運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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とくに、

これといったSSSではないんですが。
まぁリハビリです。
文字を書くリハビリ中。


 
 一番最初に声を聞いた時には胡散臭いと思い、話を少し聞くだけでそれは確定になり、実際に顔を見た時には揺るぎない評価となった。
 このおっさんは胡散臭い。
 そもそもこの手の感覚には対して根拠などなくて、それゆえに本当のところは違った、などという状況を期待してしまいがちだが、残念ながら最初の印象というのは驚くぐらいに的確な場合が多い。余計な情報が入っていない分評価は公平で、かつ期待などといったものも無用のものも含めることがないので、概ねそれに従うのが筋というものだ。
 その点ではこのおっさんは一緒には行動したくないと思う条件を驚くほど多く満たしていたし、出来れば一生お目にかからなくてもいいと思うほどに記憶から追い出したい要素として捕らえていた。
 だがそこはそれ。不公平でいじわる好きの女神様というものは世の中の何処にでもはびこっているもので、ほんの些細でかつ実現させることもさして難しくないと思う願いをあっさりと打ち砕いてくれるものなのだ。そんなことは承知していたはずだが、やはり若葉色の眼差しと目があってにっこりとほほ笑まれてしまったら、落胆の色を隠さない溜息の一つや二つ付きたくなるというのが普通だろう。それも一や二度ならまだしも、三度目があるとなるとなおさらだ。
 ちなみにこの場合、地下牢に何度も放り込まれてかつお尋ねものの手配書があるような身を普通と呼ぶのかということに関しての議論は、保留としておくのはいうまでもないことだ。
「おっさん役に立つでしょ?」
 地下牢での話が嘘臭ければ森林浴などという理由はさらに嘘臭すぎて、いっそのこと嘘臭さが一周回ってもうどうでもいいような気分にさせられるほどのレベルだ。これでこの森の異常がとか、ユーリたちを見つけて追いかけて来たのだとか、それっぽいことを言われた方が違和感を抱いたことだろう。
「十分強いんだから一人で散歩でも何でもしてたらいいんじゃねぇの」
「ええー。危険だから一人じゃ危ない、とか思わないの?」
「小汚いおっさんが森の中で野たれ死のうと俺には関係ねぇし心配してやる義理もねぇしな」
「青年ひどーい。地下牢から助けてあげたのに」
「それはラゴウの館でオトリにしたことで十分チャラになってるだろ」
 カチッと小さな音を立てて弓がコンパクトに折り畳まれるのを見ながら答える。
 手は武器を持ち慣れている無骨な男のものだったが、その指先の滑らかな動きは何処か優雅ささえ含まれているようで、このおっさんの小汚い容貌と嘘臭い表情とだらしのない動きからは全く似つかわしくないのだが、何処となく帝都に居る貴族連中の動きを思い出させる成分を感じた。
 だが同時に、やはり貴族などではあり得ないとも思うのだ。嘘臭さと胡散臭さは一級品で出来れば一緒に居たくないと思わせられるが、それは貴族連中にたいして抱く鼻持ちならない空気とはまた違っていて、どちらかといえば反発しあうような成分なのだ。
「――おっさん」
「ほいほい?」
「おっさんは帝都に住んでたことあるか?」
「……」
 猫背ぎみの背が立ち止まって、体ごとユーリの方を振り向いた。
 ぴりりっ、と何かが肌を叩く。
 空気が震えたような気がして喉の奥が渇く。
 左手が剣の下げ緒を強く掴んでいた。意識せずに体は危険なものを感じて警戒態勢に入ろうとする。が、その空気は一瞬後には霧散してしまった。
「とうとうダンディなおっさんに興味がわいてきた?」
「ダンディなんて言葉で表現されるおっさんは、俺の視界の範囲には一人も見当たらねぇな」
「あ、おっさんじゃなくてお兄さんかもよ?」
「だったらもっといねぇよ」
 誤魔化しているのを感じながらも追及するのも面倒で溜息と共に会話を打ち切ろうとしたが、レイヴンの方が放しの軌道を戻した。
「何でそう思ったの?」
「別に」
「ふーん、」
 と興味なさげに呟いて見せるが、口元を覆い隠す手が不自然に指を見せつけるような動きをしていて、何も言っていないのに気づいているのがわかった。まったく食えないおっさんだ。そして気に入らないおっさんだ。わかっているのだと示してくる癖に、ユーリの問いに対する答えは口にしようとしない。
 だがまぁいい。
 気に入らないし嘘臭くて胡散臭いのも今更だ。
 それに運命の女神様は大層意地が悪く出来ているのだから、きっとこのおっさんとも今回限りということはないだろう。ならば疑問はその時まで放っておいても問題ないはずだ。
「……とりあえずおっさん、気が短い方だからよろしく」
「とりあえず、の文脈が繋がらないんだけど? ってか剣に視線向けながらその言葉は怖いって!」
「仕方ねぇだろ。怖いままの意味を込めてんだから」
「はぁ?、もう少し年寄りを大切にしましょうよ」
 運命の女神様がもう少し気立てが良くなったら、それも考えてやってもいいかもしれないが、恐らくそんな日は一生来ることはないだろう。

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