運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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こうしていつもと変わらぬ温もりを

他CPやジャンルを書いていて思うのはレイユリの書きやすさは異常だということ。
まぁ一番多く書いたCPってのもあるんだろうけど、
二人の関係が理想っていうかツボそのものだから悩むところが少ない。

そんなわけで、甘めなTOVのレイユリ。
なんかもう二人とも勝手にイチャイチャしてろよ!ってことで。


 
 ベッドに並んで腰をかけて。
 服越しにも伝わってくるぴたりと触れあった肩と二の腕の温もりに少し微笑めば、何がおかしいんだよと不機嫌そうな声が隣から聞こえた。別に大したことじゃないのよと笑いをおさめずに答えたが、いつもなら続く反論の言葉があるところだったが、今日のところは何も返って来ずに肩にかかる重みが少しだけ増した。
 あぁこれが生きているということで、これが生きていく理由なのだなと、目の前でゆらゆらと揺れながら仄かな明かりを発している蝋燭のオレンジ色の炎を見つめながら、何度目になるかわからない実感を抱く。
「……少し寒いわね」
「寒の戻りだっけ、そんなことを女将さんが言ってたな。ま、一週間もすれば温かくなるんじゃねぇの」
「青年がいたら寒いのも、そんなに悪くないかなぁって思えるけどね」
「ははっ。その言葉後悔するぜ、おっさん。下町の冬はまじで寒いからな」
「そして夜は暗い、ね」
「――あぁ」
 小さく笑ってユーリは目の前の蝋燭の明かりを吹き消した。
 そうすれば部屋の中はまるで星明かりも届かない夜の森のような暗さに包まれる。ほとんどの魔導器が機能しなくなった今、夜を昼へと変えていた魔導器による大きな明かりはなかった。夜を照らすのは蝋燭かもしくはランプの明かりだけだ。空を覆うように帝都上空で輝いていた結界魔導器の明かりも今はない。
 今も外は細い弓月の明かりが見えるがそれも僅かで、寝静まった下町には明かり一つ見えない。もっとも今になっての特別なのではなく、朝が早い仕事が多いから用事がなければ早く寝る連中が多いのだけなのだと、笑いながらユーリが教えてくれた。騒ぎたい宵っ張りの連中は大通りに集まって飲み明かすのが常らしい。
 現に明かりのない下町の景色は、暗いけれども鬱屈とした気配はなく、次の一日の始まりの為に力を溜めているような、そんな生命力さえ感じられる。夜中でも不要なほどの蝋燭やランプの明かりで飾り立ててながらも、魔導器の明かりと共に生気まで失ってしまったように静まり返っている貴族街とはまるで正反対だ。
 シーツの上を這わすようにして手をユーリに重ねる。振り払われはしなかった。
 上から包み込むように、指と指が交互になるようにぎゅっと握り込む。冷たい指ねと笑えば、おっさんの指も冷たいぜと、同じように笑って返された。暫くそうしていれば指先は温かくなってきて、温かいわねと呟けば、あぁそうだなと短く返ってきた。なんだかくだらない言葉のやり取りが妙にくすぐったい。
「ねぇ青年」
「ん?」
「おっさんさ、何だか幸せだなぁって思うの。――っていったら笑う?」
「そうだな、目標が低過ぎて笑えるな。……でも、」
 手は繋がったままユーリが振り向く。
 僅かに沈み込んだベッド。僅かにユーリの方へと傾いた体。先ほどよりも少し強く押し合う肩。さらりと流れてくる黒髪。近くなった息遣い。暗がりのなかではっきりと見えないけれど、それでも紫紺の瞳が真っ直ぐとレイヴンを捕らえているのがわかる気配。
「そういうのって、嫌いじゃないぜ」
「……青年、今日はいつになく優しくない?」
「そうか? 自分じゃわからねぇけど……あぁでもそう、かもな」
 ふわりと笑った気配に、どうして今明かりがないのかと、明るければ珍しいその表情を目に焼き付けることができたのにと残念に思った。だが今、部屋を照らす明かりがついていて互いの顔を確認できる状況ならば、この素直に感情を示してくれないユーリはきっと笑ってはくれなかっただろう。いつもみたいに皮肉交じりの笑みを――それはそれでとても魅惑的でレイヴンは好きなのだが――浮かべるだけだったに違いない。
 見えないからこそ見せてくれた表情なのだ。それはとてもユーリらしくて、そして愛しい。
 手探りでユーリの頬をそっと手の平で包む。いつもはすぐに振り払われる手も今日は許されている。
 近づいてそっと唇を重ねる。温かな感触はいつもと同じで、けれどいつも以上に心の中を温めてくれるようで、とても陳腐でくだらない感傷の賜物なのだろうと思うのだけれども、これでなかなか悪くないと思えるのだから、自分も随分と人間らしくなったものだ。
 彼に。ユーリに。触れていれば自分は人間として生きていられる。
 ここには多くのものはないけれども、自分にとって必要なものがある。
「もっと幸せ、味わってみるか?」
「そうね。明かりがないから手探り状態だけど」
「それこそいつもと変わんねぇじゃねぇか」
 くすくすと耳朶を揺さぶる吐息を感じながら、温かな肩に手をかけてそっと冷たいシーツへと倒れ込んだ。

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