運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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あの頃のまま

現在グレイセスやり込みプレイ中。
術技回数稼ぎつつ称号集めつつ武器鍛えつつスタンプ集め。
隠しダンジョンは3階層目。

取りあえずプレイしたら一度は書かなきゃね。
TOGでアス←ヒューだよ!
時期は闘技場島行く前ぐらい。
砂漠に行ってたらネタバレ的には問題ないかと。


 
――少しも、変わらない

 前を歩く背中を視界に収めて、ごくごく自然にそんな感想が浮かんだ。
 太陽のように温かな色の髪、真っ直ぐと伸びた背中、広い歩幅は周りよりも歩みが少し早く、けれど離れ過ぎる前にゆっくりとした歩調に変わって自然と同じ距離を保っている。
 明るい夏の空を思わせる眼差しは、真っ直ぐと前だけを向いていて、だけども周りを見守るように視線を送っている。押しつけがましいものではなくて、ごくごく自然に周りを向く瞳は、子供のような単純さと追いつけない力強さを浮かべていた。
 手合わせはヒューバートの方が勝ったというのに、何故かいつも追いかけている印象がなくならない。
 この七年間ただひたすらに力をつけることのみに心力を注いできたというのに、知識も腕も自分の方が勝っているはずなのに。
 捨てたはずの子供のころの思いそのまま、兄には敵わないと、変わらずに自分の前に立っていると、そう感じてしまうのが悔しかった。
「――ト、おいヒューバート」
「…………何です?」
「いや、おまえ今、ぼーっとしてたから何かあったのかって」
「別に何もありませんよ」
 だが心ほどに態度は昔のままという訳にはいかず。
 兄のアスベルから向けられる視線も態度も昔と何も変わらなければ変わらないほど、ヒューバート自身はどう反応していいかわからなくなる。
 当てつけのように叩きのめしてラントから追い出したことを少しでも恨んでくれていれば態度を決めやすいのに。再会した時と同様、いや七年前に別れたあの時と何も変わらない態度で接されてしまえば、まるで自分一人が子供のようではないか。
 拘っているつもりはない。ストラタの軍人として当然の立場で接しているだけだ。
 そう自分の中で繰り返すものの、言い聞かせれば言い聞かすほどそれが単なる言い訳にすぎないことを思い知らされるようだった。
 ヒューバートは何も間違っていないはずなのだ。
 それなのにヒューバート一人が頑迷なようではないか。
 今もまた、兄弟ならずとも共に行動する者としては素っ気なさ過ぎる返答にも、アスベルは特に気分を害した様子もなく首をかしげただけだ。逸らすことを知らない澄んだ瞳が真っ直ぐとヒューバートを捉えている。
 こんな所も全く変わってない。
 人と話す時に相手の瞳を見るところは、騎士学校に入ってからより一層磨きがかかったようだ。あのころよりも力強さが増した青の中に、自分の動揺を写し取られるような気がして、微かに斜め下へと焦点をずらしてしまった。
「な、何ですか。人の顔をじろじろと」
 やましいことなどないにもかかわらずドクリと暴れそうになる心臓。
 それを隠すように、自分でも八つ当たりのような台詞だと思いつつも強い口調で返した。
 立場も力も自分が上であるはずなのに。もう昔のように兄の背中に隠れるような自分ではないはずなのに。見返すことの出来るだけのものを自分は手にしているはずなのに。
 どうしてこれほど動揺しなければならないのか。
「うーん、なんだか嬉しいなって思って、さ」
「嬉しい、ですか? ……兄さん貴方は状況を把握してるんですか」
「もちろん急いで何とかしなきゃならないってことはわかってるさ。でもまたおまえと一緒にいられるなんて嬉しくて、それに……」
「それに?」
「おまえも変わってなくて良かったなって」
「!」
 笑顔のまま、ごく当たり前のように告げられた言葉。
 変わってないはずなどない。自分は養子に出されてから、父を、兄を、ラントを見返すために勉学と武術に打ち込み侮られないだけの力をつけてきたのだ。故郷の思い出など捨てて、昔の自分を捨てて、そうしてここまでやってきたのだ。
 それなのに。
「変わってない……ですか」
「ああ! やっぱりヒューバートだなって」
「……そんな、こと」
「あ、いや、何も成長してないってわけじゃないさ。大きくなったし驚くぐらいに剣の腕も上がってるし、何より少佐だからな。俺よりもずっとラントを守る力があるってわかってる」
 大きくなった、などと言う辺りで随分と子供扱いではないかと思うが、その台詞が素直な感想で揶揄の成分など皆無であることは、残念ながらヒューバートが一番わかっていた。
 アスベルが口にする言葉には嘘偽りはないことは当然として、裏の意味や含ませた皮肉なども存在しないのだ。ただ思ったことをそのまま真っすぐに言葉にする。
 子供のころから変わらない、子供っぽい言葉の選び方。訓練をつんだといっても、騎士学校などと守られた場所で育ったからか、その手のことは少しも成長していないのだこの兄は。
 真っ直ぐで、付け込まれる隙を晒しているようなほど真っすぐで愚かだ。だからこそ底の見えないマリクを教官と慕い、正体のわからないパスカルを疑問にも思わず共に行動していられるのだ。もう少しぐらい不審に思い警戒するのが普通だというのに。
「わかってるけど、やっぱり俺にとってヒューバートはヒューバートだから」
「――くだらない、ですね」
 無条件で信じられるほど、兄弟などという繋がりは大きなものではない。
 変わらないと言われるほど自分は子供の頃の自分ではない。
 それなのにどことなく温かい気がして、振り払うように歩みを進めアスベルの横を通り過ぎた。
「先を急ぎますよ」
「ああ、そうだな」
 アスベルの背を見ないようにと、眼前に広がる砂漠に視線を定め、言葉を待たずに歩きだした。
 けれど自分の意識が、アスベルが踏みしめる砂の音を探すように聞き耳を立てていることに気づいて、誰にも知られないように唇をかみしめた。


鈍感な兄に複雑な思いを抱く弟、がいいと思います。
思慕と恋慕の狭間。いつまでたっても追い越せない背中。

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