒューバートがどのように扱ってもじっとしていた。許可も拒絶も何も返してはくれない。
 唇から顎へ、頬へ、首筋へ、肩へ。痕をつけるように歯を立てる。しなやかな筋。無駄一つない理想的な筋肉。戦い守るためだけに構築されている不可侵の肉体。動いた後で体は汗ばんでいるはずなのに妙に甘く感じる。甘い体。背徳の甘さ。さらに強く噛みつけば微かに鉄の味が混ざったが、僅かに肌が鬱血したように染まっているだけでそれ以上流れ出てくるようなことはなかった。
「抵抗しないんですか」
「どんなふうに抵抗して欲しいんだ?」
「全力で。僕を殺すぐらいに」
 もし本当に全力で抵抗されたならば勝てるだろうか。
 ラントでの時は一度勝っている。その後の再戦では勝ちを譲ったが、修練の手合わせなどでは七割方ヒューバートの方が勝つ。状況を考えれば一方的に負けるとは言えないだろう。
 だが勝てるはずなどないと、わかっていた。もしアスベルが本気で剣を抜けば自分は勝てない。それは理屈とか分析とかそんなものではなくて、本能的にそう察することができるのだ。夜の次には朝が来ると、その確認するまでもない当たり前のことのように、ヒューバートの中では既定のことであり揺らぐことのない事実とも言えた。本気で抵抗されれば、本気で戦えば、自分は勝てない。
 そして同時にアスベルがヒューバートに対して本気で剣を向けることはないというのもわかっていた。恐らくここで双銃を抜き引き金を引いたとしても、その弾丸が心臓の鼓動を止めるその瞬間までアスベルが剣を抜くことはない。
「なぁヒューバート」
 涼やかな声が名を呼ぶ。薄い硝子グラスを爪弾いたように澄んでいる。
 不思議そうな表情のまま首が左へと傾く。ガーネットのような髪の隙間から白い耳の先が覗き見える。筋の浮いた首のラインに喉の渇きを覚えた。ヒューバートのつけた鬱血した歯型が妙になまめかしい。
 ごくりと喉を鳴らして唾液を嚥下する。
「どうしたいんだ?」
「兄さんは……いつもそう僕に聞きますね。兄さん自身はないんですか、どうしたいのか」
「うん? そうだな特にはない、かな」
「――ズルイですよ」
「そうか? でも俺がどうしたいのか言ったとしても、お前は自分の望みも行動も変えられないだろ? だったら最初からお前が決めればいいじゃないか」
 声は優しく。
 表情は微笑んで。
 くすぐる空気も包み込む温度も柔らかいのに、何故か一抹の居心地の悪さがそこには潜んでいた。決してアスベル自身が何かを含んでいるのではない。ただその向けられる無条件で無制限な許諾が、本能的な不安を掻き乱す。
 お前の好きにすればいい。その言葉を望んでいるのにその言葉がとても怖い。
「僕は……」
「なぁお前は俺が欲しいのか? それとも征服したいのか? それとも壊したいか? どれでもいいけど、決めてくれないと俺も対処のしようがないんだがな」
 くすりと、困った表情で苦笑する。
 口調は、昼食はオムライスかカレーか、そんなことを比較するよりももしかしたら軽いものだったかもしれない。カレーを推す時のアスベルの方が余程口調も意志も強いものが込められていたはずだ。
 兄が欲しい。優しく微笑み側にいてくれるのに決して自分からは触れてこないこの兄が欲しい。何もかもを許してくれるのに何も求めてこないこの兄が欲しい。刃を向け傷つけてもその矜持を砕いて嘲笑っても変わらず兄であり続けるアスベルが欲しい。
 だがそんな兄を征服もしたい。自ら膝を折ることのないこの兄を自分の前に跪かせたい。前だけ見据えている双眸を自分に向けさせて、真っ直ぐと伸びる背中を押し倒して、力強い腕を抑えつけて、漏らす事のない懇願をこの耳で聞きたい。力なく項垂れる首筋を見下ろし、抵抗を力づくで打ち砕いて奪いたい。
 そして兄の存在を壊してしまいたい。もう誰のものにもならないように、この手から逃げないように、兄が兄でなくなるように欠片まで砕いて汚して元の姿などわからないほどに凌辱したい。アスベルの存在がヒューバートの記憶の中意外には何処にもなくなるまでに、あらゆる方法で壊して消し去ってしまいたい。
 どれも本心でけれど十分ではない。
「難しいことを言わないでください」
「難しいか? 俺にはお前の考えていることの方が難しく思えるけどな。俺は俺自身のことは決められるが、お前のことはお前が決めるべきだろ」
 あぁ酷い。兄さんは相変わらず酷い。
 全ての選択肢をヒューバートに認めてくれて、全ての選択肢に予め了承を与えてくれて、でもだからこそどの選択肢の先にも言い訳も逃げ道も存在していない。
 望みなら自分の手で。その行動も結果も全て自分で選んで。ヒューバートの選んだものならば受け入れるという形は万全の信頼に似ていて、けれどきっと信頼などではないのだ。
 選んだものが何であっても、それが最悪の間違いを含んでいたとしても、ただアスベルはヒューバートを守る、そんな宣言。間違いかどうかは関係ない。それを諌めることも思いとどませることもしてはくれない。ただ望みの通り。
「兄さんの気持ちは教えてすらくれないんですね」
「おかしなことを言うんだな、ヒューバート。お前がそれを知っても、お前がどうしたいかは変わることがないんだろ。変えることなんてできないんだろ。だったら俺には、どうしてお前がそんなことを知りたがるのか不思議に思える」
 酷く甘くて、酷く厳しい。
 全てを許諾してくれているのに何も委ねてくれない。
 例え全てを受け取れ奪い壊せるとしても何も与えてはくれないのだ。
 見捨てることも裏切ることも決してないのだろうけれども、だからこそ余計に恐ろしい。自分の行動が、選択が、感情が、この兄の中でどういった評価を得ているのか、その答えは永遠に示されない。もし感情の全てで受け入れてくれていたとしても、もし拒絶されていたとしても、ヒューバートに示されることはない。
 永遠に離れることはないけれど永遠に届かない、まるで硝子越しに触れているような、一つになることなどない感覚。
 沸き起こった殺気に近い衝動のままに唇に噛みつき、膝を割り入れて体勢を崩し床へと押し倒す。毛足の長い執務室の絨毯が鈍く打ちつけた音も静かに飲み込む。明るいアスベルの髪の色が濃い赤色の絨毯の上で鮮やかだった。体には戦いで受けた多くの傷跡が刻まれているのに、見える部分は奇跡のように滑らかで、不作法にヒューバートがつけた鬱血以外は真っ白だ。
「――これでも、いいというんですか」
 足で体重をかけて動けないように圧し掛かり、胸元に手をかけて低く問い掛けた。
 一瞬訪れる静寂に混じって、窓の向こうではソフィが花壇を手入れする気配が、扉の向こうではいつも通りにメイドが立ち働く音が伝わってくる。誰が一体想像するだろうか。書類の積み上げられた執務室の中で、抵抗することのない領主を組み敷いている弟がいるなどということを。
「手に入れるだけじゃダメだってことか? お前は本当に面倒な性格だな」
「僕には兄さんの方が面倒で厄介ですよ」
「困ったな。――で、どうするんだ?」
 俺は抵抗すればいいのか?
 揶揄でもなくただ単純な疑問として問い質された言葉に絶望を感じながら、乱暴にアスベルの服を脱がしにかかった。
 指先に触れた肌は唯柔らかく、手荒な扱いにもただ身を委ねているだけだった。

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