運命の果てまで

テイルズ(V/G/A/S-R/D)・FF・Dグレなど、ゲームやマンガに好き勝手萌える腐ログ

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傍らで眠らせて

九割書き終わった後に操作ミスで全部消えたとか!
やる気でない時は失敗も続くもんだよなー。

で、思い出しながら書いたけどやっぱ違う。
こういうのって絶対二度目はうまくいかないんだ。
でもまぁせっかくなのでUPしておきます。

ナイユリ!


 
 伸ばしても伸ばしても、届かない手を知っている。
 叫んでも叫んでも、届かない声を知っている。
 失わぬようにしても、零れ落ちていく感触を知っている。
 温かさを望んでも、止められることなく冷たくなっていくことを知っている。
 失うことが怖くて、失わぬようにと願っても、叶わぬこともあると知っている。
 それがいつの記憶か定かではないけれど、記憶なのかただの夢なのかもわからないけれども、凍えるような怖さは物心ついた時から体に染みついてた。
 誰かを、失いたくなどないのに。
「ぁ……」
 唐突に夢の世界から現実へと放り出され、飲み込んだ呼吸に喉が小さく悲鳴のような音を発した。
 荒くなりそうな息遣いを必死に飲み込む。
 見開いた瞳の先には、最近見慣れた天井。頬に当たる空気は酷く冷たい。そのくせ体は汗で湿気ていて、握りしめたシーツが掌の中でぐっしょりとしていた。
 周りはまだ暗い。夜明けまではまだ間がありそうだ。薄暗い室内には時計が針を刻む音だけが響いている。いや、時計の音に混ざるように、小さな粒が窓ガラスを叩くような音が混じっていた。
 目をやれば、閉じきっていないカーテンの向こうで、雨粒が窓ガラスをぽつぽつと濡らしていた。
 明日は雨になりそうだと、空の向こうまで見渡せそうな青空を見上げながら隊長がそう呟いていたことを思い出した。これほど晴れているのに雨など降るはずがないと、そう思っていたのに。
「――こりゃぁ大降りになるな」
「隊長……」
「目、覚めたのか」
「わりぃ」
 声のした方、右側へと顔を向けて言えば、優しげな眼差しのナイレンがユーリを見つめていた。穏やかな眼差しが少し眇められて、手が伸びてきてユーリの頭を落ち着かせるように撫でる。
 子供扱いに最初は抵抗したものだが、こうして髪を梳るように頭を撫でられるのは心地良かった。
 訓練の時の温まった力強い指。包み込むように撫でてくる太い指。不意に肩を掴んで引き寄せる力強い指。逃げられぬように捕まえる指。重ね合った肌を愛撫していく汗ばんで熱をもった指。
 何度も何度も撫でながら、髪から覗いた耳に触れると、ナイレンは温めるように掌で包み込んできた。
 この指に触れていれば、沸き起こってきた不安が次第に溶かされていく。
 優しく強く、ユーリを捉えて離さない。
「耳、冷てぇな」
「隊長はいつも温けぇよな」
 ユーリに触れてくる時の指はいつも温かくて、だから触れられていると正体のわからない不安も次第に溶かされて消えていく。
 温かかくて、時に熱くユーリを染める指先。
「ちゃんと布団をかぶらねぇからだよ」
「隊長がでかいから、俺の分が少なくなんだろ」
「おめぇは細っこいからなぁ」
「うっせぇ」
「――雨、嫌いだったな」
「別に……ただ何となく、気が滅入るだけだ。なんとなく、」
 湿度の高いのが肌に気持ち悪いから。外に出れないから。肌を叩く雨が鬱陶しいから。止まない雨音が不安を掻き立てるから。暗く濁った空が気分を暗くするから。理由など色々上げることはできるのだけど、どれも当たっているようでどことなく違う。
 ただ、そうただ何となく、何かを失うような、そんなことを想起させられるのだ。
 だから雨はあまり好きではなかった。
「朝までまだ時間あんぞ」
「あぁ」
「――もちっと寝てろ」
「ん……」
 どうしたとも、何があったとも聞かず、瞼を塞ぐように下りてきた手を拒む気はなかった。
 促されて体ごとナイレンの向く。そして感じている温かさを逃さぬようにと体ごとナイレンにすり寄れば、小さな苦笑が聞こえた。
 ふわりと布団が肩へと掛け直され、太い指がユーリを胸元へと引き寄せた。
 胸元へと顔を埋めるような格好に一瞬抵抗しようとしたが、シーツ越しに伝わってくる熱はとても柔らかな温もりで、力を込めるはずの筋肉は意思に反して弛緩し、促されるままに身を寄せる。
「……隊長」
「どうした」
「明日には雨、止むか?」
「そうだな明日は晴れるんじゃねぇか」
「そっか」
 温かさを逃さぬように体を少し丸めて、寄りかかるようにしながら眠りの波の中へと意識を滑り込ませた。

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