運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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まだ、触れられる

ふとジェイルク。
想いが通じ合うほどに切ないCPだなーといつも思う。

言葉にしない想いが伝わっている。
嬉しい気持ちが伝わっている。
受け入れられている空気が伝わってくる。
あと少しの時間が、幸せの濃度を上げていくようで、
嬉しくて、やはり少し哀しい。


 
 軽くステップして水たまりを避けずにそのまま着地する。
 ぴちゃり、と音がして水しぶきが跳ねた。服の裾が泥水で少し汚れたが気にせずに次の水たまりへと体を踊らす。軽やかな水の音。日の光でキラキラと輝く水しぶき。
 手を伸ばせば指先に冷たいしぶき。冬の寒さの中ではぴりっとした痺れにも似た感覚で、けれどそれはとても新鮮な感触で、楽しくなって舞い散る粒の中から大きな水滴を探し出して追いかけた。
「汚れますよ」
「うん」
 最初から注意する気のあまりない言葉に返事をしながらも、次々に大小の水たまりの中へと足を踏み込んでいく。自分の動きに合わせて起こる、跳ねる音と水しぶきが雨上がりの道。そして肌に当たって広がる芯まで伝わってくる冷たさ。
 そういえば初めて外に出た時は靴や服が汚れるのが嫌で文句を言っていたなと、自分のことながら思い出しておかしくなる。
 あの時は何もかもが不快だった。屋敷での変わらぬ時間も、真綿で包むような穏やかで息苦しい生活も、道のことが溢れている世界も、自分の望み通りの行動をしない人々も、自分が思った通りにならない状況も、全てが自分を否定しているかのように感じていた。もちろん、今でも自分が世界からもろ手を挙げて受け入れられているとは思えないが、それでも、
「うわぁっ! 冷てぇ」
「ルーク。自分が汚れる分には構いませんが、私まで巻き込むのは止めて下さい」
「ちょっとぐらいいいだろ」
「わざわざ汚れようとする気持ちなど知りたくありませんので」
「ケチー」
 そういう問題ではありませんと、眼鏡を少し上げながら淡々と答えるジェイドだが、先ほどからルークとの距離は一定を保たれたままで、離れる気もなければ特にそれ以上の注意もされなかった。
 その間も次々に水溜りを移動していき、水しぶきを上げてはその冷たさに触れた。
「よく飽きませんね」
「だって毎回違うし」
「?」
「水しぶきの形も冷たさも、全部違うだろ」
「……それが?」
 そこにいったい何の意味があるのだと理解できない表情を見せるジェイドに、ルークは俺には意味があるんだよと小さく笑うだけでそれ以上の説明は口にしなかった。伝わるように説明できる自信がなかった。
 ただ毎回違うものが貴重だと、自分で感じられるものが貴重だと、そう思えるだけだ。するりと手の平から全てが零れていく感覚の中で、手を伸ばせば自分の手の中に捕らえられる、この一瞬一瞬が不思議に思えるほどに貴重なものだと感じていただけだ。
 冷たい感覚が、手の平に広がる。が、
「風邪をひきますよ」
 伸ばした手を不意に掴んだ、ジェイドの手。
 折り目の正しい手袋にルークの手に付いた泥水が広がり染みが出来るのと、驚いて振り向いたルークの顔とを、感情の動きを追いにくい赤い瞳がじっと見つめていた。
「ジェ――」
「もう戻りますよ」
「……。うん」
 短い言葉は。けれど手袋越しに伝わってくる体温の存在を否定しているものではなかった。ただ普通に手を掴まれているだけのはずなのに、妙にくすぐったく感じてしまう。
 子供のおもりなどごめんですと、いつかジェイドが口にした言葉が何故か浮かんで消えた。
 前へと踏み出そうとしていた足を水のない地面に下ろしてありがとうと笑うと、ジェイドはいぶかしげに眼を眇めたが、特に何も言わずに手を離してルークの三歩前をゆっくりとした歩調で歩き出した。

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