運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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全てがここにあるから全てを失いたいと願う

あー、なんか癒しとか萌えとか足りない。
正直しんどいなぁと弱音ってみる。
誰か慰めてくれたらいいと思うよ!←

TOGでヒュアス。
たぶん、ヒュ→→|壊せない壁|←アス、な感じ。
まぁいつもの雰囲気SSですよ。


 
 冷たい室内の空気に息の詰まるような鋭さが混ざる。
 つい先ほどまでの慣れた空気とは違う、他者を排除するような圧迫感が胸元を抑えつけるように満たされてきて、伸ばしかけていた手を反射的に引いた。のみならず、もう片手は脇に置いていた双剣を素早く掴んでいた。
「――ほう。さすがと称賛してやるべきか」
 ゆるりと持ち上がった色違いの双眸が迷うことなくヒューバートを中心に捕らえる。
 乱れた褐色の前髪の向こうの瞳は今はもう見慣れた水色と紫であるのに妙に平坦で、感情を浮かべない口元はまるで拒絶の言葉を口に含んでいるかのようでもあった。半分伏せ目がちの眼差しは非難を含んでいるようにも見え、そして月明かりを受けた頬は病的なまでの白さを浮かべているように感じられた。
 何よりも氷のように動かない表情が冷たい刃でもって神経を逆なでしてくる。
「…………ラム、ダ」
 アスベルでありながらアスベルでない気配に苛立ちを隠さずに呟けば、形だけを真似たような感情の含まれない笑みが口元に浮かび上がった。
「随分とまた、無茶をしてくれたものだ」
 糸に引かれる人形のようにアスベルが――いや今はラムダがと言った方がいいのか――上半身を起こした。
 白いシーツが肩から滑り落ちて細身だが引き締まった肢体が目の前に晒される。真っ直ぐと伸ばされた背中は普段のアスベルと同じ姿勢を保っているのに何故か冷たい印象を覚えるのは、ラムダのまとう気配のせいかそれともヒューバート自身の悔恨のせいか。
 ラムダは腕を前に伸ばして付け根から指先までをじっと観察するように見ると、手を突いて体ごとヒューバートの方を振り返った。腰元に溜まっていたシーツが乱れてまだ少し色づいている太ももが隙間から見える。だがラムダはヒューバートの目にどう映っているのかをまったく頓着していない様子で、隠すものを何も纏っていない体のまま立膝をした上に肘を突き、ねめつけるような視線を送ってきた。
 アスベル本人では決して見せることのない視線。
 目眩がしそうなほどの妖艶さだが普段抱くような劣情は欠片もわいてこず、苛立ちと嫌悪だけが胸を占めた。手にしている双剣を勢いのままに心臓へと突き立てたいという衝動を、全身全霊を込めなければ押し止められないほどに。
「――何が言いたいのです」
「我にそれを言わせるのか? くだらぬ悔恨を抱くぐらいならば似合わぬ行動をせぬことだな」
「貴方には……関係ありません」
 じっと逸らすことなく自分を見つめてくる視線が苛立ちを掻き立ててくる。
 普段もアスベルは話す時にはじっと視線を合わせてきて、問い掛けてくるような眼差しがヒューバートは嫌いではなかった。年齢以上に幼く見える隙のある色合いは、子供の頃に知らないことを教えてくれとよく言ってきた時そのままで、隠されることのない透き通った瞳は自分だけが知る事の出来る特別なものだったのだ。
 だが今ヒューバートを映しているのは右の瞳はあの時と全く同じ色であるが左は身の内に抱えたものを嫌でも知らしめる紫に染まっていて、しかもその視線に宿るものも冷たく揶揄するような、アスベルから自分に決して向けられることのなかった種類のものだけだ。
 神経が軋む音が聞こえる気がした。
 自分の知るアスベルが隠されてしまっていることに対する苛立ちと、そしてそれ以上の苛立ちと。
「ふん……何もそのように焦らずともよかろう。我としては忠告などに耳を貸さぬこれがどのような愚行をしようとも、口を挟むつもりは基本的にないのだからな」
「ならば眠っていればいいでしょう」
「愚か者が邪魔をしてくれたものでな」
 自分の体を抱きしめるような格好で腕を組む姿。
 不遜な、そしてアスベルはお前のものではないといわれているようだ。
「……。貴様、いったいこれに何を望んでいる」
 軽く目を伏せて、少し首を傾げながらそっと上目遣いに向けられる眼差し。
 一連の流れが普段のアスベルの問いかけてくる仕草と同じで、飲み込んでいたはずの苛立ちが簡単に喫水線を超えた。手元の剣を最速の動きで二本に分けると、一本を喉元へと、もう一本を右目へと突きつける。
 切っ先が喉元の肌を僅かに凹ませ、睫毛を掠めるたが、ラムダは微動だにしなかった。
「兄さんを返して下さい」
「……返せ、か。面白いことを言う」
 押し当てていた切っ先が肌を傷つけ小さな赤い筋が零れたが、ラムダは全く意に介した様子はなく、ヒューバートも剣を引きはしなかった。確かにこの体は兄のものだと頭では理解していたが、ラムダとして目の前に存在している、その事実が全てを麻痺させていた。
 力がこもった刃が傷を広げる。
「こやつはなかなかに意志が強くて頑なだ」
「そんなことは貴方に言われるまでもなく良く知ってます」
「我が何を忠告しても聞く気はない愚か者だ。それに眠っている時も気を失った時でも、我に意識を明け渡す事など一度もなかった……今まではな」
「……」
「そう今までは、な」
 繰り返した言葉には明らかに嘲笑が込められていた。
 震えた切っ先が瞼を掠め薄い線が浮かび上がる。
「何故に貴様は我の色が浮かぶ右目ではなく、この者の色のままである左に刃を突きつける? なかなかに業が深いものだ」
「! ――」
 立ち上がったラムダに気圧されるように身を離した拍子に手元から双剣が滑り落ちた。
 鋭い刃は毛足の長い絨毯の上に音もなく突き刺さる。
「この男は貴様の全てを受け入れているというのにまだ何かを望むか。それとも……」
 一糸まとわぬ姿が目の前に晒される。
 抱きほどまでヒューバートが組み敷いていた体にはまだ熱の名残で色づいており、ところどころに鬱血した部分も見て取れた。だが不遜な表情を浮かべて見据えてくる眼差しには色香の欠片もなく、そのくせ非難するでもなく、ただ憐れみの成分を散らしているだけだった。
「それほどまでに拒まれることを望む、か」
 人でない身でいったい何がわかるというのか。
 そう出かかった言葉は静かな呟きに全て掻き消された。
「この男は愚かだ。貴様が何を望もうとも貴様を受け入れ続ける。この身をすり減らし全てを失うその瞬間まで、露ほども変わらず躊躇わずに同じ態度を取り続けるだろう。……その程度のことは貴様にもわかっていることだろうがな」
「それが……どうしたというのです」
 苛立ちのままに壁へと突き飛ばし、両腕で動きを遮るように閉じ込めた。
 背中を打ちつけてやや顔を歪めたものの、表情を変えない双眸はゆっくりとヒューバートを見つめてくる。
「別に。我はこの器が生きていればどうなろうと構いはしない。これが――そう望んでいるのだからな」
 人間とは愚かで理解しかねるなと、付け足すように呟かれた言葉には妙に険がなくて、反論の言葉は形にならずに胸の奥へと滑り落ちていった。物言いたげな一瞥を投げつけると、緩く瞼を下ろす。その表情は確かに良く知っているアスベルのもので、けれどアスベルの気配ではなくて、それなのにアスベルの心情が滲み出て来ているように感じられて、思わず伸ばしそうになった手を握り込んでとどめる。
「――そんな言葉で僕の優位に立ったつもりですか」
 今更言われるまでもない。アスベルがヒューバートの全てを受け入れていることなどわかっている。例え剣を突きつけたとしても、ラムダが微動だにしなかったようにアスベルもその切っ先を避けることなどしないだろう。その刃で貫いたとしても、抵抗することなく受け入れるだろう。
 だからこそ、自分に向けられてくるものの何が真実なのかわからなくなる。柔らかい笑みも、気安い態度も、困ったような表情も、構わないさと優しく呟く言葉も、いつも同じであるからこそ何処に真実が含まれているのかがわからなくなる。その全てが偽りのものではないかと疑ってしまう。
 わかっている。この兄は受け入れる以外に術を知らないのだ。不器用過ぎて他人の痛みには敏感なくせに自分の痛みには最後まで気づかないだけなのだ。わかっているが、向けられる優しさの中にどれだけアスベル本来の気持ちが存在しているのか、それがわからなくなってしまう。
「何が言いたいんです」
「……」
「自分の方がよくわかっている、とでも言いたいのですか」
「……そう、言えたらいいんだけどな」
「!」
 思わず強くなった口調に返ってきたのは先ほどとは全く違った気配の声で。
 困ったように曖昧な笑みを口元に浮かべながら瞼を上げた表情にはラムダの気配は既になかった。
「兄さ――」
「ごめんな」
 後退りしかかった体は手首を掴まれて逆に引き寄せられた。
 とんっ、と胸元にアスベルの額が押し当てられる。それに呼応するように心臓がとくりと跳ねる。つい先ほどまで散々肌を合わせていたというのに、ヒューバートからではなくアスベルから触れてきたというその事実だけで、見苦しいまでに鼓動が煩く騒ぎ立てた。
「お前を守ってやれるほど、強くなくて」
「僕は、そんなこと――」
「俺はいつもお前を不安にさせているんだな」
「……どこまで聞いていたんですか」
「さぁ? 気が付いたら目の前にお前が立っていた、じゃダメなのか」
 試すように微笑む表情はラムダが見せるものに似ていて、だが紛れもないアスベルのもので。先ほど感じたものと真逆の感覚にずくりと胸が痛んだ。
「お前はそれでいいさ」
 見透かしたように呟かれたが、俯いたままに発せられたためにどんな表情で呟かれたものかはヒューバートにはわからなかった。


盛大にとっ散らかって収拾がつかなかった。涙目。

自分を拒絶しない兄からの「拒絶」すらも欲しいと望む弟。
弟の行為をすべて受け入れ、望みも知っていながらもそれを与えない兄。
不毛な関係だと断じながらも見守るラムダ。
になる予定でした。まる。

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