運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | TOP↑

≫ EDIT

原稿中で、す

この時期に原稿中って言うと夏コミ合わせっぽいけど、
それより一ヶ月先のレイユリオンリー合わせです、すみません。
ギリギリ原稿は身がもたないので前倒し必須。
でも全部前倒ししてたらずっと締め切り前という…アレ?

前回の話にコメありがとうでした!
苦手な方もいるので自重してますがあの手の話、大好きです。
賛同して下さってとっても嬉しかった!


で、今回はレイユリ。
ユリレイっぽいけどレイユリ。レイユリだよ!


「青年」
 短く呼びかける声がする。
 切迫したような縋りつくような声。言い方を変えるなら今にも泣き出しそうな声と言うべきか。まったく、いい年をした大人が漏らす様な声音じゃないだろうと思いつつ、深くに沈んでいる意識をゆっくりと引き上げる。
「ねぇ、青年」
 再びの声と共にやや乱暴な手つきで体を揺すられた。
 そんなに急かされても、深い眠りに落ちていた体がそう簡単に目覚めるはずもないだろうと呆れつつ、泣きそうに揺れている空気の振動が伝わってきて、まだ重い瞼を無理やりに押し上げる。覚醒していない視界が霧に包まれたように薄ぼんやりとした天井を映し、次いでユーリを覗きこむようにしている薄若葉色の瞳の存在を映しだした。
 綺麗な色合いの瞳は薄暗い室内で震える様に歪められていて、情けないことこの上ない表情を作り出している。
「どう、したんだよ――おっさん」
 手を伸ばして目尻に指を這わせば、生温かな雫が指を濡らした。
 また泣いているのか。
 呆れた気分を抱きつつも漏れたのは苦笑にならない笑みで、そのまま手の平で頬を包むように撫でて、レイヴンの頭を自分の胸元に引き寄せる。
 こつんと額が添えられ体重と体温が預けられた。
「このまま、起きないかって……」
「夜は寝るもんだろ。朝が来れば起きるっての」
「だってまたいなくなったら。見つからなかったら……」
「ちゃんとザウデからも戻ってきただろ? ってかさ、一旦いなくなったのはおっさんの方が先だぜ。バクティオンで。だからお相子だろ」
「でも……だって……。青年がいなくなったら、」
「ここにいるよ。おっさんの隣に」
 本当に何を子供じみたことを言っているのか。
 昼間に動いている時はいつも通り何も変わったことがないのに、少しお酒が入るといつもこうだ。別に多少のことは構いはしないのだが、毎度毎度こうなることがわかっていて夜中に酒場に行っては、ユーリが寝入った頃に戻ってきてこうして起こすのは勘弁して欲しいものだ。
 せめてもう少し早い時間ならばユーリも起きているし、一緒に酒場まで付いていくことも出来るというのに。
「――だって、寝てる青年の顔、好きなんだもん」
 寝顔を見たいから一人で時間を潰して、ユーリが寝入った頃に帰ってくるのだという。まったくどういう理屈だ。それならせめて酒を飲まずに過ごせないのかと言ってみたが、酒場以外で時間を潰す場所など心当たりがないというから困る。
 そもそも部屋にレイヴンがいても眠ければユーリは寝るし、本当なら部屋を空ける必要などない。だがそれでは、一人で置いていかれるようで嫌だというのだから、本当にこのおっさんの判断基準は理解し難いものがある。
「寝てるってわかってるなら起こすなよ。好きなら別に見ててもかまわねぇし」
「でもでも、寝てるのを見てたら目覚めないんじゃないかって……」
「勝手なおっさんだなぁ」
 何だよその、子供がこねる駄々よりも子供っぽい、理由になってない理由は。
 いい大人のくせに。皆の前では飄々とした態度を崩さないくせに。
 夜になって人の寝顔を見たら不安になるとか、本当に面倒で困ったおっさんだ。
 そしてそんなおっさんを、見捨てることも出来ない自分にも困ったものだ。
 腕の中に抱きとめているレイヴンはユーリの胸元に顔をすりつけている。何をしているんだと問えば、生きている体温を感じているのだとか、動いている本物の心音を聞いているのだとか、この匂いが落ち着くのだとか、そんなくだらなくて馬鹿馬鹿しくてけれど無碍に出来ない答えが返ってくるのだ。
 振り払うのも面倒でそのままにさせておいたら胸元が湿ってくるのがわかって、隠そうともしない嗚咽や鼻をすする音が聞こえてくるものだから、小汚いおっさんだなと思いつつも頭をゆっくりと撫でてやる。後ろで束ねられた髪が邪魔だから、頭頂部辺りをぐるぐると撫でるような格好だ。
「いなく、なら、ないで。青年」
「んなこと一言も言ってねぇだろ」
「おっさん、を、置いて、いかないで」
「嫌だって言ってもつれて行くさ」
「一人に……しないで」
「わかってるよ」
 縋りつく手。預けられる体。請うてくる声。
 けれどそれはユーリを通してユーリではない誰かに、ここではないどこかに向けて発せられているのではないかと、薄々感づいていた。
 なぜなら普段、好きだの愛してるだの言う時は嫌になるほど顔を覗きこんでくるくせに、一人にしないでと縋りついてくる時は決して顔を見ようとしない。
 ユーリ自身ではなく、ユーリの体温を求めてきているだけだ。ユーリの体温から連想される他の何かを探しているだけだ。ユーリを通して別の何かを欲しているだけだ。そしてユーリの言葉も何も受け取らず、ただ懺悔するように自分の言葉を繰り返すだけなのだ。
「おっさんを、一人にしないさ」
 あぁ自分も相当馬鹿だな。
 届かない言葉を投げかけ続けながら、伝わらない想いを自分の中でそっと飲み込んだ。


まぁ今回もおっさん泣かせたよね。某Kさんの影響だよね。
泣き虫おっさんが定着しそうで困ったものです。
でもぴいぴい泣くのはそっちに任せるよ!

| ヴェスペリア | TOP↑

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。