運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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他愛のないことさえ貴方となら

何もかもが特別になる。
どんな素敵なことも貴方がいないと色褪せる。
これを依存だというのならそれでも構わない。
貴方以上に大切で必要なものなどこの世界のどこにもないのだから。

今回はTOVでユリレイ。
これで大体のCPは書いたかな。
一つでも少しでもお好みがあったのなら嬉しいです。
でもちょっと疲れた。
誰か私にも栄養下さい。枯渇気味。

続きのSSはひたすらに痒いユリレイだよ!
なんかもうきゃっきゃうふふなだけだ。
よろしければどうぞ。


 
 重なった指先が今更ながらに気恥ずかしかった。
 若い気娘でもないのだ。もう随分と年齢も経験も重ねてきたいいおっさんだというのに、日常でも普通にあるようなどうということのない接触だけで、どくどくと煩く鼓動が暴れ出す。偽物のくせにこんな時だけは本物以上にレイヴンの感情を過剰に反映してくるなど、反則もいいとろだ。
 静まれ。伝わるな。せめて顔には出ないでくれ。
 だがそんな願いも耳朶をわざと掠めるように吐き出された苦笑にかき消された。
「おっさん、案外可愛いよな」
「……こんなおっさんからかわないでよ」
「んなことしてねーし」
「嘘。青年、楽しんでるじゃない」
 向かい合わせの指先が触れる。人差し指の先だけ。
 そんなこと普通に生活していたら誰とだってある普通のことだ。物を受け渡す時に触れたり、ハイタッチに参加したり、人ごみの中で歩いていれば当たり前のように接触することもある。ユーリ相手だろうと、他の仲間だろうと、店の人間とだろうと。
 たったそれだけの何でもないこと。そう言い聞かせているのに。爪と爪を弾くように幾度も触れ合う指先。それがユーリのものだと思うだけで首筋から耳元が熱くなってくるような気がした。爪を弄びながら関節に確認するように指をなでて。少し爪を立てながら強く。存在を確認するように輪郭に沿って何度も。
「そうか? 俺も、結構緊張してるぜ?」
「そんな台詞は余裕の笑いをなくしてから言ってよね」
「笑ってねぇとおっさんの心臓の暴れっぷりが移りそうなんだよ」
 こつりと額がぶつかって、一気にユーリの顔が近くなる。
 少し力を入れれば鼻先が触れそうな距離だ。ユーリの長い髪が頬をくすぐるように垂れてきて揺れる。すぐ目の前で瞬きする睫毛の合わさる音さえ聞こえてきそうだ。じっと見つめてくる紫紺は夜の海を覗き込んでいるような底なしの深さを感じさせつつも、柔らかな毛布に包まれているような温かな優しさも感じさせる不思議な色合いだった。
 良く見ればいつもは余裕を浮かべている眼差しが僅かに伏せ目がちになっていて、レイヴンの視線に気づいて上げられた双眸には軽い苦笑が滲んでいて、あぁ本当に青年も緊張しているのだと思うと少しだけ心が軽くなった。
「……何、喜んでるんだよ」
「だって青年っぽくないからね」
「うっせーよ」
「怒らないでよ、嬉しいんだから」
 ぐりぐりと強く押し当てられた額に笑いながら抗議する。
 痛いけど温かい。
 これほど人と近い距離にいることはレイヴンにとってはもう記憶の中にはなかった。女性遍歴は数あれど人と触れ合うことに意味を見出したことなどなかったし、その後死人として生きていた時には触れているかどうかの感覚するなかったし、ドンと出会ってからも一定の距離を保ち続けるのはもはや癖のようなものだった。
 それなのにユーリとの距離は不快には感じない。例え口元からデザートの甘い匂いが微かに感じられたとしても、何だかくすぐったく思えるだけで嫌ではなかった。
 指先が手繰り寄せられて指と指が絡まる。握り込むように持ち上げられた手は指と指を交互に絡め手の平をぴったりと合わせるように掴まれた。ぎゅっと硬く繋ぎあわされた手と手。
「――なぁおっさん」
「なぁに青年」
「俺はこの手を離すつもりはねぇからな」
「青年の台詞ってばいつも男前ね」
「そしておっさんにも離させるつもりはねぇから」
「……」
 ぎゅっと握る手に力が込められて、視線が真っ直ぐとレイヴンを貫く。
 躊躇いつつもユーリと同じようにぎゅっと手を握りこめば、目の前の顔がふわりと笑った。
 それはいつもの皮肉を浮かべた笑みでも、訳知り顔な笑みでも、悪戯を仕掛ける時のようなものでもなくて、まるで子供が宝物を手に入れた時のようなに無邪気な笑みで、煩かった心臓がまた大きく跳ねた。
「おっさん聞こえるか?」
「な、何がよ」
「ほら」
 手がユーリの胸元へと導かれて、握ったまま甲を左胸へと押し当てられる。
「――俺も早いだろ」
 どくりどくりと伝わってくる振動。
 まるで激しい戦闘の後のように内側から打ち付けてくる音。
 笑えるほどに同じリズムで緊張を伝えてくる二つの鼓動。
「おかしいわね、二人して」
「まったくだな」
「でも……いいわね」
「ま、悪くはないんじゃねぇの」
 酒を飲めるようないい大人が二人してたかが手を繋いだだけで、互いの温もりを指先から感じただけで、子供がはじめて好きな子と手を繋いだ時のように心臓を高鳴らせているなど、本当にくだらなくて馬鹿馬鹿しくて情けなくて人には見せられない滑稽な姿だ。まったく何をしているんだと、他人事なら大笑いしているところだ。自分のことながら失笑してしまいそうなことだ。
 でも。
 すぐ近くの体温が、鼓動が、存在が、そんなくだらないことをとても大切な時間に変えてくれる。馬鹿馬鹿しいほどの、愚かしいほどの、幸せを実感させてくれる。
 鼻先を合わせて二人して同時に笑った。
 こんな呆れるほど小さな喜びを、呆れるほどたくさん積み上げていけたら、それはきっと世界中の皆に呆れられるほどの幸せになるのだろう。
 今なら、ユーリと共になら、そんなことを本気で信じられた。


自覚があるけどやたらと手を繋ぐのは私が手が好きだからです。
まぁおっさんと青年に関してはザーフィアスでの手繋ぎもありますけど!

手を繋いで、心を繋ぐ。
言葉がなくてもその温もりが何よりも雄弁に抱きしめてくれる。

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