運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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スウィート・モーニング

リクに応えて久しぶりのデュクユリ!
未だにラスボス様のキャラが良くわかりません。
超マイペースなので、ユーリの都合など一切構わない妖精さん。
それが私の一応のデュークイメージです。

まぁユーリもこういうどこか抜けた相手って放っておけないと思うので、
案外ED後に仲良く平和(?)に暮らしそうだなぁとも思います。


 
 朝のまどろみの中、夢と現実の境を洗いざらしのシーツの上でゆらゆらと過ごすのは心地の良い時間だ。
 元々ユーリは寝起きはそれほど悪い方ではないが、それでも朝日が柔らかく肌を温めてくる温度を感じながら、気だるさと爽やかさの混ざった時間を無為に過ごすことは嫌いではない。特に予定がない一日ならば、下町の連中かラピードに起こされるまで、そうやって過ごすのも悪くないものだ。
「…………?」
 が、寝返りを打とうとしたところで、鼻先をすくぐる感覚がある。
 タンポポの綿毛でも顔の上に落ちてきたような、柔らかく軽くけれど確かに肌を撫でる微かな存在。
 手の甲で振り払ったが、一度消えた感覚はすぐにユーリの鼻先に戻ってきた。
 穏やかさを壊される苛立ちと、それを僅かに上回る嫌な予感に、瞼を上げることを三度躊躇いつつも諦めてゆっくりと目を開いた。
「……何、してんだよ」
「お前の寝顔を見ていた」
 ベッドの横に手をついて覗き込んできている赤い瞳を睨みつけながら、剣呑な声音を隠さずにそう言ったが、相手はユーリの機嫌など僅かばかりも頓着していないように、さも当たり前のことのように淡々と事実だけを答えてきた。
「そんなことは見りゃわかるっての」
「だったら何故聞く」
「何で無言で人の寝顔を覗き込んでるんだよ」
 気配に気づかなかったユーリもユーリだが、この相手はそもそも存在が人外のようなものだ。
 姿が見えていても気配を感じないことも少なくないのだ。勝手に部屋に入るなというのはもう今更のことなので言いはしないが、せめて入ってきたなら起こすなり声をかけるなりはして欲しいところだった。
 目覚めの一番、すぐ前に天使の羽のような白い髪とガーネットのように濃い赤い瞳が降り注ぐように存在していれば、一瞬この世ならざる場所を想像してしまって心臓に悪い。
 最もそんな台詞もこの男に言わせれば、この世ならざる場所ならばエルシフルがいるのだから悪い所ではあるまいと、本音の居場所を測りかねる台詞を返されるのがオチなのだが。
「寝ていたからだ」
「起こせよ」
「……何故?」
「何故って――」
 あぁこの人物相手には、いわゆる普通の会話を成り立たせるのがなかなかに難しい。
 まず共通認識であるはずの常識というものが通じないのだ。これほど厄介な相手もいるまい。
「何か用事があってきたんだろ?」
「用事もなく訪ねるほど暇ではない」
「偉そうに言うなよ。だったら起こさなきゃ用事を済ませられないだろ」
 顔にかかる絹糸のように細い髪を振り払いながらベッドの上に体を起こした。
 汚れた窓から差し込む朝日が、長身のデュークの腰まで届く軽くカールした髪を柔らかく照らしていて、夜の湖面に映る月明かりのように綺麗だと、そんなことを思ってしまった自分に苦い思いを抱く。
 そんな歯の浮くような表現はユーリの本意ではないのだが、どうもデューク相手には自然にそう思ってしまうのだ。
「問題ない」
「――じゃなくて、用事は何なんだよ」
「もう済んでいる」
「はぁ? 何をだよ」
 立ち上がったところで、腕を掴まれ引き寄せられた。
 華奢に見える外見とは裏腹にデュークの力は強く、捕らえられるようにして向き合わされる。
 白く長い指がユーリの顎を捉え、少しだけ上に持ち上げる。人差し指でくいっと上を向かせる手つきが不遜で尊大だが、この男がやると妙に似合ってしまうので困りものだった。
 僅かに上の瞳を覗き込む。
 命の煌めきそのもののような赤が、ユーリの視界を染める。
「お前の顔を見に来た」
「……はぁ?」
「お前の顔を見に来てやったのだ」
 感謝しろとでも続きそうな口調だった。
 実際この男なら言いそうな台詞でもある。
「顔を見にって……お前隣に部屋借りてんだろ」
「だから早朝から来てやったのだ」
「いやいやちょっと待て。来てやったって何だよ。それに昨日も普通に会ってただろうが」
「今日はまだ会ってなかった」
「な……」
 至極真面目な表情と口調に絶句した。
 言ってることに間違いはない。間違いはないがどう考えてもおかしいだろと、頭の中だけで抗議した。口に出して言わなかったのは、混乱し過ぎていて口を動かすまで意識が回らなかったからだ。
 今日まだ会ってないって何だ。当たり前だ。日をまたいだら誰だって今日初めて会う人間になってしまう。それをさも当然の権利とでも言わんばかりの口調で宣言されてしまっては、どう切り返して良いものやら分からなかった。
 もはや常識云々の次元ではない。
「だったら、普通に入ってこいよ。声掛けろよ。無言のまま覗きこまれてちゃ、心臓に悪いだろ」
「寝ているお前を起こせと?」
「朝なんだから起こせよ」
「承服しかねるな」
「……はぁ?」
 ごく当たり前のことのように返されて眉をひそめたが、反論の前に顎を捉えていた指先に肩を押されて、もう一度ベッドの上へと戻された。
 沈み込んだユーリの体の上に、デュークが覆いかぶさるように乗り上げてくる。
「おいっ!」
「お前が抵抗すると面倒だ」
「ってか! ちょ! 朝っぱらから何するんだよっ!」
「今日は疲れているから明日にしてくれと言ったのはお前だ。しかも朝まで待ってやったんだ。感謝するのが筋というものではないのか」
 その口ぶりだと時計が12時を過ぎた瞬間に襲うつもりだったのかと思ったが、デュークなら本気でやりかねないので洒落にならない。
「顔見に来ただけじゃねぇのかよ!」
「顔を見に来ただけだと言った覚えはない」
「あぁっ! くそっ!」
 離せと怒鳴り返す声は、残念ながら塞がれた唇の中に吸い込まれて、音にはならなかった。


わが道を行くデューク様。
まぁヤマもオチも何もない、ただのいちゃいちゃデュクユリです。
でもこういうのも書くのが楽しかったりします。

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